山岳医療を広めたい
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【テーピング講習】 2025/2/9(日)、松本市内にて登山者向けのセルフテーピング講習会を開催しました。 理学療法士2名、柔道整復師1名の共同開催で、今回も岳都・松本「山岳フォーラム」とのコラボ企画です。 ■岳都・松本「山岳フォーラム」 https://yamap.com/users/2761334 その主旨は、足部とひざの応急処置と予防ですが、あくまで「登山者自身が考え、対応する」という点にフォーカスを絞っています。したがって、極力専門性を廃し、平易な表現を心がけました。 これは、昨年度に開催した「山リハ!」と同様の主旨です。 実に20名の方が参加してくださり、座学と実技で5時間みっちりとテーピングについてお伝えしました。参加者の方々も非常に積極的で、絶えず質問が飛び交い、賑やかな雰囲気で最後まで盛り上がりました。 また、講習から程なく実践し、レビューをいただいた方もおられました。 今後も、様々な方々を対象にテーピング講習を開催していく予定です。気になる方はぜひご連絡ください。
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【ジュニアクライマー向け講習会】 2025/2/2、長野県山岳協会からご依頼いただきまして、当会の望月と中村が「親子で学ぶ!ジュニアクライマーのためのココロとカラダのトレーニング」と題した講習会を開催しました。 足元の悪い中、小学5年生から高校1年生までのジュニアクライマーとその親御さん方、そして指導者の方がご参加くださいました。 望月(理学療法士)は、心身の発達を中心にした内容でした。 「スキャモンの発育曲線」に基づいて、各型の成長とそれに伴う注意点や年代別トレーニング方法について、オーバートレーニング症候群について、「ポリヴェーガル理論」という自律神経に関する理論に基づいたココロとカラダの整え方についてのお話をしました。 中村(言語聴覚士)は、脳科学的観点を中心にした内容でした。 物事を習慣化し、続ける力を育む方法について、危険予知とそのトレーニング方法について、ホルモンバランスとその整え方についてのお話をしました。 グループワークや実技を織り交ぜつつ、各パート2時間以上ずつに及ぶ長丁場でしたが、みなさんとても熱心に聞いてくださったようです。 長野県山岳協会、長野県山岳総合センターのご関係各位におかれましては、こうした機会をご提供くださいまして誠にありがとうございました! 年明けからこの講習の準備に追われ続けましたが、ようやくひと仕事を終えまして、少しホッとしています。 クライミングを通じて、未来ある子どもたちの心身の健全な発達、そしてその親御さんたちのご苦労に対して、少しでもお役に立てるよう、これからも微力を尽くしてまいります。
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【山リハ!新聞掲載】 昨年7月から12月の間に当会の望月(理学療法士)と中村(言語聴覚士)が開催した企画、「山岳遭難予防リハビリテーション」、通称「山リハ!」。 このたび、山岳ジャーナリストの近藤幸夫さんが記事にしてくださり、朝日新聞の地方版(長野、山梨、新潟)に掲載されました。 ※新聞に掲載された時の回の写真 2枚目:第2回実技:https://yamap.com/activities/34498632 3枚目:第6回座学:https://yamap.com/moments/1199754 毎月の座学の資料作成や、実技の下見や準備に追われた半年間でしたが、岳都・松本山岳フォーラム事務局のNさん、お手伝いをしてくれた仲間たち、そして参加してくださったたくさんの登山愛好者の皆さんに支えられました。誠にありがとうございました。 来年度の計画もすでにキックオフしており、さらにパワーアップした「山リハ!」をお届け予定です。 詳細が決まりましたらお知らせいたしますので、よろしくお願い申し上げます。
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【セルフテーピング講習のお知らせ】 来たる2/9(日)、岳都・松本山岳フォーラムとのコラボ企画で、松本市内でセルフテーピング講習を開催いたします。 詳細は、以下URLよりご覧ください。 写真1枚目のQRコードからもアクセスできます。 https://gm20250209.peatix.com/ ■開催日時 2025年2月9日(日)10:00~16:00 ■開催会場 エア・ウォーターアリーナ松本(松本市総合体育館) 大会議室 https://shisetsu.mizuno.jp/m-7616 ■定員 30名 ■講師プロファイル 写真2枚目~4枚目 今回はセルフテーピング、ご自身で巻くテーピングの講習です。 他の人に巻くテーピング講習も別途開催予定です。 ご参加、お待ち申し上げております。
