仙丈ヶ岳・穴沢ノ頭

2024.02.23(金) 2 DAYS

活動データ

タイム

17:22

距離

26.2km

のぼり

2453m

くだり

2460m

チェックポイント

DAY 1
合計時間
11 時間 12
休憩時間
1 時間 16
距離
12.8 km
のぼり / くだり
2024 / 307 m
10 48
DAY 2
合計時間
6 時間 9
休憩時間
14
距離
13.3 km
のぼり / くだり
420 / 2152 m
4 3
1 15

活動詳細

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仙丈ヶ岳へ。 登山天気の三連休の予報は、金曜は小雪で土曜は晴れ、日曜はまた小雪。では眺望がないという地蔵尾根を金曜に登ってテント泊して、土曜に登頂しよう。 黒百合ヒュッテでの雪中テント泊で25kgの荷量では動けないことが分かったので、今回は食材を乾かしアルコール度数を上げることで軽量化して15kgとした。 柏木登山口駐車場は、車が停められて綺麗なトイレと水場がある必要十分な登山口(オーナー様、ありがとうございます)。 満車が怖かったので深夜に到着したが、好きな所でテント張れるしとのんびり7:30に出発。天候は予報通り曇天の小米雪。 七丈小屋のSNSでは、木曜の雨で黒戸尾根は1700mまで雪が溶けたとのことだったが、こちらはまだ積雪がある。トラバースの道幅が狭く、氷が隠れている箇所もあって転ぶ。チェーンスパイクを履くが、3人のパーティに道を譲って頂いた直後だったので、また譲って頂いて恥ずかしい。 皆さんの感想通り長い地蔵尾根。カラマツからシラビソへ植生が変わる頃には無の境地に至っており、松峰小屋への分岐でアイゼンに換装すべきだったがそのまま行き、テント泊適地も通り過ぎて気付けば前には抜きつ抜かれつしていた青年2人のみ。 1人は歩き方が綺麗で軽々とラッセルしてくれている(ように見える)。もう1人はそのトレースを踏み抜きまくっている。見ただけで2人にはかなり力量の差があり、ラッセルくん一人だったら追いつくこともなかっただろう。 とはいえ自分もチェーンスパイクで滑りまくってピッケルと枝を頼りに登っている状態なので、2人の後をついていく。 樹林帯を抜ける最後の急登。突然、踏み抜きくんが、もう無理です!と叫ぶ。見上げるともちろん踏み抜いている。更に上のラッセルくんと話し始めたので、段差を作ってアイゼンに履き替える。踏み抜きくんの所まで上がると、仙丈小屋まで行く予定だったがもう上がれない、テントもツエルトもないし日没前に松峰小屋まで下りたいとのこと。 ラッセルくんとすれ違い、ここまでありがとうと稜線に上がる(アイゼン登り易い)。 稜線は強風ですぐに末端が痺れてくるが、2人をほっとけないなぁと様子を見ていると冬毛の雷鳥が。こっちは割と逼迫した状況だけど、逃げもせず呑気に何かしてる。 と、ラッセルくんが上がってきて、松峰小屋に下るより仙丈小屋に上がる方が早いし、稜線は風で雪が飛ばされてるから踏み抜きはないと説得するため状況を確認しに来たとのこと。 踏み抜きくんはケガしてる訳じゃなく気持ちが折れただけなので、最悪自分の二人用テントで寝るとして仙丈小屋までがんばろうと伝えて貰ったところ、素直に登ってくる。 時刻は16時過ぎ。ガスが切れ視界が広がっていく。停滞して既に冷え切ってる中、ラッセルくんを先頭に踏み抜きくんを間にして仙丈小屋を目指す。ラッセルくんは軽々と登っていくが、踏み抜きくんのペースは上がらず、その後ろの僕は強風に手指も胴体も冷え、眼球も乾いていく。 中央アルプスへ落日を見送り夜の帳が下りると、小望月に煌々と照らされて青く聳える雪の女王は遥か彼方に見える。 いつでも目的地は心情より少し先にある。小屋への分岐まで上がった時の安堵感は大きかった。 風を凌げるだけでこんなに暖かい。とはいえ寒いので寝袋に入ってホットウイスキーを飲んだら気持ちも身体も弛んで寝落ちる。 翌朝は快晴。2人はモルゲンハントに出掛けたので、僕はカールを登って写真を撮り、食事を摂ってトイレに行き、静寂を胸いっぱいに吸い込む。3人で身支度を整え9時過ぎに小屋を後にする。僕は山頂へ、2人は下山。 昨夕の近づき難い印象とは打って変わって、青空を背景に陶器のように滑らかな南アルプスの女王。風もなく、昨日の苦労が報われる。 山頂で言葉を失う。何かを前にして、震えるほど感動することが僕には他にない。

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