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2023年は卯(うさぎ)年|干支の山に登って縁起のいい新年を迎えよう
新年を迎える度に登りたくなる干支の山。12年に一度の巡り合わせと考えると、干支にちなんだ山との出会いは貴重に思えてきますね。2023年は卯年。しかし「うさぎ」のつく山は、2022年の寅年や他の年に比べると多くはありません。そこで今年は、山名だけでなく、うさぎ岩のある山やうさぎに出会える山など、うさぎにちなんだ山をご紹介します。
目次
干支の「うさぎ」にまつわる話
十二支は、古くから方位や時刻、年月を表すのに使われていました。例えば「草木も眠る丑(うし)三つ時」は深夜2時から2時半頃を指し、異界への扉が開く不吉な時間帯と考えられていたり、午前と午後は、12時頃にあたる午(うま)刻の前後であることがその由来だそう。卯(う)の刻は午前5〜7時の間を、卯の方角は東を指します。
うさぎは古くから、月の神の使者であるともいわれ、悪運から逃れる力があるとされています。出羽三山のひとつ、山形県の月山八合目にある中之宮には「なで兎」が鎮座。卯年はよりご利益があるとされる、月山の「ご縁年」だそうです。
干支の中のうさぎは、飛び跳ねるイメージから飛躍の象徴とされています。また、子沢山であることから、子孫繁栄、豊穣の象徴であるともいわれます。新しい年は飛躍の年にしたいですね。ただし、「二兎を追うものは一兎をも得ず」ということわざも。くれぐれも欲張りすぎないよう謙虚に過ごしたいものです。
山名に「うさぎ」のつく山
有名なところでは、南アルプスの兎岳(長野県、2,818m)や石川県と福井県にまたがる赤兎山(1,628m)などが挙げられます。しかし季節は冬。ここでは、標高1,000m以下の山を中心に、山中や山麓にある初詣スポットと合わせていくつかご紹介しましょう。
兎荷山(とつかやま) 静岡県浜松市/標高 410m
兎荷山は国指定史跡、三岳城跡のある三岳山(466m)に連なるピーク。三岳城は南北朝時代、戦国時代の井伊氏の本城で、山中には土塁や石積みなどが残っています。井伊氏といえば、徳川家康の忠臣、井伊の赤鬼の別名で恐れられた井伊直政にもつながる家系。兎荷山山頂は展望もなく樹林帯の中にありますが、山城の名残を探しながら、三岳山とその東にそびえる「立須の峰」と呼ばれる岩峰とを合わせて歩いてみましょう。
三岳山の山頂からは浜松市街や浜名湖、遠州灘まで見渡すことができます。立須では、ゴツゴツとした岩峰をよじ登った先に素晴らしい展望が広がりますが、岩場が続くため登山経験者にオススメです。
兎荷山の初詣スポット/三岳神社
兎走山(とのやま) 岐阜県岐阜市/標高172m
岐阜城のある金華山周辺の山10座をつなぐ「金華山サークルトレイル」。全長約18kmを一筆書きで歩くこのルートは、「グレートトラバース3 日本三百名山ひと筆書き」で有名な田中陽気さんにあやかり、最近では「グレートトラバース」とも呼ばれているようです。その10座の一つが兎走山。山頂は展望もなく樹林帯の中ですが、新しい年の初チャレンジとして、10座をつないで歩くのもオススメ。10座の中には三峰山など、展望抜群の初日の出スポットもあります。トレースが不明瞭だったり分岐も多いため、現在地の確認をしっかりと。
ちなみに、岐阜城は『鎌倉殿の13人』にも登場した二階堂行政(のえの祖父)が初代城主とも伝わり、『どうする家康』にも登場する織田信長が本拠地とした天下の名城。周辺は、ふたつの大河ドラマに思いを馳せるにはうってつけのエリアです。
兎走山の初詣スポット/春日神社
光兎山(こうさぎさん) 新潟県岩船郡関川村/標高 966m
光兎山は比叡山延暦寺の座主慈覚大師により開かれた霊山で、羽黒山の修験道の行場でもあったことから、昭和24年まで女人禁制の山とされてきました。山名の由来は、春になると山頂直下に兎の姿をした雪形が現れることからきているといいます。美しい三角形の山容は、伊能忠敬が測量の際に目印にしたというほど。6月にはヒメサユリが山を彩ります。山頂は飯豊・朝日連峰を望む大展望。冬山の熟練者以外、積雪期の入山は避けましょう。
下山後はぜひ、山麓にある光兎神社でお参りを。光兎大神と月読尊(ツクヨミノミコト)を祀り、境内にはあちこちに兎があしらわれ、おみくじからお守り、御朱印に至るまでうさぎだらけです。
光兎山の初詣スポット/光兎神社
うさぎ岩を探しに行こう!
