札幌150峰に山鼻221.7mがある。山鼻? 路面電車の走る文教エリアではないか。文化の香りを味わいに、朝の散歩は山鼻を歩くことにした。 「さぁ!市電に乗ってお出掛けだ!」…とは行かなかった。東海大学札幌キャンパスの裏山なのだ。南区南沢が山鼻だって? 明治3年に東本願寺管刹所、現在の真宗大谷派札幌別院が開設され、同寺は翌年に山鼻と八垂別の間に今の石山通の原型である八垂別新道を開削した。この新道までの一帯が中ノ沢、南沢地区も含めて山鼻村となったそうだが、そこはかつて、アイヌ語で「ユクニクリ」(鹿の住む林)と呼ばれていたらしい。藻岩山(ヤマ)の端(ハ、ハナ)からヤマのハナとなって山鼻と名付けられた、と物の本には書いてある。点名にはそんな歴史の名残があるのか。 野球場のフェンス沿いに山鼻に通じる踏み跡が有りそうなのだが、フェンスの出入口が針金で封鎖されており、「入構禁止」の注意書が掲示されていた。気の弱い私は入構禁止のフェンスを乗り越えることができない。取り付けそうな場所を探して歩いていると、南沢スワン公園の木柵から刈り分け道が延びているのが目に入った。どうやら送電線管理のための作業道のようだ。そこを歩くことにした。10分ほど送電線の下を歩き、笹藪に取り付いて尾根に上がる。尾根上のコブから東へ15分ほどの藪漕ぎで三等三角点「山鼻」△221.7mを確認。 むろん藪山なので山頂からの眺望はなく、さっさと引き返した。 朝の散歩は、文化の香りを味わいながら歩くはずだったのだが、文化には程遠い藪漕ぎを味う羽目になってしまった。 と、ここまで書いて来てハッと思った。フェンスには入構禁止と書いてあったので、品行方正な私はそこから入らずに公園から入山している。ところが下山して帰着した場所がこのフェンスの出入口だ。そしてここを跨いで道路に出たのを思い出したのである。 入構禁止とは書いてあったが、出構禁止と書いていなかったとは言え、品行方正な私は、ここで悩んでしまったのである。
グラウンドの奥に山鼻。
南沢スワン公園の木柵を越えると、送電線管理のための作業道が延びている。ここから出発した。
鉄塔基部を通り抜ける。
作業道から尾根へ取り付く。 短い急登だが藪漕ぎとなる。
尾根に出た。
230mのコブ。ここから東へ向かうべきところ、無意識に笹の薄いところを進んでしまったため、気が付くと北へ向かっていた。
途中にあった不思議な物。何だろう? ここを更に北に向かったが、方向違いに気付いてコブまで引き返す。
コブから鞍部まで標高差30mほどを下る。途中、何ヵ所かに桃色テープがあった。
コブから三角点までは笹藪を漕ぐことになる。
ここにもテープが。
もうすぐ三角点。
到着。三角点の回りは笹が刈り払われていた。
三等三角点「山鼻」△221.7m。
頂上の周囲はこんな感じで、展望なし。樹間からは微かに東海大学の校舎が透けて見える。
ヒグマ生息状況調査のための監視装置だろうか?
左折してグラウンド方向へ向かった。
グラウンドまでは踏み跡があるが、両側から笹が覆い被さっている。
踏み跡の左側に白樺林。
東海大学のグラウンドが見えた。
踏み跡を出た所にこんな注意書が。 とすると、東海大学の敷地内だが一般の方も利用されているようだ。
もう秋の風情だ。 ススキの奥に山鼻。
踏み跡を出た辺りから山鼻を望む。
山鼻。いかにも裏山といった山容だ。
南沢スワン公園の木柵。ここを越えて作業道に入った。
グラウンドのフェンス。出入口は針金で封鎖されている。この笹つ原の奥から踏み跡が延びている。最初からここをスタートすれば良かったのだが、フェンスに次の注意書が掲示してある。 入構禁止 新型コロナウィルス感染拡大防止のため関係者以外の立入禁止します。東海大学