活動データ
タイム
20:14
距離
27.1km
のぼり
2733m
くだり
2734m
チェックポイント
活動詳細
すべて見るチャレンジ73x2 日本百名山95座目「光岳」(てかりだけ) プロローグ 私が「日本百名山」を意識する様になったきっかけは日本アルプス(北アルプス、中央アルプス、南アルプス)へ出かける内に遠征登山に目覚めてその数が増えてきた事によります そこそこ数が増えてくると「折角だから」と意識的に詰めていく様になります これは我々のフィールド「四国百名山」も同じ経緯を辿って完歩しますね 日本アルプスでは唯一、南アルプスの光岳が他の山から少し離れているので残ってしまいました 光(てかり)岳の響きは良いのですが登山口までのアプローチが長いのと、他の日本アルプスの雄大な山々と比べて魅力に少し欠けます この点から他の日本百名山仲間に聞いてもどうしても後回しになっていう傾向にあります 北九州に住む兄弟が9月に休暇が取れるので遠征したいとの事で、この面倒な光岳へ行く事にしました と言うのも南アルプスの他の日本百名山は双子の兄弟で既に歩いていました 光岳(てかりだけ)登山口 光岳への登山口は西側=長野県側の飯田市から天竜川の支流「遠山川」沿いにある「易老渡(いろうど)登山口」と東側=静岡県側の「大井川」沿い、畑薙第一ダムから「畑薙大吊橋登山口」の2ヶ所になります 東側からの入山は茶臼岳経由で距離が長いので聖岳とセットにする場合以外は1泊2日では年寄りには無理です そこで今回は西側、長野県側から行く事にしました 2023年9月26日(火) カーナビの目的地は取り敢えず「下栗の里」 新居浜でお彼岸帰省中のE2号と合流し早朝出発、高速中央道、飯田ICを下りて三遠南信自動車道・矢筈トンネルを抜けます そこから152号線を南下して途中からカーナビをセットしていた「下栗の里」を目指します(下栗の里を通過しない道路もありますが、土砂崩れで通行止めでした) 「下栗の里」は南アルプスの尾根に拓かれた標高800m~1100mの高原村で「日本のチロル」と銘打ってソバ畑や石仏、古い民具等を巡るツアーなどもある様です 広場には食事処や小さな案内所があって周辺地図を貰いました 展望所から山を眺めている年配の男性がいたので山の名を聞くと「あそこが易老岳、その奥に見えるのが光岳」と教えてくれました そしてその方は「先程光岳から下山して来たばかり」と言うのです 「芝沢から何時間位光小屋までかかりましたか?」と聞くと「05時に出発して14時過ぎ小屋に着いた」と教えてくれました 60歳位に見えたのでそう若い方では無くその方の山小屋到着時間を知って安心しました 下栗の里から「南アルプス登山口」の標識に従って林道赤石線に入り北叉渡(きたまたど)発電所まで来れば最終目的地の「芝沢ゲート」はすぐ近くです 14時30分頃「芝沢ゲート」に着くと車が10台程停まっていました 午後に3台程来られた車は渓流釣りの目的でした(遠山川はヤマメやイワナのメッカらしいです) 登山管理事務所に人が居たので易老渡(いろうど)登山口までの状況を聞くと、途中の崩壊箇所は迂回登山道を整備したので歩行に問題無い事と、易老渡登山口まで1時間30分程で着くとの情報を頂きました 車中泊の準備をして夕食を済ませE2号と早めに寝ます 2023年9月27日(水) 行程1)芝沢ゲート(標高712m)~易老渡(標高883m) 5km 約1時間 05時前に起床して05時32分芝沢ゲートを出発します 道路沿いには野菊とオヤマボクチが目に付きました 10分もしない内に林道崩壊地に着き山手に付けられた道に入り、これも15分程で林道に復帰します 06時34分「易老渡」(いろうど)に着くと右手に赤い鉄の橋が架かり「易老岳(いろうだけ)登山口」の標識があります 林道が通行止めになる前の駐車場は少し上流側に有るようです 行程2)易老渡(標高883m)~面平(標高1,480m)~易老岳(標高2,354m) 4.8km 約5時間50分 赤い鉄橋を渡ると正面に続く植林帯の急斜面をジグザグに上っていきます 