吾妻小富士/月夜の浄土平

2022.09.04(日) 日帰り

チェックポイント

DAY 1
合計時間
55
休憩時間
0
距離
2.1 km
のぼり / くだり
137 / 138 m

活動詳細

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「青春18きっぷ」の有効期限が近づいてきている。あと二日間分が残っているので、なんとか使用して何処かに行きたい。満を持して計画したのは、突然だが福島県の吾妻連峰である。 そうは云っても、右膝の違和感が残っているから、テント泊装備で吾妻連峰を縦走するのは困難である。郡山駅からレンタカーを駆使して、磐梯吾妻スカイラインで簡単に到達出来る、浄土平を目指すことにした。 YAMAPでフォローさせて戴いている方の記録を見て、一切経山と吾妻小富士に強く惹かれてしまった。中でも、地元在住であり、この周辺のルートを熟知されている「H.A」さんの記録が秀逸で、拝見するに連れて、一切経山の東の尾根を辿る「シモフリ新道」を歩き、吾妻小富士を俯瞰して眺めてみたいなと思うようになった。 普通列車を乗り継いで郡山に、そして車移動。KZ氏に打診すると快諾して戴き、実行することになった。懸念は天候だけであり、迷走する巨大台風11号は、東シナ海を北上しているが、東日本にもなんらかの影響があるかもしれない。 曇りや雨の印が並ぶ週間天気予報であるが、休暇を取得した日曜から月曜にかけての二日間は、なんとかなりそうな気配である。青春18きっぷの有効期限のこともあるので、なにはともあれ出掛けることにする。 九月四日、日曜日の朝。上野駅から常磐線電車に乗って水戸に向かう。郡山駅での待ち合わせは、午後一時に近い時刻である。のんびりとローカル線に乗って向かおうと云うことで、水郡線のディーゼルカーに乗り込んだ。 しかし、これは結果的に大失敗となった。日本三名瀑の袋田に着いても、乗客は誰も降りない。四輛編成のうち、三輛を切り離す常陸大子駅に到着すると、郡山行きとなる車輌に移動してくる乗客が押し寄せてきた。車内は驚愕の混雑ぶりである。 水戸から郡山迄、三時間強の所要時間を、ずっと立ちっぱなしで過ごした。嫌になって途中下車してしまうと、KZ氏との待ち合わせと、予約したレンタカーを反故にしてしまう。 苦悶の時間が漸く終わり、疲労困憊で郡山駅西口に降り立った。茫然と喫煙所で休憩していると、同じような時刻に到着したKZ氏から連絡が入る。東北本線を乗り継いでやってきたKZ氏は、途中下車して低山を登ってきたとのことで、順調に鈍行列車の旅を楽しんできたようであった。 ふたりで駅前アーケード街を歩き、名物だと云う「郡山ブラックラーメン」の店に入る。文字通りに真っ黒なスープの中華麺であった。濃厚な味わいのスープが、疲れ切った今の自分にはちょうどよい。 水郡線の経緯をKZ氏に話すと、我々と同じように「青春18きっぷ」を持て余した人が、たくさん居るのかもしれないね。と云った。

吾妻山・一切経山 国道四号線から大玉村方面に入ると、フロントガラスの向こうに安達太良山の山塊を見上げるようになった。

麓は晴れているのに、山の上は雲が掛かっている。勾配が徐々に上がると、次第に周囲は靄に包まれていった。

「道の駅つちゆロードパーク」に到着して車外に出ると、肌寒いくらいの気温だった。都内で過ごしていても、近頃の朝晩はとても涼しい。山の上は寒いだろうなと思い、ハードシェルジャケットを持ってきたのは正解であった。