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【新年のご挨拶】 皆様、新年あけましておめでとうございます。 本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。 年末に黒戸尾根から甲斐駒ヶ岳に登ってきました。 前年末は、山岳医療パトロール実行委員会における臨時パトロールで登りましたが、今回はプライベート山行です。 前年末はとても雪が少なく、七丈小屋まで積雪ほぼゼロという状況でしたが、今回は3合目くらいからチェーンスパイクを装着。七丈小屋から上はフル装備で、この時期としてはかなりの積雪量でした。 今回と前年との写真を比較してみました。前者が今回、後者が前年です。 同じ時期でも、天候等によって千変万化するのが冬山です。つまり、事前の備えや情報収集無しで登るのは、リスクでしかないということがおわかりでしょうか。 5枚目/6枚目:2合目と3合目の間にあるナウマンゾウみたいな形をした木 7枚目/8枚目:4合目手前の刃利天狗 9枚目/10枚目:篠沢七丈瀑 11枚目/12枚目:8合目(前年はここでリターン) 前年末同様、今回も黄連谷で事故があり、七丈小屋管理人の花谷さん始め、県警や遭対協の方々が現場に行かれたそうです。事故発生日は悪天候でパーティ装備にてビバーク、翌日も悪天候で救助できず、救助隊が現場へ降りてビバーク装備と食料をデポ、更に翌日の朝にようやく天候が回復してヘリ救助、ということでした。 花谷さんもPostされていましたが、黄蓮谷は人力での救助がほぼ不可能な場所です。深い谷底であり、登山口からのアプローチも大変遠いため、背負い搬送による救助は現実的ではなく、基本的にはヘリ救助対応が妥当な手段です。 冬は、積雪の多い場所であれば、一般ルートでも三種の神器(ビーコン、プローブ、スコップ)に加え、ビバーク装備(ツェルト、ガス、非常食など)を備えることが当たり前と考えたほうが良いと思います。 荷物が重くなる、と考える方もおられるかもしれませんが、これら装備は、クライミングでいうところのヘルメットやハーネス、ロープ、ギア類等と同じくらい重要なものです。 自分を守ると共に、仲間をも守る装備であると考えて良いでしょう。 私たちは、安全啓発について働きかけ続ける立場です。けれど、事故は残念ながら起き続けています。これまでと同じような働きかけではいけないのか?どのように働きかければ、事故件数減少につながるのか? 山を愛好するすべてのみなさんと一緒に、それについて考え続けていきたいものです。 今年度は「多職種連携」をキーワードとして活動していく予定です。 当たり前のように使われるワードですが、実は医療の業界はこれがとても苦手だと感じています。この点をクリアにすることを行動目標としていきます。 また、昨年は少なかった有用情報の発信もしていきたいと考えています。 本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
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【ジュニアクライマー向け講習会】 10月に開催された、佐賀国民スポーツ大会(国スポ)で躍進した、長野県スポーツクライミングチーム。本大会に少年女子チームのメディカルトレーナーとして参加したことをきっかけに、標記講習会を開催する機会を頂戴いたしました。 チーム「山リハ!」の2名(望月&中村)が、リハビリテーション医学的観点からお話をいたします。 2028年の国スポ地元開催に向けて、一層の躍進と、クライミングを通じたジュニアたちの健全な成長を願って、ジュニア本人はもちろん、その親御様、関係者の皆様方とご一緒に、思春期のジュニアクライマーたちの心身機能やその変化について学んでいきます。 【記】 主催:長野県山岳協会 スポーツクライミング委員会 日付:2025/2/2(日) 時間:10時〜15時 場所:長野県山岳総合センター(長野県大町市) 参加費:無料 問い合わせ先:画像1枚目のメールアドレスまで 親子での参加が必須ではありません。 スポーツクライミング長野県強化指定選手とその関係者以外は抽選となります。 【内容】 ■理学療法士フェイズ(担当:望月) 1.発育曲線と成長障害(個人ワーク) ヒトは出生してから20歳頃まで、カラダもココロも発育していきます。