晩秋の【笠三六五】冬期小屋調査
水晶岳・薬師岳・黒部五郎岳・鷲羽岳・三俣蓮華岳・湯俣
(富山, 岐阜)
2025年10月17日(金)〜19日(日)
3日間
⚠先に皆さんが気になっている(かもしれない)冬期避難小屋情報から⚠
笠ヶ岳山荘冬期避難小屋:利用可能◯ 本棟の裏手にある小屋で、鍵とドアストッパー(画像参照)を外して中に入れます。収容人数は多くて6人程度。一部情報では断熱マットがあるとのことでしたが、見当たりませんでしたのでシュラフマットを持参したほうがいいかもしれません。料金箱は見当たらず料金の郵送が必要かは確認中(管理者に電話繋がらず)。風が強いと小屋の中がやや涼しくなったので少しだけ風通しがいいかもしれません。UQ mobile電波あり。
黒部五郎小舎:利用可能◯ 本棟北西側の別棟が冬期避難小屋として開放されていました。入口は梯子を登った2階。料金は郵送方式。収容人数多くて10人程度。板張りのこじんまりとした良い小舎でした。UQ mobile電波あり。
鏡平山荘:冬期避難小屋なし。橋はすでに撤去されており、山荘まわりは進入禁止。
双六小屋は営業中だったため詳細不明。
木曜日の夜の勤務明けから金土日の3日間でどこか行けないか探していて、北アルプスでまだ登れていない笠ヶ岳、双六岳、三俣蓮華岳へ行く計画としました。
双六岳、三俣蓮華岳は去年の日本海to上高地の縦走(https://yamap.com/activities/34080359)時に疲労から通れなかったピークの2つで、特に登りたいと常々思っていた山でした。
勤務終わりが朝9時前で新穂高まで高速で5時間足らずとするとスタートは早くて14時前。笠ヶ岳山荘につくのは21時頃と遅くなりますが、小屋営業は終了しており冬期小屋利用なので”許してもらう”こととしてスタートしました。
この日はこれ以上ないほどの快晴でシャツ一枚でも汗が滝のように出る気温。笠新道手前の水場で顔を洗い水を飲んで、後に控える急登に備えました。
笠新道は思っていたより歩きやすい道で、傾斜も気持ちよくスイスイ進めました。下部では松茸?のいい香りがそこかしこでプ~ンと漂い、晩ごはんのみそ汁の具に欲しくなりましたが探す時間的余裕はないので泣く泣く香りだけ楽しみました。
植生が薄くなってきた頃から西穂高~槍ヶ岳の迫力のある眺望が楽しめました。これらのアーベントロートは本当に美しかったです。
杓子平あたりで完全に日没してヘッドライトをON。暗くなるとそれまでの24時間勤務と5時間の運転の疲れがどっと来て眠気が出てきました。岩場の登りで、疲労から怪我をした経験もあるため、いつも以上に意識して注意深く進みました。抜戸分岐から先は比較的歩きやすい道でしたが、テント場までの最後の登りが意外としんどかったです。テント場から先は岩場ですが、「ガンバレ」や「あと一息」の文字に励まされ、予定より早い20時頃に小屋につけました。山荘周辺はどこが道かわかりにくい岩場ですが、◯印が豊富で闇夜の中でも迷わず歩けました。
冬期小屋は本棟の裏にあり時計回りに本棟をぐるっと回り込んで入口に行きます。鍵と左上のドアストッパーを外すとドアが開きます。前回の登山(https://yamap.com/activities/43404566)では調べ不足から突然のツェルト泊になっていたため、ドアが開いたときはホッとしました。
小屋はこじんまりとしているおかげで暖まりやすく快適に利用させていただけました。即席そばを1杯食べて即寝しましたが、夜中に風が強くなりその音であまり熟睡はできませんでした。
2日目は4時半起床。麻婆ご飯と味噌汁を飲んで、荷造りをしました。この日は午後から天気が崩れる予報のため、出発前に荷造りを完璧にし、日の出登頂に合わせた5時45頃に空荷で小屋を出発しました。幸い風は10m/sほどでそこまで強くなく、しかも日の出もバッチリ見える好天気。赤く染まる富士山や、涸沢岳と北穂高岳の割れ目から昇る朝日を楽しめました。
山荘に戻って荷物を回収し、小屋に一礼して出発。今夜の宿の双六小屋までは6時間ほどの行程で、天気も意外といいし余裕余裕~と思っていると、出発後30分で天候悪化。15m/sほどの風と雲に巻かれます。しかし、ガスガスの天気といえばライチョウ。抜戸岳~弓折岳の間で大量のライチョウたちが元気をくれました。こちらも「元気に冬越せよ~」とみんなに声をかけましたが、どのこも「そんな大袈裟な…」というキョトンとした反応。彼らが自然を生き抜く力強さにまた力をもらいました。
結局双六小屋には11時過ぎには到着でき、全く雨に降られませんでした。途中進行方向左手に見えた双六谷が美しく、「あそこを沢登りできたらな~」なんて思っていると、そこは双六小屋ができた当初(1935年頃)のクラシックルートでした(小屋に貼ってあった新聞記事で知りました)。その後あまりの過酷さに廃道となりましたが、今でも人気の沢登りルートだそうで、いつか挑戦したいと思っております。双六谷クラシックルートに取って変わったのが、双六小屋の初代オーナーの小池さんが開拓した小池新道ですが、当初はシシウドヶ原から大ノマ乗越へと沢を登るルートだったそうです。こちらは現在では夏道は完全に消失しております(鏡平山荘を開設した際に、現在の弓折岳分岐へ至る道が開拓され、以降そちらが人気となったため。冬期では現在も大ノマ乗越へ上がるのが一般的なルート)。