国道115号から県道30号に入ると、視界が利かないほどの濃霧となった。ハザードランプを点滅させながら、徐行で勾配を登り続ける。
国道四号線から大玉村方面に入ると、フロントガラスの向こうに安達太良山の山塊を見上げるようになった。 麓は晴れているのに、山の上は雲が掛かっている。勾配が徐々に上がると、次第に周囲は靄に包まれていった。 「道の駅つちゆロードパーク」に到着して車外に出ると、肌寒いくらいの気温だった。都内で過ごしていても、近頃の朝晩はとても涼しい。山の上は寒いだろうなと思い、ハードシェルジャケットを持ってきたのは正解であった。 国道115号から県道30号に入ると、視界が利かないほどの濃霧となった。ハザードランプを点滅させながら、徐行で勾配を登り続ける。
吾妻山・一切経山 どうなることかと思いつつ車を走らせて、磐梯吾妻スカイラインに入ると、霧はいよいよ深くなっていった。

ところが、国見台と云う展望地で車を停めると、南方面の景色が広がっている。次第に霧が流れ去り、青空が覗くようになった。

スカイライン沿いの尾根途上に在る、標高点1218mの鉢森山に登りたいと云うKZ氏。カーブミラーの在る尾根上には山道などは無く、猛烈な藪に覆われていた。それでも強行突破を図ると云うKZ氏には付き合わず、車で待つことにした。

国見台からの眺望は、いよいよ明瞭になっていった。南北に細長い高森山が、此処からの角度では、端正な山容で聳えている。
どうなることかと思いつつ車を走らせて、磐梯吾妻スカイラインに入ると、霧はいよいよ深くなっていった。 ところが、国見台と云う展望地で車を停めると、南方面の景色が広がっている。次第に霧が流れ去り、青空が覗くようになった。 スカイライン沿いの尾根途上に在る、標高点1218mの鉢森山に登りたいと云うKZ氏。カーブミラーの在る尾根上には山道などは無く、猛烈な藪に覆われていた。それでも強行突破を図ると云うKZ氏には付き合わず、車で待つことにした。 国見台からの眺望は、いよいよ明瞭になっていった。南北に細長い高森山が、此処からの角度では、端正な山容で聳えている。
吾妻山・一切経山 磐梯吾妻スカイラインが急激に勾配を上げて、標高1600m附近を走っていく。野猿の群れが路上に屯していて、車が近づくと四方八方に散らばり逃げていった。

樹林が途切れて、唐突に荒涼とした光景が広がる。一切経山中腹の噴気孔から、濛々と噴煙が吹き出していた。
磐梯吾妻スカイラインが急激に勾配を上げて、標高1600m附近を走っていく。野猿の群れが路上に屯していて、車が近づくと四方八方に散らばり逃げていった。 樹林が途切れて、唐突に荒涼とした光景が広がる。一切経山中腹の噴気孔から、濛々と噴煙が吹き出していた。
吾妻山・一切経山 左手に浄土平ビジターセンターと広大な駐車場が現われる。右手は吾妻小富士の山体で、整備された木段の登山道の入口であった。

吾妻小富士に登る前に、翌日に登る予定である、カモシカ沢の偵察に向かうことにした。浄土平のサミットを越えると、雄大な吾妻小富士の裾を蛇行して、磐梯吾妻スカイラインは下降を始める。

車を止めて、山腹を暮色に照射された吾妻小富士を眺める。火口の大きさが実感出来る、長大な山頂域である。
左手に浄土平ビジターセンターと広大な駐車場が現われる。右手は吾妻小富士の山体で、整備された木段の登山道の入口であった。 吾妻小富士に登る前に、翌日に登る予定である、カモシカ沢の偵察に向かうことにした。浄土平のサミットを越えると、雄大な吾妻小富士の裾を蛇行して、磐梯吾妻スカイラインは下降を始める。 車を止めて、山腹を暮色に照射された吾妻小富士を眺める。火口の大きさが実感出来る、長大な山頂域である。
吾妻山・一切経山 明朝登る予定の霜降山と駱駝山が、立ち昇る霧に隠されていく。霜降山から浄土平方面を刻むスカイラインには、「火山性ガスに注意」「窓を閉めて走行」「駐停車禁止」などの立て札が並んでいた。

