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みんなの「一山一善」紹介|YAMAP清掃登山キャンペーン参加者が1万人到達
いつもお世話になっている山だから、来たときよりも美しく──。登山地図GPSアプリ「YAMAP」は、全国の登山者が一斉に参加する「清掃登山キャンペーン」を5月から実施中。参加者は早くも1万人を超えました。これまでに清掃活動をした方たちの成果や、意外に見つけると楽しい昭和ごみまで、「一山一善」を志す皆さんの活動の様子を紹介します。
目次
全国一斉開催・清掃登山キャンペーンを実施中
「全国一斉開催・清掃登山キャンペーン」は、登山地図GPSアプリ「YAMAP」のユーザーの皆さんで、いつも楽しませてもらっている山のごみを拾いながら歩き、次に入山する人のためにきれいな自然を残していこうという取り組み。YAMAPのサービス開始10周年を記念した企画の一環です。
2023年5月1日〜6月30日のキャンペーン期間中、活動日記でどのようなごみがあったかを報告し、拾ったごみの重さのタグを付けて投稿すると、デジタルバッジがもらえる仕組みです。
参加者数は早くも1万人に到達!
5月29日時点で、キャンペーン参加者は10,000人を記録。キャンペーン期間折り返しの6月1日を前に、YAMAPが当初目標にしていた10,000人を早くも超えました。それだけ、山を登る皆さんの自然を守ろうとする意識が高いことがわかります。
「リアルタイムゴミ拾いモニター」で気になるごみを確認
下記の3ステップでマップを操作することで、気になるピンポイントのごみ情報を確認できます。地元や興味のある山の活動やごみを探してみましょう。ごみを拾ってくれた方には、YAMAPのコミュニティポイントDOMOを送って感謝を伝えられます!
使用法
1.MAPか、右下の「全画面で見る」を拡大・縮小するとエリア内のごみに関する投稿写真が表示されます。
2.気になるごみを見つけたら写真をクリック。
3.回収したごみや写真撮影場所までのルートなど、詳細な情報を活動日記で確認できます。
清掃登山は意外とおもしろい?
「ごみといっても、マスクかあめ玉の包装ぐらいでしょ」
そう思う方も多いかもしれませんが、いつもと違って、ごみに集中しながら歩くと、多種多様なごみが山には多くあることが今回のキャンペーンでわかりました。
自然をきれいにすることにやりがいを感じるのはもちろん、長年の眠りから目覚めた「昭和ごみ」を楽しみながら拾うユーザーも多数いた様子。
ここではキャンペーン参加者の活動日記から、みなさんの成果や苦労とともに、珍しいごみや、実際に活動している雰囲気が伝わるものを紹介していきます。
清掃登山だからといって、大げさにとらえる必要もなく、個人があめ玉の包装を一つ拾うのでも立派な清掃登山! 今後の活動の参考にしてみてください。
5往復するも、終わりの見えないごみの量【埼玉・物見山付近】
埼玉の物見山(375m)付近で、5月下旬に9回目の清掃登山をしたkimagure3344さん。電車で比較的アクセスしやすく、登山者も少なくはない山域ですが、写真の通り、これほどのごみが放置されていたとは驚きです。
登山口に置いた車まで5往復してごみを回収したそうですが、まだまだ写真にある大量のごみが残っているとのことでした。お一人でずっと通われているようで、頭の下がる思いです。
清掃と縦走でワンちゃんも達成感【三重・栗ノ木岳〜修験業山】
主に三重の山でごみ拾いを続けているハルとフクさんは、栗ノ木岳(1,066m)~修験業山(1,093m)の縦走コースで、約12km、累積標高差1327mの清掃登山を実施。