先程歩いてきた林道は以前森林鉄道だった跡との事ですので植林やパルプ用材木を切り出して運搬していたのでしょうか 07時15分尾根筋に上がるとツガやシラビソ等の針葉樹林が主体の登山道になります 所々に「易老渡―面平」の道しるべが木に掛けられています 08時11分 急登が一旦落ち着いて平らな場所に出るとバス停の様な標識が立っており「面平(めんだいら)」に着いた様です 地形図を見ると北側にこの山域では珍しく平らな地形に「面平」と記されています 2020年秋、ここに「南信州山岳文化伝統の会」が固定テント10数張設置して、光岳への長い登山時間に対応出来る体制を取っている様です しかし、登山者としては中途半端な行程途中にある事、事前の許可や使用料1泊5千円がネックの様な気がします(特にこのテント設備場所への道標や道は見当たりませんでした) 暫く進むと標識が立っており「易老岳3時間15分、易老渡1時間25分」と記されていますが距離が有りません 覚悟はしていましたが標準タイムで3時間15分ですから私の場合この急傾斜歩行がまだ4時間以上も続くのかと思うと気が重くなります 急登が始まると前方にグループの方に追いつきました 最近は他の登山者に抜かれる事ばかりなのでこのグループや数人の単独登山者に追いついた事で少し元気が出て来ました 登山中にお会いした皆さんとは光小屋で再会を果たす事になり色々話が弾みました 09時11分 易老渡と易老岳の中間点 標高1,800mを通過します 易老渡まで2.4km、易老岳まで2.4km、と言う事は易老渡~易老岳間が4.8kmと言う事が分かりました 深い樹林帯の中で季節的にもキノコやコケ以外にイワカガミの葉位しか見えません シラビソなどの美林とは言え単調と思える急登を黙々と歩いて行きます 三等三角点「易老岳」(いろうだけ)2,254.51m 09時50分木に標高2,000mの標識が掛けられた場所を通過しました 何てことも無い通りすがりの尾根ですが既に四国には無い標高です トイレブースを過ぎ急登を詰めて肩部に上がると10時38分 三等三角点「易老岳」に着きました ちなみにこの急登を詰めた易老岳ピークには三角点はありません 三角点を過ぎて20分程進むとこの尾根で初めて岩場の難所が現われました 北アルプスだとフツーの岩場ですが何せここは距離と高低差だけがウリの尾根ですから良い刺激になりました この付近は地表のすぐ下に岩があり、樹林帯の根っ子が登山道にねじれて這っています 「易老岳」(いろうだけ)2,354m 天気は曇天ですが前方の尾根筋が白く透けて来てピークが近い事を示しています 今迄の尾根は美しい針葉樹林帯でしたが、倒木で荒れたピークに出ると11時25分「易老岳」の標識が立ち茶臼岳まで160分と記されています ここから北東へ縦走尾根が茶臼岳、上河内(かみこうち)岳、聖岳へと続きます 易老岳でやっと主尾根に上がり着きました 駐車場の芝沢ゲートから5時間50分、易老渡登山口から4時間50分程掛かりました 行程3)易老岳(標高2,354m)~三吉平(標高2,200m)~光小屋(標高2,520m) 3時間 易老岳からシダ混じりの尾根を少し下ると右手にトラバースして更に下って行きます 先で地形が平らになると登山道は尾根に復帰して暫く進みます すると先程まで抜きつ抜かれつしていた単独登山者2人と会い少し百名山の話をします お二人共其々今回の光岳が99座目との事でした その後、一旦深い森の中を尾根の左手をトラバースして先に出ると12時42分「三吉平(さんきちだいら)」の標識を通過します 廻りに針葉樹が立っているので標識が無ければそこが「三吉平」と言われる場所だとは気が付きません すると鞍部に沼の様な窪地が現われました どうもこの辺りは二重山稜になっていてその窪地に雨水が溜まる様です 「静高平(しずこうだいら)」の水場 沼地を過ぎた辺りから左手のイザルヶ岳尾根筋の右手を巻いて涸れ沢の様な岩道になります このゴーロ帯の上り傾斜を辛抱強く進むと13時50分小川の様な水の流れがあり「静高平」(しづこうだいら)の標識が立っています