当初は浄土平に車を置いて、カモシカ沢迄歩いていく行程を考えていたが、とんでもないことのようである。

車でカモシカ沢迄移動して、駱駝山経由の一切経山往復、と云う計画に変更となった。
明朝登る予定の霜降山と駱駝山が、立ち昇る霧に隠されていく。霜降山から浄土平方面を刻むスカイラインには、「火山性ガスに注意」「窓を閉めて走行」「駐停車禁止」などの立て札が並んでいた。 当初は浄土平に車を置いて、カモシカ沢迄歩いていく行程を考えていたが、とんでもないことのようである。 車でカモシカ沢迄移動して、駱駝山経由の一切経山往復、と云う計画に変更となった。
吾妻山・一切経山 浄土平レストハウスの前に車を置いて、漸く登山開始である。既に薄暮だが、火口縁に至る木段が確認出来る近さである。ヘッドランプを携行して、登り始めた。
浄土平レストハウスの前に車を置いて、漸く登山開始である。既に薄暮だが、火口縁に至る木段が確認出来る近さである。ヘッドランプを携行して、登り始めた。
吾妻山・一切経山 階段を登り切ると、ケルンの積まれた火口縁に出た。火口底から醸し出されたかのように、霧が立ち篭めている。
階段を登り切ると、ケルンの積まれた火口縁に出た。火口底から醸し出されたかのように、霧が立ち篭めている。
吾妻山・一切経山 火口直径約500メートル、そして火口底迄の深さは約70メートル。薄暗い火口の風景は、独特の雰囲気であった。

御鉢巡りは時計回りを推奨する、と案内する浄土平ビジターセンターの根拠は何だろう。

KZ氏に訊くと、仏教的なことじゃないかな、仏教は大体時計回りなんだよ、と云った。
火口直径約500メートル、そして火口底迄の深さは約70メートル。薄暗い火口の風景は、独特の雰囲気であった。 御鉢巡りは時計回りを推奨する、と案内する浄土平ビジターセンターの根拠は何だろう。 KZ氏に訊くと、仏教的なことじゃないかな、仏教は大体時計回りなんだよ、と云った。
吾妻山・一切経山 敬虔な気持ちを意識しながら、時計回りで歩き始める。吾妻の「あずま」は、チベット語の「あづんま」が語源なんだよ。KZ氏が云った。

結合すると云う意味のアヅンマと、屋根を意味する「あずま」は、関連が有ると云うような話を聞きながら、ふたりで暮れゆく火口縁を歩いている。

三脚を立てて、夜景の撮影をしている人がひとり。そして、我々が最高地点に近づく頃、火口縁の反対側から嬌声が聞こえてきた。

本日最後の登頂者のようである。
敬虔な気持ちを意識しながら、時計回りで歩き始める。吾妻の「あずま」は、チベット語の「あづんま」が語源なんだよ。KZ氏が云った。 結合すると云う意味のアヅンマと、屋根を意味する「あずま」は、関連が有ると云うような話を聞きながら、ふたりで暮れゆく火口縁を歩いている。 三脚を立てて、夜景の撮影をしている人がひとり。そして、我々が最高地点に近づく頃、火口縁の反対側から嬌声が聞こえてきた。 本日最後の登頂者のようである。
吾妻山・一切経山 標高1707m点。吾妻小富士火口縁の最高地点には、山名標の類は見当たらない。

登山口に在った立派な看板が、山名標と云うことなのかな。KZ氏が呟くように云う。

未だ仄かに明るい南の空を背景に、立派な三角形の山がシルエット状に浮かんでいる。三角点と電波塔が地形図に表記されている、標高1805.1mの高山であった。

ずいぶん暗くなってきたようである。そして対照的に、月の輝きが増してきたような気がする。

吾妻小富士に、上弦の月が煌々と、光っているのであった。
標高1707m点。吾妻小富士火口縁の最高地点には、山名標の類は見当たらない。 登山口に在った立派な看板が、山名標と云うことなのかな。KZ氏が呟くように云う。 未だ仄かに明るい南の空を背景に、立派な三角形の山がシルエット状に浮かんでいる。三角点と電波塔が地形図に表記されている、標高1805.1mの高山であった。 ずいぶん暗くなってきたようである。そして対照的に、月の輝きが増してきたような気がする。 吾妻小富士に、上弦の月が煌々と、光っているのであった。

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