八ヶ岳（ペヤング） / ランボーさんの八ヶ岳（赤岳・硫黄岳・天狗岳）の活動日記

山頂でレジャーシートを敷いてコーヒーを淹れてサンドイッチを食べてタバコを吸って昼寝して漫画でも読んでゲームでもして登山を初めた頃はそんなピクニックみたいな事をしようとしていた。きっと山に夢を見ていたんだろう。そんなピンク色の脳味噌で登山をはじめた。だんだんわかってきたがそんなに甘くはなかった。冬は淹れたコーヒーがすぐにアイスコーヒーになるし寒すぎて腹が減ったかどうかがわからず飯も食う気にならない。頑張ってカップラーメンを食べるが食い終わる頃には冷たくなっている。氷点下で食うペヤングは最悪だった。予想はしていたがお湯を捨てると麺がものすごいスピードでお湯を注ぐ前のカチカチの状態に戻っていく。クソまずかった。家に一個転がってると幸せな気持ちになれるあのペヤングが子供の頃から慣れ親しんできたあのペヤングがすごく冷たくて硬かったんだ万能かと思っていた。どこで食べても俺を優しい気持ちにさせてくれると思っていた。ペヤングに絶対の信頼を置いていただがペヤングは寒いという理由だけであっさり俺を裏切ったこんなまずい食い物がこの世にあるのかと思った。あの硬かったペヤングを全部食べた自分を誉めたいと思います。頑張ったよ俺、頑張ったよ、天国のおじいちゃん山ご飯の選択肢からペヤングは消えた。痴がましいがここで登山素人の俺から先輩の皆さんへのワンポイントアドバイスがある冬山でペヤングはやめとけ夏は夏で汗だくだ。コーヒーの気分じゃない。コーヒーより水だ。真水の方が100倍うまい。水筒でガンガンに冷やした水をわざわざコップに注いで飲むのが最高にうまい。夏はそのコップの中にも虫が突撃してくるがそれは見なかった事としタンパク質として美味しくいただく。これだけ登山道具に金を使ってタダの水とタダの景色が最高の贅沢なんだからおかしくてしょうがない。汗だくで飯など食いたくもない。お菓子とゼリーを鳥みたいに啄むのが精一杯だ。山頂で虫と戦いながら炎天下でラーメンとか食ってる奴を見ると跪いて拝みたい気分になる。俺もいつかはその神の領域にいってやるわ。山に登り出して空白の2ヶ月間を含め6ヶ月がたった。だんだん出来る事と出来ない事がわかってきた。やって気分が良い行為とやって気分が悪い行為がわかってきた。やりたかった登山から離れていくがそれはそれでいいんだろう。きっとそっちがやりたい登山なんだろう。無知が故に経験が目標をどんどん変えてくんだろう。俺にしてはいい傾向だ。知らねーけど。