四阿山
四阿山・根子岳
(群馬, 長野)
2026年06月07日(日)
日帰り
四阿山で感じた、山を楽しむということ
前日に続き、今回もやまっちさんに大変お世話になった。
昨日はやまっちさん企画の浅間山(前掛山)登山。そして今日は、百名山の一座である四阿山へ向かう。
もともとは一人で公共交通機関を利用して登る計画を立てていた。しかし、やまっちさんから「一緒に行きましょう」とありがたいお誘いをいただき、宿泊から登山までご一緒させていただくことになった。
前夜は温泉付きのリゾートマンションでお世話になり、さらに翌日の山行まで同行していただける。登山好きにとって、これほど恵まれた環境はなかなかない。本当に感謝しかない。
四阿山は、やまっちさんにとってまさに「庭」のような山だという。四季を通じて何度も足を運び、その魅力も厳しさも知り尽くしている。そんな方と歩く山行には、不思議な安心感があった。
この日も残念ながら快晴とはならなかった。しかし四阿山という山は、多少の天候不順さえも包み込んでしまうだけの懐の深さを持っている。
登山口から続く牧場エリアは特に印象的だった。
左右に大きく開けた景色。草原を吹き抜ける爽やかな風。歩き続けて熱を帯びた身体を優しく冷ましてくれる。そして何より、どこまでも続くような雄大な風景が心を解放してくれる。
普段の生活では、気づかぬうちに視野も心も狭くなりがちだ。しかし、この場所に立つとそんな窮屈さが一気に吹き飛んでいく。
「こんな場所を歩けている自分は、本当に幸運だな」
そんなことを何度も思った。
標高を上げるにつれ、景色は次第に変化していく。
牧歌的だった雰囲気は姿を消し、ガスが濃くなり始めた。風は強さを増し、冷たさが身体に染み込んでくる。
先ほどまで感じていた穏やかな自然とは別の顔だった。
自然を満喫できる幸福感と、自然の持つ圧倒的な力への畏怖。その両方を同時に感じられるのが登山なのだろう。
その感覚を言葉で表現しようとしても、どうしても陳腐になってしまう。実際にその場に立った者だけが理解できる感情なのかもしれない。
今回は根子岳までは足を延ばさなかった。それでも十分すぎるほど満足感のある山行だった。
山頂は完全にガスに包まれ、期待していた展望は得られなかった。しかし不思議と物足りなさは感じない。
むしろ、「眺望がなければ満足できない」という考え方こそ、自分の未熟さなのではないかと思った。
山は景色を見せるためだけに存在しているわけではない。風も、匂いも、寒さも、歩く時間も含めて山なのだ。
そう考えると、今回の山行で少しだけ登山者としての境地に近づけた気がした。
下山後のお楽しみもまた格別だった。
温泉で汗を流し、ジャグジーで疲れた身体を癒やす。そして昨日に続いて胡桃そばを味わう。
蕎麦どころ長野県での食べ比べは、登山と同じくらい贅沢な時間である。
山を歩き、温泉に浸かり、美味しい蕎麦を食べる。
なんとも贅沢な休日だろうか。
最近、自分の周りでも登山に夢中になっている人をよく見かける。
「みんなハマっているなあ」
そんなふうに思っていたが、冷静に考えれば自分も完全にその一人である。
そんな自分を客観的に眺めて、思わず苦笑してしまった。
登山は山頂だけを目指すものではない。
計画を立てる時間も楽しい。歩いている最中も楽しい。そして下山後の温泉や食事もまた楽しい。
登山とは、一日を通して楽しめる総合エンターテインメントなのかもしれない。
そんなことを考えながら、新幹線に乗り込み、帰路についた。