その過程は不安定であるため、不適切なトレーンングによって、心身機能に支障をきたす障害を負うことがあります。こうしたリスクを避けるためのポイントとメンテナンスについてお話ししていきます。 2.オーバートレーニング症候群(個人ワーク) 調子が良くない、けれど原因がわからない。病院に行っても、異常がないと言われる。それは疲労と回復の均衡が崩れたときに起こる、「オーバートレーニング症候群」かもしれません。このワークでは「オーバートレーニング症候群」について学びます。そのサインを、自分だけではなく、周りの人々が気付くことで、未然に防ぐことができる確率が上がります。 3.自分のカラダとココロの中心を捉える(個人ワーク・グループワーク) ココロが不安定だと、カラダも不安定になります。このワークでは、みなさんが重要な大会などに臨む際の精神状態の安定を導く手法として、自身の体と心の中心を捉える技法を実践していきます。 ■言語聴覚士フェイズ(担当:中村) 1.続けるちからを育てる(個人ワーク・グループワーク) 目標達成するためには継続する力が必要になってきます。一朝一夕には身につかないわりに消失するのは一瞬である、「継続する力」を育てていく方法を学んでいきたいと思います。①「30日間チャレンジ」について ②「キーストーンハビット」について ③阻害因子となる「言いわけ」について この3つのことをお話ししたいと思います。 2.危険予知能力トレーニング(グループワーク) 安全にスポーツをすることを目標に危険予知のトレーニングを行います。危険予知能力は、経験、知識によって向上しますが、自分自身の考え方の癖を知ることで安定した能力に育てることができます。グループワークで自分の考えを人と話しあうことで、伝える力聞く力のトレーニングにもなります。 3.ホルモンバランスとコミュニケーション(個人ワーク) 女の子の思春期はホルモンバランスが乱れやすく、感情や精神面にも影響が出やすい時期です。講座では、①ホルモンバランスによる影響を理解すること②自分自身の感情に向き合う方法③気持ちを言語化する方法、この3本柱で学んでいきたいと思います。
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【山リハ!座学⑥(ラスト) 山の急登歩きと食事管理】 12月6日、岳都・松本「山岳フォーラム」とのコラボ企画「山リハ!」の座学講習6回目(最終回)を開催しました。 今回のテーマは「山の急登歩きと食事管理」です。 前半は理学療法士・望月パート。関節の角度や床反力といった、理学療法士なら誰でも知っていることでありながら、その実とてもわかりにくいことを、山での動作を例えとし、小道具を使いながら噛み砕いてお示ししました。また、急登は何が急なのかについて、「急登」と呼ばれる有名な登山ルートと、道路や階段に関する法律とを照らし合わせながらお示ししました。 後半は言語聴覚士・中村パート。栄養摂取は「登山中と日常生活で分ける」という考え方に基づき、登山中によく使用される栄養素やその摂取方法、どういう食べ物が良いのかについてお示ししました。また、糖質は経口摂取以外にも供給される方法があることは、あまり知られていませんが、糖質の代謝方法を深堀りし、「食べずに歩き続けられる場合がある理由」など、多岐にわたってお示ししました。 私たちの「遭難予防」に対する考え方は、遭難が起きたときの処置や対応の技術や知識を身につけることより、遭難が起きないように登山者の皆さんの認知や行動に働きかける、ということに重点を置いています。 [望月の場合] ①日常生活で適切なトレーニングを習慣化 ②必要な心身機能を会得 ③適切な歩行技術を会得 ④動作によるエネルギー消費を抑制 ⑤適切なタイミングで飲食を摂取 ⑥疲労による歩行(特に下り)での転倒リスク低下 ⑦適切な判断力を保つ ⑧安全な下山、帰宅、新たな登山に至る [中村の場合] ①日常生活で適切な栄養摂取 ②日常生活で自身の考え方の癖を認知 ③必要な生理機能を会得 ④自己の行動や考え方の傾向を会得 ⑤適切な栄養素を有した飲食を摂取 ⑥登山中の状況と自分の思考の癖を照らし合わせて行動を決定 ⑦リスクを層別化して許容できないリスクを回避 ⑧安全な下山、帰宅、新たな登山に至る ===== さて、7月に開始した「山リハ!」シリーズの座学も、皆さんのお陰で全6回を完走することができました。本当にありがとうございました! ひとまず今回のパートで打ち止めとしますが、来年は更にパワーアップしたコンテンツでお届けする予定です。 また、岳都・松本「山岳フォーラム」とのコラボ企画は、「山リハ!」以外でも開催予定です。日程等決まりましたら、お知らせいたします。 今後とも宜しくお願い申し上げます!