ここが登山道沿いにある唯一の水場で、先を歩いていた若者が大きなザックを置いて補水していました 光小屋の近くにも水場があるのですが、急斜面を下りなければならないので私もE2号もここでプラティパスを出して水を汲みます 「センジが原」 14時05分地形がなだらかになると「イザルヶ岳」分岐に着きました 先程からガスが湧いてきて視界が悪くなったのでイザルヶ岳には明日寄る事にして小屋へ向かいます この分岐から暫く「センジが原」と呼ばれる亀甲状土の草地に木道が敷かれています 亀甲状土(きっこうじょうど)とは地表に大小の礫(石)が亀の甲羅の様な形で規則的に並んでいる地形らしいです(大きい礫と小さな礫が集まる境界部分が明瞭で多角形をしている=大昔の氷河期に形勢された様ですが、今は草が生えているので余りその形には気づきませんでした) 夏にはお花畑になっている雰囲気ですが花は何も見えません 暫く進むと光岳が南限と言われるハイマツ帯が続きます 白骨林やこれでもかと言う程曲がったダケカンバの美しい景色を眺めながら歩いているとテン場が右手に見え14時24分「光小屋」に着きました 「光(てかり)小屋(静岡県営)」 2023年度 定員18名以内 (ウェブ予約) 数年前まで光小屋の評判は余り良くありませんでした 当初長い登山道の為ビバークも考えてテント泊予定でしたが、E2号がネット予約して部屋代も持ってくれると言うので小屋泊まりとしました 現在は小宮山花さんと言う美人さんが2021年から管理人となり、コロナ対策なのでそれまで40人だった定員を18名以内にして仕切りを施しています この方は以前、鳳凰小屋、剱山荘、金峰山小屋などでスタッフの経験があり、光小屋の運営に当たり色々改築を行い広い快適なベッドは花さんが自費で設置されたと聞いています 但し値段は素泊まりで2階8千円、1階9千円と高い上に9月から暖房費500円が余分にかかります (週末、祝日は宿泊費千円増し) 管理人の女性も男性も応対が明るく親切丁寧で宿泊費の高さを忘れる程に感じの良い山小屋でした でも宿泊者定員が18名となれば週末の予約は大変難しいと思われます 光(てかり)岳と光(てかり)石 宿泊手続きを済ませて14時50分取り敢えず光岳と光石に出かけます 小屋から光岳の山頂へは自生地南限のハイマツや池、ダケカンバを配した雰囲気の良い場所を通ります 霧で展望の無い展望所などに寄りながらゆっくり30分程で日本百名山95座目「光岳」に登頂しました 他の南アルプスの山頂に比べて狭くて展望も無く冴えないピークです 登山者を待って兄弟で記念撮影をし、光石へと向かいます 途中の展望所からは霧で何にも見えませんが右下にかろうじて光石が見えました ダケカンバの黄葉を眺めながら下って行くと易老岳手前でお会いしたグループが光石から上がって来ます 15時45分石灰岩の「光石」に着くと千葉から来られたご夫婦が居たので岩の上で記念写真を撮りあいました この御主人も同じ日本百名山95座目で光岳に来られた様です 里から見上げるとこの石灰岩が白く光(てか)って見える所から山名が付けられた様です 光石は四国で言えば石立山の「捨身ガ嶽」(しゃしんがだけ)と同じ石灰岩の岩峰ですが、スケール的には石立山の捨身ガ嶽が勝(まさ)っています 光石の上で霧が飛ぶのを待ちますが一向に天候が回復しないのでゆっくりと小屋へ引き返します 山頂はガッカリの場所ですが、光石へ行く登山道は池やダケカンバで美しい風景でした 16時40分光小屋に帰り寝床を用意した後、食堂で夕食とします 食堂にはテーブルが2つ並べられており、小屋が用意したカレーを食べる木のテーブルと、ガスストーブを使える様に鉄板を敷いたテーブルがあります この時期食事の提供は無いとHPに書かれていたのですがチェックインの時に「カレーを用意出来ますがどうされますか?」