山名に干支のつく山をご紹介しましたが、お気づきのように山名に「うさぎ」とついてもうさぎに出会えるわけではありません…。「そうじゃない!うさぎを見たい!」という方のために、次は「うさぎ岩」のある山をご紹介。ぜひ、山中に隠れているうさぎを探しながら歩いてみてください。
海を見張るうさぎ|白滝山(しらたきさん)広島県尾道市/標高 226m
瀬戸内海に浮かぶ因島の白滝山は、山麓にある善興寺の奥の院で、古くから霊山として信仰されています。南北朝から戦国時代にかけては、村上水軍の見張り所として観音堂が建てられ、江戸時代には豪商柏原伝六が、山上に清浄世界を現そうと700体の石仏をつくりました。ちなみに村上水軍は、瀬戸内海を席巻した名うての海賊集団。戦国時代には徳川家康や羽柴秀吉も与する織田家を相手に、果敢なる戦いを挑んだと伝わっています。
境内にはうさぎ岩の他にも、悲恋の民話が残る恋愛成就の「恋し岩」も。「しま山100選」のひとつでもあり、展望台からは瀬戸内海の島々が望めます。往復1時間ほどのハイキングで親子にもおすすめです。
登れるうさぎ|大師山(だいしやま)山口県岩国市/標高 473m
大師山の登山道は、その名の通り大師堂や大師像、石仏が点在する八十八ケ所巡りの参道となっていて、くぐり岩を抜けて山頂を目指します。山頂からは北に望む三倉岳(広島県・山口県)の特徴的な岩峰や、南東に連なる白滝山(前述の白滝山とは別の山)を望みます。うさぎ岩は大師山山頂から見ることができ、白滝山まで縦走すれば、うさぎ岩の上に登ることも可能。縦走路では大展望の岩場が次々と現れ、岩峰好き、展望好きにはたまらない道です。ぜひ縦走してみてください。
月が恋しいうさぎ|義呂利松(ぎろりまつ)・うさぎ岩・天狗岩 岐阜県瑞浪市/標高 642m
世界一大きい狛犬、世界一大きい茶壺、世界一大きい大皿と、三大世界一を誇る焼き物の町岐阜県瑞浪市が、2023年、次なる「世界一大きい〇〇」で大注目されそうな予感。それは、山腹で空を見上げる巨大な「うさぎ岩」。昔話によると、餅つきを怠け月から降ろされたうさぎが、月が恋しくて帰りたくなり山へ登るも、八合目で夜が明けて岩になってしまったそう。地元では、12年ぶりに登山道や岩の周囲を整備して新年を迎える準備をしているそうです。
うさぎに会える島ハイキング
岩じゃなくて本物のうさぎを見たい! そんなあなたへ、次は実際にうさぎに出会える島をご紹介。海を渡り、うさぎに会いに行くプチトリップハイキングはいかがですか。
大久野島(おおくのしま)広島県竹原市
広島県忠海港からフェリーで15分の大久野島。約500〜600羽ものうさぎが生息し、「うさぎ島」と呼ばれています。島の周囲は約4kmで、1時間半ほどで一周することができます。自然豊かな島ですが、戦時中は毒ガスの製造工場があり国家機密として「地図から消された島」と呼ばれていました。今も残る史跡や資料館で当時のことを知ることができます。うさぎと触れ合いながら、平和の尊さを改めて感じられることでしょう。キャンプ場や休暇村もあり宿泊も可能です。
うさぎを参るご利益縦走
出雲大社の主祭神は、古事記に記された「因幡の白兎」の中でうさぎを助けた大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)です。出雲大社の境内には神話をモチーフにしたうさぎと神様の像の他、61羽ものうさぎの石像があるそうです。
若干こじつけですが、卯年こそ、登山と合わせて出雲大社を参る絶好の機会かもしれません。そこで、昔の人々が歩いて出雲大社に詣でたように、出雲平野の北側にそびえる山々を、東の旅伏山から西の弥山までつないで歩き、出雲大社にゴールする出雲北山縦走をご紹介しましょう。
出雲北山縦走|旅伏山(たぶしさん)〜弥山(みせん)島根県出雲市
全長約13km、歩行時間約8時間のルートです。出雲大社をゴールとするため、出雲北山の東の端、旅伏山からスタートして弥山を目指します。スタートとゴール地点は、ローカル線の一畑電車(いちばたでんしゃ)を利用してつなぐことができます。展望のいい一座目の旅伏山でのご来光を狙って、日の出前に出発する人もいるようです。最高峰は536mの鼻高山ですが、アップダウンの繰り返しが続く長丁場になるので、コースタイムを確認しながら無理せず挑みましょう。
ゴール後、余力が残っていれば、ぜひ「お砂とり」のために稲佐の浜に立ち寄ってから出雲大社へ。海抜0m地点をゴールにできる上に、海岸の砂を取ってお参りすると、出雲大社の素鵞社(そがのやしろ)でお清めの御砂と交換できます。
今年も会いたい! ジャンボ干支
昨年もYMAP MAGAZINEで紹介した干支の山。恒例となっている静岡県の粟ケ岳山頂に毎年お目見えするジャンボ干支が、今年も準備万端でみなさんを待ってくれています。
粟ヶ岳(あわがたけ)静岡県掛川市/標高 531m
粟ヶ岳山頂の休憩所「かっぽしテラス」前に設置されるジャンボ干支は、世界農業遺産認定の「茶草場農法」に使われるススキやササなどの茶草でつくられています。テラスからは広大なお茶畑や富士山も望めて、お正月気分満点。紅葉や花の見頃だけでなく、毎年同じ時期に、同じ山で楽しみがあるっていいですね。正面の姿は、ぜひ実物で!
「登り納め&登り初めバッジ」をゲットしよう!
YAMAPの地図アプリには、指定されたランドマークを通過するとデジタルバッジがもらえるバッジ機能があります。昨年に引き続き、登り納め2022と登り初め2023の2種類の年末年始限定バッジを追加しました。それぞれ年末と年始の期間に山に登り、該当の活動日記を公開した方が対象となります。年末年始は山に登って、限定バッジをゲットしませんか?
期間や獲得の条件など、詳しい情報は以下をご覧ください。
※どの山頂ランドマークを通過してもバッジの獲得対象になります。人の多い人気の山でなくても獲得できるので、ぜひ近場の低山などにも登ってみてください。
トップ画像:aruko3776さんの活動日記より
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