小屋にいても特にすることもなく、電波もないので地図を見ていると黒部五郎岳の文字が。黒部五郎岳は昔に一度太郎平側から登ったことがある(https://yamap.com/activities/25882081)だけで、黒部五郎小舎側からは登ったことがなかったため、翌日朝イチで天気が良ければそちらを高速ピストンする計画に変更しました。
そうと決まれば翌日の行動時間を少しでも節約するために、2日目のうちに双六岳に登っておいて3日目は中道を使用する算段となり、すぐに双六岳へ歩くことにしました。
双六岳山頂は強風で体が飛ばされそうになるくらい(おそらく20m/s程度)で、天空の滑走路も悪天候により閉鎖中でしたが、ライチョウは元気に滑走路を歩き回っていました。いよいよ悪天候になるな、と思いつつ小屋へ戻りました。
小屋に戻って仮眠をし、夕食の頃に起きると外は暴風雨。テント泊だったら大変だったろうな、と思いつつ夕食にありつけました。ご飯、お味噌汁がおかわり自由なのを知っていたため、お昼はセーブしていた私は、同席になった紳士に「ほんとによ~く食べるねえ」と感心?呆れ?られながらおそらく2合以上は白ご飯を平らげました。缶ビール(700円)も飲み心地よくなったところで、翌日に備え20時過ぎには床につきました。
3日目は5時前に起床、5時から朝食です。黒部五郎ピストンを早くスタートしたかったので、朝食はご飯2杯までにして5時半には小屋を出ました。歩き始めこそ風がやや強かったですが、日が明るくなるにつれて無風となり、山にかかっていた雲も晴れてきました。そこからは絶景を楽しみつつ三俣蓮華岳まで歩きました。三俣蓮華から黒部五郎小舎(三俣と五郎の鞍部)までは約500m下るため、ここを登り返すかと思うとゲーが出そうにはなりましたが、無事到着。昔五郎岳山頂から見たまんまの赤い、本当に美しい小舎でした。いつか(夏にも冬にも)ここに泊まりたい、そう思わせる魅力のある小舎です。
不必要が確実となったチェンスパなどを小舎の傍にデポさせてもらい、登り岩稜ルート→下りカールルートの周回としました。
岩稜ルートは入口がややわかりにくいですが、岩に描かれた◯印が目印です。最初は笹、ハイマツ、シャクナゲをかき分け沢地形の中を進むため、晴れていてもレインパンツを履くと良いかもしれません。沢を登りきるとチングルマの草原地帯を心地よく進み、いよいよ岩稜へと突入します。点線ルートではありますが、岩稜は特に危険箇所なくスイスイ進めます。個人的には読売新道中盤の岩場に似てるな、と思いました。上部では一部ハイマツの中に分かりづらく道が付けられているところがあるので、見落とさないようにしましょう(そのまま岩稜を越えていこうとするとやや危険)。最終盤にはいよいよゴーロ地帯となり、その後すぐに山頂に至ります。天気は意外にも回復傾向で、前日に大雨だったこともあり、山頂からは最高の眺望となりました。こんなにも美しい眺めは1年に1度あるかないかくらいです。本当に登山をしてきて良かったと心から思える瞬間でした。
しばらく景色に浸っていましたが、帰りの時間もあるので15分程度の滞在でカールルートへと進みました。こちらのルートもかなり良いです。カール、モレーンの地形変化を肌で感じられ、モレーンにはきれいなせせらぎが流れます。こちらで水を補給しました(やや黄色かったようにも見えた)。何度かごく小さな渡渉をして、樹林帯のトラバースを経てから小舎へと至ります。最後の部分は冬期は歩きにくいだろうなと想像しながら進みました。
小舎でデポ品を回収し、双六へ向けて歩みを進めましたが、天気が一向に悪くならない…。槍もずっとよく見える…。時間もないですが、双六岳へ結局もう一度登り、天空の滑走路を見ました。登頂直前から雲にやや巻かれはしましたが、ギリギリ離陸可能な滑走路でした(またライチョウも見ました)。
小屋へ帰って荷物を回収しようとすると、小屋の受付の方に「これから下りですか!?コースタイムより早く歩けますか!?鏡平小屋は閉鎖されています!」とかなり心配されてしまい、反省。いくら景色が美しかったからとはいえ、双六小屋15時発はやりすぎでした。
その後は鏡平で鏡槍を見て、下涸沢あたりでヘッドライトONとしました。林道まで出たら真っ暗でも問題ない、と息巻いていましたが、そこは今年クマが大量出没したエリア。定期的に叫びながら歩きましたが、山を堪能しすぎた自分をやや後悔しました。林道はやはり長く最後は足が痛くなってしまいましたが、なんとか19時過ぎに新穂高登山指導センターに至り、今回の登山は一度も雨に降られることなく、大成功のうちに終りとなりました。センターのオレンジ色の光はあったかくて本当に癒やされますよね(私だけ?)。また新穂高に来たいと思いつつ、帰りは下道・高速を使い分け6時間かけて帰路につきました。