ごみ袋を前にしたワンちゃんの充実した表情からは、飼い主さんが楽しみながら、無理なく清掃登山をしている様子がうかがえました。
「一山一善」で来たときよりも美しく【青森・岩木山】
青森県の最高峰であり、日本百名山の岩木山(1,624m)。そんな名峰であっても、ごみはあるようです。同県在住のとおるさんは、誇りある地元の山の名を汚さないように、「前から気になっていた」という8合目から清掃しました。
8合目まで車でアクセスでき、気軽に登れる山とあって、ごみは多種多様。ビールの空き缶やペットボトル、あめ・チョコの包装だけでなく、折れたトレッキングポールや、カメラのレンズフィルター、バッテリーなど、持ち主に帰らないであろう落とし物系ごみを多数回収してくれました。
計1.5kgとなり、「予想以上に落ちてました」と活動日記で驚きをつづっていたとおるさん。雪が溶ければもっと出てくるはずと、再訪を誓ってくれていました。
推定15kgを回収したユーザーも【千葉・権現森】
千葉の里山を中心に活動するうみすきさんは、権現森(173m)西尾根登山口の草刈りと合わせて清掃してくれました。
イノシシが菜の花を掘り返したとみられる場所のそばには、埋まっていた昔の大量のごみが出土。割れた瓶なども散らばって危険だったため、お一人で推定約15kgものごみを回収してくれました。いち登山者としても、感謝申し上げます。
目指せ100回清掃ハイク【福岡・高良山】
福岡県久留米市の里山、高良山(312m)で、地元山の会の清掃イベントに参加したみどるやすさん。会員を中心とした総勢87人で、古タイヤ4本を含む総計60kgのごみを回収しました。
活動日記によると、89回も続いている清掃イベントとのことで、地域で自発的に続く、模範的な活動になっています。
登山者の落とし物もごみに【大分・くじゅう連山】
熊本在住の九州百名山踏破への備忘録さんは、くじゅう連山の17サミッツに挑戦しながらの清掃登山。約10時間、歩行距離25kmのハードな山行のなかでも、約1.5kgを回収したそうです。
特に目立つのは、登山者が使っていたとみられるマットや手袋。捨てる気はなくても、結果的に自然のなかでごみになっており、登山時の落とし物にも気をつける必要があると痛感させられた日記でした。
ごみ拾いだけでなく、登山道整備や小屋の清掃も【北海道・手稲山付近】
北海道を拠点に活動する助さん。札幌・手稲山そばにあるネオパラ(838m)の登山道の草刈りや山小屋の掃除、標識の確認などの後に、駐車場付近を清掃。40Lごみ袋で2袋、約5kgを回収したとのこと。
登山道の整備と合わせた清掃登山の様子から、地元の山をきれいに登ってほしいという思いやりが伝わってきました。
YAMAPメンバーも清掃登山
全国一斉開催・清掃登山キャンペーン企画のきっかけになったのは、YAMAPメンバーで昨年秋に行った清掃登山です。
東京オフィスメンバー約9人が神奈川の金時山(1,212m)、福岡オフィスメンバー8人も福岡の平尾台(711m)で、清掃登山を同時に実施。
金時山では、3グループに別れ、それぞれ別々のルートから、ごみを回収。事前に自治体に連絡をし、無償提供をしてもらったボランティア用のごみ袋で9kgを回収、処理施設まで運搬しました。福岡ではその倍以上、約19kgを拾っています。
山でごみを拾っていると、道行く登山者から「ありがとう」と声をかけてもらうことも多々。そのためにやっているわけではありませんが、メンバーからは「いつもの登山とは違う会話が生まれていたのはとても新鮮でした」などの声がありました。
山頂で3グループが合流した東京メンバーは、山小屋の女将さんからご褒美にあずきアイスをいただき、充実感とともに、その味は格別でした。
昔は埋めるのがマナー??