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【山リハ!座学⑤危険予知とトレーニング】 11月7日、岳都・松本「山岳フォーラム」とのコラボ企画「山リハ!」の座学講習5回目を開催しました。 5回目のテーマは「危険予知とトレーニング」です。 前半は言語聴覚士・中村パート。山岳遭難の原因の多くが、不適切な判断や無理な計画などにあること、危険予知能力を養うために「自身の心の癖を知ること」、そのための「10の認知の歪み」についてお示ししました。 危険予知は人との考えの違いや心の癖を知ることで養われ、それが遭難回避のための行動につながることをお話ししました。 後半は理学療法士・望月パート。登山とはどういう運動なのかを強度や質に基づいてご説明し、トレーニングが習慣化するための障壁について、トレーニングの原理原則などをお示ししました。トレーニングは必要なのはわかっていてもなかなか習慣化しない、という課題を、どのようにクリアできるかを皆さんでお考えいただきました。 私たちの「遭難予防」に対する考え方は、遭難が起きたときの処置や対応の技術や知識を身につけることより、遭難が起きないように登山者の皆さんの認知や行動に働きかける、ということに重点を置いています。 その詳細については、次のモーメント(山リハ座学・ラスト6回目の投稿)でお話できればと思います。
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【山パト2024年度活動報告会開催】 当団体と協力関係にある、山岳医療パトロール実行委員会(山梨県北杜市)、通称「山パト」の2024年度活動報告会がオンラインで開催されます。 日時:2024年11月26日(火)20時~(途中入退出自由) 場所:オンライン Google Meet URL:https://meet.google.com/psq-cnue-hcp 内容:今シーズンの活動報告、総括、参加者の感想、ミニレクチャー、今後の方針など 山パトは2017年に発足し、現在の形式となったのが2021年です。 その活動は、登山口での声掛けや医療的アンケート、登山道のパトロールや医療相談、山小屋での宿泊者向けのレクチャー、山岳医療の学術研究、有事の際のファーストエイドや救助隊への引き継ぎなどを行っています。 その主たる活動は声かけ、アンケート、パトロール、山小屋でのレクチャーです。いずれも地味な活動ではありますが、自分たちの足で山に入り、登山を愛好する皆さんと対話しながら、山岳医療が求められる役割を模索し続けています。 もしよろしければ、ご参加ください! 当会からも2名参加予定です。
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【第6回山リハ!12/6、12/7】 「急登を歩くコツと山の食事管理を学ぶ」 6月に上高地でプレスタートした、当会と岳都・松本山岳フォーラムとのコラボ企画も、今年最後となります。 テーマは、多くの皆さんがお悩みであろう「急登の歩き方」(理学療法士・望月)、そして山にできるだけウン、を落とさずキレイに保つための「山の食事管理」(言語聴覚士・中村)についてお届けいたします。 [テーマ] ・全米が泣いた!?きつい急坂をあるくコツ~登りながら休む?下りながら休む?~ ・山活動に求める食事とは?~おいしさ?量?それとも栄養?~ 座学:12/6(金)19-21時 あがたの森文化会館講堂 https://gm20241206.peatix.com/ 実技:12/7(土)塩尻市奈良井(旧楢川村) 坊主岳(1960m) https://gm20241207.peatix.com/ 今回は初めての試みとして、座学の翌日に実技というスケジュールとしました。座学の内容をいち早く実地で経験していただくことを主たる目的としていますが、座学のみ、実技のみのご参加も、もちろん可能です。 実技で登る山は、平均斜度が22°超という、近隣の里山でも屈指の急登である坊主岳。苦労の末にたどり着く山頂からの絶景は一見の価値ありです。この急斜面を利用し、登り方と降り方についてレクチャーしながら、できるだけ力を温存する方法について学ぶとともに、目からウロコ!の山にウン、を落とさない画期的な方法をお送りしていきます。 ご興味のある方はコメント欄やメッセージ機能でお問い合わせください!
