雪山の歩き方 吉和冠山 (動画あり)
吉和冠山(安芸冠山)・広高山・寂地山
(広島)
2025.01.20(月)
日帰り
※写真は時系列とは限りません。(写真の殆どはmeru2209さんから提供してもらいました)
近所の登山仲間のmeru2209さんのYAMAPの記録はよく見ていた。
やる気満々の彼女の記録は、始めた頃のとにかく山に登りたくて仕方がなかった自分とも重なるものがあった。
最近、深入山の彼女の記録を見て少し不安になった。
無雪期と全く違う冬山、特に雪山は他の季節と大きく違うリスクがある。
やはり、基本的な技術、知識無しでのソロ登山はやや無謀と思えた。
そこで、要らぬおせっかいかもしれないと思いながら訓練登山を提案した。
また、同じく近くの山仲間のmamoさんも参加となりこの日を迎えた。
冬山のリスク
<気象のリスク>
冬山は寒い。
積雪は登山道を消失させるので道迷いの可能性が大きい。
日照時間が短い季節なので、安全行動時間が短い。
<歩き方のリスク>
他の季節より圧倒的に滑る。
深い雪で行く手を遮られる。
滑りやすいので滑落のおそれが大きい。
今回の登山では
雪山の歩き方と道迷いを防ぐナビゲーションを主に行う予定。
<いよいよ本番だ>
登山口到着。
天気問題なし、無風、晴天。
出発するとトレースがばっちりあった。
今回のアイゼン、ワカンにも通じる(スノーシューは微妙に異なる)基本のつぼ足キックステップには、やや締まっているので最適な状況だ。
1,歩き方
<フラットフッティングとキックステップ>
これらはアイゼン歩きやワカン歩きにも共通する部分の多い、基本歩きだ。
登りでは
傾斜が緩ければ、フラットフッティング。
やや傾斜が出てくれば、逆八の字のフラットフッティング。
さらに傾斜が出てくれば、つま先をけりこむキックステップ。
雪があまり深くない状態でのキックステップは、ふくらはぎに負担が大きい。そんな時は片足キックステップ、反対側はフラットフッティング。
下りでは
鉛直に踵を蹴りこむ(強く踏み込む)キックステップ。
傾斜がより強い場合は、後ろ向きのキックステップ。
積雪が薄い時は、カニ歩き。
こんな事を説明し、実践しながら登って行った。
呑み込みが早く、なんなくこなしている。
下りのキックステップもベテランのごとく、何事も無いように進んで行く。
なにせ、スイスイ進み早い。
男二人は着いて行けない。
たびたび待ってもらう。
女性は軽量なので沈みにくいとはいえすごい。
2,雪山のナビゲーション
寒いのでスマホの電池減りが激しい。
雪に覆われ登山道は無い。
吹雪くと視界不良となる。
などがあり、少し工夫が必要。
そこで、スマホナビは最小限で、地形図とコンパスで主に進む方法を行った。
<ナビ開始>
それまでの明瞭な尾根地形が、ややだだっ広くなった土滝山の少し手前から行った。
meru2209さんには、地形図とコンパスで進行方向をセットする方法を事前に習得するようお願いしていた。
さあ、いよいよ開始。
すすむべき方向に地形図でコンパスをセット。
最初は、「これで大丈夫?」と不安げな彼女だったが、トレースとほぼ合致しているのですぐに検証できて、徐々に納得して進むようになった。
<ノートレースの冠山分岐から冠山へのナビゲーション>
トレースは寂地山へ向かっていた。
分岐には冠山方向のトレースは無く、そのため少し行き過ぎ引き返した。
さあ、ノートレースの本物ナビの開始だ。
これから本番ですよmeru2209さん。
彼女が先頭でスタート。
後ろの二人は基本着いて行くだけ。
徐々に自信がわいてきたのか、コンパスを確認しながら、「こっちだ」と言うように目的方向を指差し、進みやすい樹間を見つけては進んで行く。
尾根に乗る場所で、地形にも注目するようにアドバイスしたが、その他はすべて彼女のナビで山頂到着。
初めての冠山を、しかも自分のナビで到着した喜びはひとしおだろう。
下山も彼女のナビで進んだ。
高い方に登れば到着する登りのナビに比べ、下りのナビは難しい。
間違えば無駄な登り返しになったりする。
山頂からは登りと違い、尾根の斜面方向にやや外したようでトラバース気味に下った。
登りのトレースを追う方法もあるが、人工林の樹林帯の中は、木からの落雪でトレースは消えているので、追うのは難しい。
登りと比べ傾斜が急なので尾根の斜面を下降しているだろうと、地形図の読み方を伝えたがその後は見事にリカバリーしオンルートに復帰。
コンパスを使ったナビゲーションの有用性を感じたのではないだろうか。
その後も彼女は先頭で進み、ますます男二人を置き去りにするスピードで下山していった。
〈追加の蛇足いや蛇靴〉 meru2209さんの記録写真最後の不揃いの靴の写真。下山して話した笑い話だったが、まさか写していたとは知らなかった。
ちなみに、登山に使った靴は左右揃った物です。