17:16
26.3 km
2485 m
笠ヶ岳(笠新道→大ノマ乗越→小池新道)
槍ヶ岳・穂高岳・上高地 (長野, 岐阜, 富山)
2025.04.27(日) 日帰り
今回は失敗記録です。 恥さらしだと思いつつ、書ける限りのことを公開します。 槍穂高連峰の稜線から飛騨側を眺めるとすぐ近くにありそうな笠ヶ岳。 槍穂や西銀座は歩いたことがあるものの結局ずっと後回しにしてしまっていました。 当初は月曜を休みにして四連休で裏銀座を考えていたのですが、予報は強風や霧、吹雪となってしまったので行き先変更です。 土曜は雨飾山、日曜は笠ヶ岳にすることにしました。 【計画】 <コース> まず、この時期は冬季バリエーションルートの記録が多いものの、現在の自分のレベルでは不安が多いので避けておきたい。 ⇒笠新道の往復を選択した。 <時間> 行程が長く、一泊が確実ではある。 順調に進めば日帰りできなくはないが、それでも12時間以上はかかる。 ⇒翌日の天候と荷物の重量を考慮し、日帰りを選択した。常念岳東尾根の経験を踏まえれば無理ではないという判断だったが、これが甘かった。 【実際】 <左俣林道> 新穂高温泉-笠新道:アイスバーンや雪崩跡など歩きにくい区間もあったが、概ね順調に進めた。 <笠新道> 笠新道入口-杓子平:夏道の露出した区間と雪道が断続的に続き進路がわかりにくくなった。1900m-2000m付近でかなり急な雪道を上がるようになり、ペースが上がらなかった。当初の計画では下りも笠新道のつもりだったが、緩んだ雪の急傾斜を考えると遠回りでも大ノマ乗越へ向かった方がよいのではないかと思った。 杓子平-笠ヶ岳稜線(笠新道抜戸岳分岐):ルートミスにより時間も体力もロスした。特に、すぐ近くにクレバスには心が折れた。稜線に出た時には14:00を過ぎてしまっていた。 <笠ヶ岳稜線> 笠新道抜戸岳分岐-笠ヶ岳山頂:ハイマツに近いところでは踏み抜きやすかったが、概ね歩きやすかった。しかしペースが上がらず山頂到着時点で16:00を過ぎてしまった。 笠ヶ岳山荘に冬季避難小屋は無いため雪洞を掘るか、双六小屋冬季避難小屋へ向かうか、大ノマ乗越経由で下山してしまうか悩んだ。 昨年同時期の北穂高岳ではアイスバーンの事故が起きているというし、こちらも日没後のアイスバーン化が心配だったが、結局下山を選択することにした。 笠ヶ岳山荘-秩父平下降点:ハイマツ近くの踏み抜きと雪庇とで歩く場所がやや難しく、ハイマツ漕ぎを選ぶ区間もあった。 秩父平-大ノマ岳:夏道は稜線伝いだが先行者の踏み跡に従い、やや双六谷側をトラバースした。傾斜は強くないが、日没後も雪はまだ緩く緊張した。19:30頃、2662mの大ノマ岳山頂付近で雪が締り始めた。 大ノマ岳-大ノマ乗越-:急傾斜を一気に下る。下り始めると雪はまだ緩んでいて、雪質を考慮して念のためバックステップを使う箇所もあった。 <大ノマ乗越のカールと小池新道以降> 大ノマ乗越-秩父沢出合:大ノマ乗越の直下こそ急傾斜だが、徐々に十分歩ける斜度に落ち着いていった。2300m付近では21:00頃になっても雪は緩んだままだった。危険箇所も無くなり、安心感が出てきた。 川に合流してしばらく歩くと左俣林道に合流する。傾斜もほとんど無くなっていくが、雪崩跡などは歩きにくかった。 新穂高温泉の無料駐車場に着いた頃には23時半近く、当然それなりに疲労もあったが、それよりも安心感が遥かに勝っていた。 【失敗】 失敗①下りも笠新道を使う計画 …笠新道を登ることはできたが、登ってみて下りたくないと思った。下れたとしても滑った場合に助からない気がしたので、おそらく長時間かけてバックステップすることになっていたと考えられる。 ここで遠回りになっても大ノマ乗越からの下山に計画変更した。 失敗②杓子平から稜線までの間のルートミス …向かって左側を行こうとして、時間・標高・体力をロスしてしまった。また、すぐ近くにクレバスを発見し精神衛生上もよろしくなかった。 失敗③テントを車に置いてきてしまった。 …当初はテント泊縦走を考えていたが、機動力を考えて置いてきてしまった。雪洞を掘る、遠いが双六小屋冬季避難小屋を目指す、遅くなってでも下山するなど考えたが、いずれも不安しかなかった。 失敗④スポーツドリンク粉末・アミノ酸粉末を車に置いてきてしまった。 …完全に忘れた。塩分摂取の手段に不安が出てきてしまったのは不安だった。摂れるとしたら豆腐バーのみ。結果的に足が攣るようなことは無く済んだ。 失敗⑤レンタカーの返却時間を翌日昼にしてしまい、延長できなかった。 …笠ヶ岳山頂は電波があったので延長を試みたが、次の方の利用予定に影響してしまうらしく叶わなかった。 はじめからもう半日余裕を見て借りられていたら、雪洞泊または双六小屋冬季避難小屋を目指す選択肢が有力だったかもしれない。 一方で、稜線で風が吹いてもずっとではなかったこと、冷たい風ではあったが凍えるような寒さではなかったこと、緩んだ雪ではあったが結局アイスバーンにはならなかったことなど気象条件は有利に作用した。 ダウンジャケットを着ることもなかったし、水と行動食が豊富にあったことも安心材料ではあった。 【感想】 完全にやらかしました。計画に無理がありました。 時間超過で暗くなってしまったのは1月の光岳以来です。 日帰り登山としてはこれまでで最も長い行動時間になってしまいました。 夏は体力的に辛いと有名な笠新道ですが、とにかく恐ろしいです。 部分的には45度は越えているであろう急傾斜に緩んだ雪が恐ろしく、しかも滑ったらおそらく谷底で助かる気がしません。 途中で考え直すにしても下るのも地獄です。 それでも杓子平から見あげる稜線の開放感は素晴らしいし、背後の槍穂高連峰に焼岳、乗鞍岳は圧巻です。 信州側の蝶ヶ岳と対をなすような飛騨側の展望台です。 稜線に上がれば北ノ俣岳や黒部五郎岳、薬師岳、双六岳など北アルプス最深部の景色も見事です。 近いようで遠い山なので、登頂の達成感もひとしおではあります。 (ただし、時刻が時刻だったので下山の不安の方が強かったです。) 事故や怪我無く帰って来られたのは気象条件など運がよかったからに他なりません。