※本日は山登りしておりません。山を眺めただけの話なので、悪しからず。 今日は行き先がない。 9時まで寝てたから、今から山に登るのも気が向かないし、別にこれと言ってしたいこともない。 けど、何にもせずに過ごせば、日曜日が秒で去っていく。それはいやだ。 とりあえずバイクに跨がって、エンジンをかける。CBと、どっかに行くのは嫌じゃない。なんとなく走りはじめて、排気音を楽しむ。 なんにも考えることもなく、アクセルをひねり、ギアチェンジして、リーンしたりブレーキかけたりするうちに、いつか海にたどり着いていた。 静かな海岸線でバイクを降りる。 曇りがちだけどまあいいや。 海を覗きこむ。透き通っている。 ちゃぽん、ちゃぽん、と波打ち際の音が聞こえて、胸がきゅうっとなる。この音を聞くと、海から、おいでおいでされてるみたいな気持ちになって、靴脱いで水遊びしたくなる。いっそのこと、泳いでみたい。 変な衝動にドギマギしながら、海を眺める。 整った三角形の、小さな山が沖合いに浮かんでいた。 理想的な三角形だ。竜宮城に山があれば、きっとああいう姿をしているに違いない。 そうだ、竜宮山と名付けよう。 行ってみたいな、海の山。 ライダー姿のおっさんが、いきなり海に入ったら、不審者として通報されて、騒ぎになるかもしれない。浦島太郎みたいに、亀がいじめられてたりすれば話は違うが、そう都合よく海亀なんているはずがない。 仕方ないのでオートバイに跨がって、少し離れたところにある中華屋さんで、冷やし中華を食べることにした。ヒヤッとした味に満足するに違いない。 台湾料理屋に入った。店のおじさんとおばさんが中国語で話している。本物感が漂う。食べログで見た冷やし中華を頼んだ。 待ってる間に、本棚にあったクローズ・リブートというマンガを読む。不良高校生が、最強の座を巡って毎回ケンカしてる。他には、戦う理由が読み取れない。 私が若かった頃の不良マンガ、例えば「今日から俺は」とか「ろくでなしブルース」には、戦う理由が他にもあったものだが、21世紀にはそんなものはないらしい。気の毒にも思うし、羨ましくも思う。 冷やし中華が来て、食った。旨かった。が、ふと、台湾に「冷やし中華」なんてあるのだろうか、と疑いを抱いた。 回鍋肉とか青椒肉絲ならあるだろう。料理名からして、中国語だもの。でも、「冷やし中華」って、おもいっきり日本語だ。 ご主人からして本場ものの店なのに、よりによって、疑惑の料理を選んでしまった自分が、少し恥ずかしくなった。 腹一杯になって家路についた。 海を右手に見ながら速度をあげる。信号待ちで宇土半島を横切る県道に気付いた。 国道を帰ればそのまま家に向かうが、やることもないのでわざと県道に寄ってみることにした。 でこぼこ道の林道みたいな道を注意しながら運転する。 爽快感はない。そのまま国道を走ればよかった。 が、失敗も大切な経験だ。渋い顔してバイクを走らせる。高い木々に囲まれた暗い道を抜けていると、ふと道しるべを見いだした。 「大矢山 2.8キロ」と書いてある。ヤマップで調べるが、マイナーなところらしくて、さほどの情報はない。 しかし、分岐した先もかろうじて舗装された細い林道だったので、恐る恐るバイクで走ってみることにする。海にはなかなか入れないけど、ヤマップがあれば、山には入れるもんね。 濡れ落葉や枯れ枝でデコボコとした狭い道を、後輪を滑らせながら進む。 うむ、こなけりゃ良かったかも、と半泣きになったとき、見晴らしが開けて、戦国時代の山城みたいな頂が見えた。 バイクを停めて、しばらく見入った。 今日という一日は、竜宮城みたいな山と、お城みたいな山が見れたので、よい一日だったことにする。
熊本・上天草の大矢野に来た
フラワーロードという農免道路を抜けたところ。静かな海岸線
海の向こうに、小さいけど理想的な三角形の美しいお姿の山が。竜宮城みたいだ
波打ち際のポチャンポチャンを聞いていると、海に誘われそうになる。向こうには理想の山があるし
透明な海と、綺麗な三角の山。
波が寄せて、帰っていく。なんでか胸がきゅうっとなるのです
腹が減ってきたので、食べログで調べた中華屋へ向かう
台湾料理屋。冷やし中華が旨いらしい
いろいろ選べるセット。大衆中華っていいですね
店に置いてあったマンガ「クローズ」の続編みたいなのを読んで、昼飯食った。旨かった。不良少年たちが、一番強いのは誰かを巡って、ほぼほぼ毎回ケンカしてた。読み終わって、合掌・礼拝の気持ちになった
この人たちがケンカする理由はよく判る
ろくでなしブルースのこの人たちも。たとえば、友達を守るため、とか
この人たちのことは、よくわからん
テレビの旅番組で熊本市を芸能人が訪れてた。こっちも旅気分なので、地元が旅先と言われて、変な気がした
宇土半島をバイクで横断して帰る途中、期せずして「大岳山」を発見
ヤマップで調べたが、マイナーなところらしい。が、舗装林道だったので、行けるとこまで行ってみる
こういう微妙な分岐が多い。路面は濡れ落ち葉で滑りやすい。スロットル荒いと後輪滑る
でも、カーブミラーがあるのだから、自動車の通行が想定されてるはず(?)
この先、猪対策の電柵でバイク通行止め。リーバイス501とライディングジャケット、靴もエンジニアブーツのバイカー装備だったので、引き返すことにした
きっと、あれが大岳山なのでしょう。山城的なお姿
県道まで戻った。と言っても林道みたいな狭い道。四輪では来たくない
県道243です
帰りの国道沿いで休憩して海を眺めた。ひどく濁っていた。なんで?