と聞かれたました でも値段が2千円との事で断りました 殆どの人はカレーを食べている中で横浜から来られているご夫婦と我々だけが自炊でした 食堂で会う登山者はほぼ登山中に会った人達でしたので和気藹々(あいあい)です 話題はやはり日本百名山の事で盛り上がりました 登山口までの交通が不便な光岳は私も含めて最後の方に残す様です でも99座目、98座目、95座目の人も年齢は50~60歳台で70歳を越すのは我々兄弟だけでした 小屋の管理人さんからご挨拶があり、その後男性スタッフより翌朝の天気予報は曇りで霧が出る予想との報告と晴れたらイザルヶ岳で日の出と富士山を見て下さいと言われました 消灯の20時前には広いベッドでゆっくりと寝る事が出来ました 2023年9月28日(木) 下山行程1) 光小屋~イザルヶ岳~易老岳 約 2時間45分 朝、部屋の窓から朝日が見えますとチェックイン時に説明があったのですが、霧で何も見えません 取り敢えず帰り支度をして05時45分小屋を出、淡い期待を抱いて展望の良いイザルヶ岳へと向かいます イザルヶ岳分岐まで来ると昨夕食事中向かい合った横浜のご夫婦が「何も見えませんでした」と休憩しています 旦那さんは日本百名山、二百名山、三百名山を踏破されて現在は日本百名山98座目の奥さんに付き添って光岳へ来られていました この後、南アルプスでの残り2座へ縦走し間ノ岳で百名山を達成するとの事でした 06時10分イザルヶ岳に着きましたが360度の濃霧でした まあ、霧だけは予報が難しいので仕方ありません 縦走登山道に戻ってゴーロ帯を下ります もう踵が痛くて普通に歩けず終始E2号が先導します 08時28分往路で踏まなかった易老岳のピークにある山頂標識を探して訪問します 自宅の信州から芝沢登山口まで3時間もかかったと言っていた単独女性がやって来たので山頂標識の場所を教えました やはり彼女も山頂標識がある事を知らなかった様でした 男性リーダーに先導された女性グループは昨日既にこの場所へ来ていたとの事でした 下山行程2)易老岳~易老渡登山口 約4時間30分 ガスに霞んだ樹林帯を下っているとガイドさんに連れられた15人程の団体登山者が上がってきます 光小屋の定員が18名とすれば今晩の泊り客はこのグループでほぼ占められている様です この尾根唯一の難所と言える岩場を通過して08時56分三角点を通過します 09時36分標高2,000mの標識には易老岳から1.8km下って、易老渡まで3kmとあります この辺りから膝に力が入らず下りだと言うのにスピードが上がりません 特に足が攣った訳でもないのですが膝の筋肉が張って踏ん張りが効きません やはり踵のトラブルで運動不足が続いたのが原因と思われます 途中で千葉から来られたご夫婦にも抜かれて恐らく最後尾で下山している様です 11時15分 やっと「面平(めんだいら)」まで着いて休憩します 今まで兄弟で歩いた時は常に私の方が強かったのですが今日に限っては逆転してしまいました 尾根から外れて急斜面のジグザグ道に入り転ばない様にヨロヨロと歩き13時05分易老渡登山口の橋を渡りホッとしました 易老渡~易老岳間、標高差 1,474mを 上り4時間50分、下り4時間30分 如何に下りで苦労したか分かる時間差でした 下山行程3)易老渡~芝沢ゲート 約1時間30分 易老渡に13時過ぎに着き、明るい内に高速道路まで出る事が出来るメドが付いたので遠山川の流れを見ながらゆっくり林道を歩きます 川床には赤石岳から流れ出た大きな赤石が転がっています 一時期この赤石を庭石として採取された為数が減り、現在は規制された様です 14時40分芝沢ゲートに着き、近くの沢で顔を洗って着替えをして中央道・飯田ICへ向かいます 遠征は自宅に無事帰って完結します スマホで検索すると中央道恵那峡SA下りにコインシャワーが新設されたとの事で10分300円でさっぱりします 淡路島・室津PAは24時間コンビニが有るのでここまで走って仮眠し翌07時一旦高松の自宅にE2号を連れて寄った後、新居浜へ移動し無事遠征を終了しました 73歳の双子兄弟が曲がりなりにも揃って南アルプスを歩く事が出来て両親やご先祖様に感謝です エントツ山
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