活動データ
タイム
00:23
距離
4.0km
のぼり
168m
くだり
184m
チェックポイント
活動詳細
すべて見る※本日は山登りしておりません。山を眺めただけの話なので、悪しからず。 今日は行き先がない。 9時まで寝てたから、今から山に登るのも気が向かないし、別にこれと言ってしたいこともない。 けど、何にもせずに過ごせば、日曜日が秒で去っていく。それはいやだ。 とりあえずバイクに跨がって、エンジンをかける。CBと、どっかに行くのは嫌じゃない。なんとなく走りはじめて、排気音を楽しむ。 なんにも考えることもなく、アクセルをひねり、ギアチェンジして、リーンしたりブレーキかけたりするうちに、いつか海にたどり着いていた。 静かな海岸線でバイクを降りる。 曇りがちだけどまあいいや。 海を覗きこむ。透き通っている。 ちゃぽん、ちゃぽん、と波打ち際の音が聞こえて、胸がきゅうっとなる。この音を聞くと、海から、おいでおいでされてるみたいな気持ちになって、靴脱いで水遊びしたくなる。いっそのこと、泳いでみたい。 変な衝動にドギマギしながら、海を眺める。 整った三角形の、小さな山が沖合いに浮かんでいた。 理想的な三角形だ。竜宮城に山があれば、きっとああいう姿をしているに違いない。 そうだ、竜宮山と名付けよう。 行ってみたいな、海の山。 ライダー姿のおっさんが、いきなり海に入ったら、不審者として通報されて、騒ぎになるかもしれない。浦島太郎みたいに、亀がいじめられてたりすれば話は違うが、そう都合よく海亀なんているはずがない。 仕方ないのでオートバイに跨がって、少し離れたところにある中華屋さんで、冷やし中華を食べることにした。ヒヤッとした味に満足するに違いない。 台湾料理屋に入った。店のおじさんとおばさんが中国語で話している。本物感が漂う。食べログで見た冷やし中華を頼んだ。 待ってる間に、本棚にあったクローズ・リブートというマンガを読む。不良高校生が、最強の座を巡って毎回ケンカしてる。他には、戦う理由が読み取れない。 私が若かった頃の不良マンガ、例えば「今日から俺は」とか「ろくでなしブルース」には、戦う理由が他にもあったものだが、21世紀にはそんなものはないらしい。気の毒にも思うし、羨ましくも思う。 冷やし中華が来て、食った。旨かった。が、ふと、台湾に「冷やし中華」なんてあるのだろうか、と疑いを抱いた。 回鍋肉とか青椒肉絲ならあるだろう。料理名からして、中国語だもの。でも、「冷やし中華」って、おもいっきり日本語だ。 ご主人からして本場ものの店なのに、よりによって、疑惑の料理を選んでしまった自分が、少し恥ずかしくなった。 腹一杯になって家路についた。 海を右手に見ながら速度をあげる。信号待ちで宇土半島を横切る県道に気付いた。 国道を帰ればそのまま家に向かうが、やることもないのでわざと県道に寄ってみることにした。 でこぼこ道の林道みたいな道を注意しながら運転する。 爽快感はない。そのまま国道を走ればよかった。 が、失敗も大切な経験だ。渋い顔してバイクを走らせる。高い木々に囲まれた暗い道を抜けていると、ふと道しるべを見いだした。 「大矢山 2.8キロ」と書いてある。ヤマップで調べるが、マイナーなところらしくて、さほどの情報はない。 しかし、分岐した先もかろうじて舗装された細い林道だったので、恐る恐るバイクで走ってみることにする。海にはなかなか入れないけど、ヤマップがあれば、山には入れるもんね。 濡れ落葉や枯れ枝でデコボコとした狭い道を、後輪を滑らせながら進む。 うむ、こなけりゃ良かったかも、と半泣きになったとき、見晴らしが開けて、戦国時代の山城みたいな頂が見えた。 バイクを停めて、しばらく見入った。 今日という一日は、竜宮城みたいな山と、お城みたいな山が見れたので、よい一日だったことにする。
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