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【SAGA国スポ2024】 当会の望月が、10月12日から14日の間に佐賀県多久市で開催された国民スポーツ大会、スポーツクライミング少年女子長野県代表のトレーナーとして帯同しました。 ボルダリングは予選6位、決勝5位、 リードクライミングは予選トップ、決勝5位で、 いずれの競技も過去最高順位を更新するという素晴らしい健闘を見せてくれました。 その実力を考えれば、優勝の可能性も十分あった中で、当人たちにとっては悔しい結果となったようです。けれど、その気持ちが次のステップへの原動力となって、さらなるトレーニングに励むことであろうと思います。 私自身は、トレーナーとしてもっとやれることがあったのではないか、という悔いがあります。長野に帰ってから、彼女たちに真摯に向き合えたか?と自問自答しています。この思いをこれからの活動につなげていきます。 私自身もまだまだ成長し続けたいけれど、それとともに若い人たちの成長の力になれる存在にもなりたい。そう願っています。 スポーツクライミングは競技ではありますが、源流は外の岩という自然を相手にしたアクティビティである点から、山のアクティビティの一種、亜種であると考えます。 こうしたスポーツクライミング大会やトレイルランニングレースには、山岳医や山岳看護師はもちろんのこと、救命士や理学療法士、アスレティックトレーナーなど、多士済々の関係者がメディカルスタッフとして関わっています。そのサポートも一種の山岳医療ではないかと思います。 関係者の皆様、応援してくださった皆様、本当にありがとうございました! 今後とも長野県の選手たちにご注目のほど、お願いいたします。 [関連リンク] ■ボルダー結果 https://www.facebook.com/photo/?fbid=516864821134160&set=pb.100084319397837.-2207520000 ■リード結果 https://www.facebook.com/photo/?fbid=517484587738850&set=pb.100084319397837.-2207520000
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【第4回 山リハ!企画(松本市)】 「登山時の水分補給と食事の管理を学ぶ」 当会の望月と中村による、松本市の公共事業である”岳都・松本「山岳フォーラム」”とのコラボレーション企画。おかげさまで第4回の開催となります。 このシリーズ企画では、 望月(理学療法士)は主に運動生理学や運動学といった基礎医学の観点から、 中村(言語聴覚士)は主に脳科学の観点からお届けしています。 ===== 「水を飲みましょう!」とはよく言われますし、水分持参量の計算方法なども指標が示されています。しかし、人間誰しも「個人差」があります。そして、水を持ちすぎて荷物が重くなってしまえば、行程が滞ったり、疲労度が強くなったりといった弊害が考えられます。 また、山に登るために必要な食事や、行動中の食事についての指標は、それほど多く示されていません。 第4回の講習では、水分や食事が、登山という長時間運動で果たす役割や作用について学びたいと思います。 ・永遠のお水問題~お水はどれくらいもっていけばいいですか~(望月) ・登山の食事管理技術~体の便りからインとアウトを考える~(中村) 座学に関しては、オンライン配信に関するお問い合わせを多数頂いております。申し訳ありませんが、今年度については対面のみです。 [座学] 10月17日(木) 19時~21時 場所:長野県松本市 松本市中央公民館(Mウイング) https://gm20241017.peatix.com/ 今回の会場は、松本駅から徒歩圏内(お城口駅前広場から約300m、山好きなあなたなら徒歩3分未満?)です。松本周辺にお住いの方、お勤めの方、仕事後にでもいかがでしょうか。 [実技] 10月26日(土) 7時~16時頃 場所:長野県松本市梓川 金松寺山・天狗岩 定員:最大10名 https://gm20241026.peatix.com/ 【以降の予定】 第5回 座学11/7(木) 実践講習11/16(土) ・あの人がいけるなら私もいけるよね。~己を知ろう思考の癖~(中村) ・やってみようトレーニング!1×10=10×1~ちょろっとできる?CHOROZAP~(望月) 第6回 12月(開催日未定) ・全米が泣いた!?きつい急坂をあるくコツ~登りながら休む?下りながら休む?~(望月) ・山活動に求める食事とは?~おいしさ?量?それとも栄養?~(中村) ご興味のある方は、コメント欄やメールにてお問い合わせください。 mt.medical.expansion.pj@gmail.com
