藺牟田池ぐるっと一周
藺牟田池・飯盛山・片城山
(鹿児島)
2026年07月07日(火)
日帰り
関東地方から鹿児島県に電撃移籍した。
引っ越す前から当地で登りたい山々の目星は付けていたが、まずもってこの九州の暑さである。とりあえず身体を暑さに慣らす必要があるし、そもそも登山のための体力作りも行わなければならない。いきなり弾丸で韓国岳やくじゅうに行くにはまだ早いはずだ。
という真面目過ぎる理由で、大変恐縮ながら周回5km程度、獲得標高500m程度の藺牟田池の外輪山一周ならちょうど山に慣れる+体力づくりという意味で良いのではと考え、いそいそと準備をして藺牟田池に向かった。
この時はまだ、「軽く一周して、場合によっては二周してしまおう」などと藺牟田池外輪山の山々を舐めた考えを持っていたのだった。
平日昼間の藺牟田池はとことん静かで、ほぼ車も停まっておらず、そもそも人影もない。そして地獄のように暑い。エアコンの効いた車内から一歩踏み出すと体の薄皮が蒸発していくような感覚がある。白鳥が一羽だけすいすいと穏やかな水面を涼やかに進んでいるのを横目に準備運動をするが、その時点で既に汗が噴き出てきて止まらない。
なるべく体力作りをすることが目的なので小走りでロードを走ったあと入山し、しばらくは穏やかな登山道を走る。日差しは樹林帯で遮られているものの、風がまったくなく暑い。メマトイの追跡から逃れるようにして片城山に取り掛かるが、思っていた以上に消耗しており途中から足が止まる。全身から汗が噴き出る。呼吸も荒い。また思っていた以上に傾斜もきつく、ちょっとしたクサリと岩場まである。この時点で、「二周してしまおう…」という事前の舐めた考えを持っていた自分に平手打ちをしつつ、山に土下座した(実際にはしていないが)。直前に四阿山を登ってきたばかりだったので、10km程度で獲得標高1000m程度なら対応できるのではと想像していたのだが、甘かった。暑さと無風と湿気の飽和によって放熱できず自分の体がセルフヒートアイランド現象みたいになってしまっており、足を止めざるを得なくなってしまった。
心の中で外輪山の山々に土下座しつつ片城山まで何とか登ると、その後は下って登り返す流れが続く。補給をしながらじりじりと進む。途中、ご褒美トレイルのような道もあり楽しくなってくる。竜石の祠の前で手を合わせながら「安直な考えで登ってきてすみませんでした」と謝罪。竜石も、突然汗だくの登山客から謝られてびっくりしたことと思う。
そうして、へろへろになりながら5分の4周を終えたところで少しロードを走って舟見岳に取り掛かる。登山慣れされているヤマップユーザーの皆様はなんとも思わないのかもしれないのですが、這う這うの体で辿り着いた舟見岳登山口から山頂を見上げた時の絶望感というか、またこれを登り返すのか…という苦しさを感じずにはいられませんでした。ただまだ足も動くし元気ではある。休み休み行くこととして綺麗に整備された木の階段をひとつひとつ登っていく。この舟見岳は山頂から土砂崩れの跡が残っていて、調べると令和6年6月の豪雨で被害を受けた場所のようだった。また道路などしっかりと整備をして頂いたことへ感謝をしつつ、メマトイによるストーカーを振り払いながらなんとか山頂に辿り着く。振り返ってみると藺牟田池が木々の向こうに透けて見える。さっき見上げて絶望していた山頂にもう到着したのかと少し意外に思う。自分の限界は自分が勝手に決めているのかもしれない(低山で言うことではないが…)。
もう大殿筋の充電が切れそうだった(残り5%程度)がこのあとは登りはない。蝉時雨の中をひたすらこつこつ下って下山すると、そこには何事もなかったかのように静かな藺牟田池が広がっていた。思っていた以上に時間がかかったが、必ず体力を付けてまたぐるっと一周しようと心に決め、白鳥の写真を撮り、自販機で炭酸を買ってがぶ飲みし、ずぶ濡れのウェアを着替えて帰路についた。