活動データ
タイム
06:13
距離
15.1km
のぼり
1604m
くだり
1603m
活動詳細
すべて見る鉄のワラジで闊歩(かっぽ)な話 最近の話、息子と車で秩父へ出掛けた帰りに山道を抜けて帰って来たが、帰路の途中に飯能アルプス登山コースで人気の寺「子の権現(ねのごんげん)」があり「鉄の草鞋(わらじ)」が車中でひとしきり話題になった。子の権現へ始めて行ったのは今から30年ほど前で家族旅行の帰り道に散策がてら立ち寄ると、あまりに大きな鉄の草鞋が飾られ驚いて意味もなく手を合わせて見入ったことを思い出していた。この寺は足腰守護の神仏として信仰を集めているそうだが、何故あの草鞋?と巨大な鉄の草鞋に思いを巡らせてみた。 調べれば、日本各地に残る民話には巨人伝説が多いと知り、確かに昔話に登場する大男には不思議な力を醸し出し(かもしだし)変に取り憑かれそうな魔力を感じてしまうが、その実際は思わず笑ってしまう有り得なさ。例えば、石川県には「たんたん法師」「大多(だいた)法師」と呼ばれた大男がいて日本海から陸へと上がった最初の一歩が足形として残り、山梨県へ入ればレイラボッチという大力の坊主が二つの山を担ごうとした話が残るなど日本各地の巨人伝説には枚挙にいとまがなく、脈々と伝わる民話の世界に何故だか無性に惹きつけられてしまい入り込んでみたくもなる。 つい最近まで知らなかったのだが関東にも意外に巨人伝説が多くあり、東京都では「ダイダラ坊」、神奈川県相模野の「ダイラボッチ」や横浜の「デエラボッチ」、千葉県の茂原には「ダイダッポ」、茨城県の手賀沼にも「ダイダラボー」という巨人が住んでいたという民話がのこり、栃木県の下野では「デンデンボメ」という巨人が羽黒山に腰掛けて鬼怒川で足を洗った話が残っている。群馬県でも「ダイダラボッチ」が赤城山に腰掛けて踏ん張った時の足跡が水溜りになって赤沼ができたりと、探せば日本各地に巨人伝説が残っていて果ては熊本県の「アマンシャグマ」や沖縄県の「アマンチュー」伝説まで辿り着くなど創造の世界に住む巨人がこの国を自由気儘に闊歩していた様が目に浮かぶようでもある。 そういえば、何故か日本人は巨大なものに憧れるようで、鉄人28号やウルトラマンにマジンガーZまで飛び出す正義の味方に夢は広がりゴジラが騒げば心も躍るが、コロナ禍で増す悪意だけには願い下げたいものである。 創造の世界に棲む巨人、鉄の草鞋で気儘(きまま)に登る今日の山 武川岳(たけがわだけ)である この山は、先日登った棒ノ折山の頂きからひとつ尾根を挟んで見える間近の山で、荒川の支流の横瀬川源頭の山。冒頭の枕文で取り上げた「子の権現」にも近く、この山を鉄の草鞋を履いた巨人が気儘に闊歩する、そんな思いを巡らせながら歩いて見ようかなと思っている。 登山の計画では、名郷バス停から天狗尾根を伝い前武川岳を越えて武川岳に登り、妻坂峠へ下るとすぐに登り返して大持山までを考えて、下山に鳥首峠からの周回コースは少し長いがしっかり歩くつもりでいる。 登山は、名郷のバス停から白岩方面へと進んで右手の民宿西山荘脇を抜け山道へと入るが、樹林帯の中を高度を上げながら歩いていけばゴツゴツとした岩が散在して現れて、間も無く天狗岩の分岐が見えてくる。右に女坂、左に男坂の表示があり、今回は男坂を選んで急斜面の岩場に取り付くことにしたけど難しさは無く、注意しながら登れば問題なく天狗岩に着くのである。残念ながら天狗岩からの展望は期待できないけれど、ここから緩やかに?気持ちだけでも緩やかに天狗尾根を歩いて前武川岳に登れば武川岳はもうすぐの目の前にある。 武川岳山頂である。 頂きから見える奥多摩方面には先週登った棒ノ折山や岩茸石山も望めていて幾重にも重なり連なる山並みを暫く見入り感動をいただいて先へと進む。妻坂峠へは思いもかけぬ急斜面がずっと林の中を下っていくが、その後の大持山への登り返しを考えれば憂鬱になる程の急登がずっと続くけど、無理せずのんびりと静かに攻めて行くのです。 大持山である。 妻坂峠からの嫌らしい急登に息を切らせて稜線に上れば山頂はすぐの所にあるが、残念ながら眺望は望めずそそくさと後にして一気に下山へと掛かるのだ。鳥首峠までの稜線歩きも何度かアップダウンを繰り返し、吹き抜ける風の冷たさを体に感じながらもやや早足で駆け抜けて行くのである。気持ちだけだが兎にも角にも気持ちだけ。 今日も無事に下山でなによりですね! おつかれ山〜 ふりかえり 今回の下山コースにウノタワがある。伝説の地はしんとして静寂に包まれた異界の空気を漂わせていたが、昔この地は大きな沼があり山ノ神の化身が住んでいて・・・民話の世界が今の世でも人の心に生き続けている。窪地だが決して巨人の足跡では無いようだ。
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