YAMAPの清掃登山で一番多かったのは、地面に埋まりかけているような、いわゆる「昭和ごみ」。YAMAPの20代メンバーは見たことのない250mlのファンタ缶など、骨董品レベルのごみが出てくるのは、宝探し的な楽しみでもありました。
今回の清掃登山のキャンペーンに参加した方たちの活動日記でも、数世代前に流通していたとみられるびん、缶の報告が目立ちました。
「まったく昔の人のマナーはどうなっているのか」と思うかもしれませんが、実は、それが正しい作法とされていた時代があったようです。
70代のベテラン登山ガイドに聞いたところでは、「昭和のときは持ち帰る派もいたが、びん、缶は幕営地に埋める人が多かった。マナーというか、荷物を軽くする意味のほうが大きいかもしれない。共通しているのは、紙は燃やし、トイレは持ち帰っていないということ」。
昔の登山のガイドマップにも詳しい太田プロ所属の地図芸人、小林知之さんによると、昔のガイド冊子には「ごみはきちんと埋めて帰りましょう」と書かれているものすらあるそうです。
尾瀬の持ち帰り運動で変わった山ごみの常識
それまでの埋めるという常識は、尾瀬で半世紀前に始まった「ごみ持ち帰り運動」によって、全国的に変わっていきます。
群馬県などの説明によると、尾瀬歩きは昭和30年代後半から空前のブームとなり、1,400カ所にごみ箱が設置されていました。しかし、捨てられる量に埋める処理が追いつかず、ごみがあふれかえる状態に。
1972年(昭和47年)、危機感を持った山小屋組合などの関係者によって、「ごみ持ち帰り運動」が始まります。最初の持ち帰りの呼びかけは山小屋まで。それから登山口まで、駅までと段階的にすすめ、最終的に家まで持って帰ってもらうことに成功。
この動きが全国的に広まり、山のごみは自分で持ち帰るという現在の山のマナーが確立されるようになったとされています。
登山者の間で広がるごみ拾いの輪
全国各地では伝統的に清掃登山を続けている山岳会が多いですが、近年は、SNSの普及などによって、愛好団体・サークルや個人が自発的に清掃登山をする動きが活発になっているのも特徴。
山岳写真グループ・JazzySport山岳写真Team「山ノ革命」も、昨年11月から清掃登山の取り組みを積極的に発信。「山を題材に写真を撮る身として、自然環境に少しでも貢献できないか」と模索していたなか、すでに自分たちがやっている清掃登山の発信を強化しました。
各メンバーのSNSの投稿を見たフォロワーらからも、DMやコメントで「自分もやります」などの共感の声が多数寄せられており、清掃登山の輪の広がりに手応えを感じています。
メンバーの1人、武澤廣征さんによると、ホームマウンテンの高尾山は年間300万人が登る山ながら、意外にもごみは少ないそう。
「一番の理由は、ガイドさんやごみ拾いサークル、ごみ拾いを意識して活動するトレランや登山のグループが多いことです。高尾山は特殊な事例かもしれませんが、『誰かが拾う』ではなく、『見つけた自分が率先して拾う』という意識を持った方が一人でも多くいることで、日本の山が綺麗だと誰もが認める環境が長く続いてくれることを願っています」
YAMAPのキャンペーンで清掃したみなさんも実感しているかもしれませんが、同グループの報告でも「登山道のごみの大半は、行動中に食べたであろうお菓子の包装やマスク、歩いているうちに落としてしまったであろうペットボトル」(別メンバー)とのこと。
発案メンバーの1人であるスズキゴウさんは「ポケットやカバンの開け閉めで気付かぬうちに落としてしまうことも多々あるもの。みんなでカバーしあってより美しい自然を残していきましょう」と呼びかけています。
我々世代できれいな山を残したい
清掃登山のキャンペーン期間は残り1か月。ぜひ友人・知人を誘って、清掃登山に挑戦してみてください。今回参加してくれたユーザーの方々にはあらためて御礼申し上げます。
前回歩いた登山道がきれいだったのは、山を自分ごとのエリアと考える地元の登山者や山岳会・サークルが自浄作用を働かせてきたからかもしれません。
今回の清掃登山のキャンペーンで、一人でも多くの人が一歩を踏み出し、山のごみへの意識を持ってくれればうれしい限り。さらに登山道から活動を広げ、我々世代が生まれたとき以上にきれいな山を残していければと思います。
YAMAP MAGAZINE編集部
石田礼
インドネシア邦字紙と北海道新聞社で報道記者、アウトドアメディア編集を経て、22年からヤマップ。YAMAP MAGAZINE編集長。登山歴は約18年。山歩のほか、山スキーや渓流釣り、パックラフト、沢登りなどで、日本の季節の移ろいを楽しむ。山多めのX(旧ツイッター)https://twitter.com/hokkaidododo
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