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【リアル・マウンテンドクター】 山岳医療を題材としたドラマ「マウンテンドクター」が終わりました。 一昨日、松本市の「やまびこドーム」で開催されていた"ALPS OUTDOOR SUMMIT 2024」にて、本ドラマで主演された俳優の方と、医療監修をした医師の市川智英さんとのトークショーがありました。 このドラマの医療監修は、幾人かの医師が携わっていますが、主たる1人が市川さんです。彼は、松本市の病院で「登山者検診」を開いている循環器専門医で、2018年に国際山岳医の認定を受けている「リアル・マウンテンドクター」です。 彼とは、個人的に話をする機会が幾度かありましたが、一貫しているのは「こうしたドラマの放映によって『山岳医療』というワードが世に知らしめられることが嬉しい」ということです。 実際の山岳の場面で、医療従事者が直接救助に携わることは稀ですし、救助ヘリに同乗することもありませんが、近い将来にこうあってほしいという彼の願いが、ドラマに反映されました。また、ドラマのラストに、本モーメントでも紹介した野外救命講習や、山岳医療パトロールの場面も出ていましたが、スポットライトが当たりやすい診療所や救助活動だけでなく、予防領域に対しても目を向けた内容にしてくれたことは、予防啓発という地味な活動に特化している私にとっても、大変嬉しいことでした。 日々の多忙な診療の合間を縫って、山岳診療所に入り、ドラマの監修を行い、自身の山行も続け。。。 その行動力とタフネスさは、一体何足の草鞋を履いているのだろうと驚くばかりであり、なかなか真似ができることではありません。 医療職種は、多職協業と謳われているものの、その職能が縦割り故に、医師・看護師以外の横連携が希薄なのは、業界の常識と世間の認識とのズレの存在を含めて、大きな課題だと考えています。山岳医療でもそうですが、医師、看護師以外の職種が携わる余地は十分あるはずですが、現実にはなかなか進んでいません。山岳医・山岳看護師はとてもたくさんいますが、同内容の講習を修了した他の医療職種は、救急救命士2名と、理学療法士1名だけです。 山岳医療に携わる医療職種の横連携はもちろんのこと、ガイドや山小屋関係者、救助隊や警察官、地域の方々など、すべての関係者が手を取り合い、登山愛好者が安全に、楽しく山に触れ合う環境が構築されることを願っています。 それとともに、山に関わるアクティビティが、老若男女、多くの人々の心身に長らく健康をもたらし続け、この国の将来を照らす一助になりますように。 [関連リンク] ■ニュースソース https://www.oricon.co.jp/news/2348239/ ■登山者検診のご紹介 https://yamap.com/moments/835949 ■WMAJのご紹介 https://yamap.com/moments/1076611 ■山岳医療パトロールのご紹介 https://yamap.com/moments/819511
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【トレーナー帯同】 長野県山岳協会スポーツクライミングチーム少年女子(少女)、少年男子(少男)の合同合宿@静岡県富士市に、トレーナー兼ビレイヤーとして参加しました。 https://www.facebook.com/naganosangaku.sc/posts/pfbid02arbCXuwwzihXxXTU8aNW3utG84vwiofuvMjuRbKSsDMcLt59cPvAuzkk7NxNL642l メディカルケアはもちろんのこと、多感な年頃の少年少女たちとのコミュニケーションも大切な課題でしたが、2日間一緒に過ごしたことで、良い関係を築くことができたのではないかと思います。親子ほど年の離れた選手たちにとって、父親のような、あるいは歳の離れた兄のような安心感を持ってもらえるように、心身両面でサポートできればよいと考えます。 10月に佐賀県で開催される国民スポーツ大会(国スポ)本番には、少年女子チームのトレーナーとして帯同します。 適度にレストやセルフケアをしてもらいながら、ピークを本番に持ってこられるよう、全力でサポートしていきます。
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【山リハ!座学②バランス能力と目の力】 8月8日、松本市の浅間温泉文化センターで表題の座学を開催しました。 「バランス」とは、筋力だけでなく、視覚や心理状態、空間、地形などの外的因子など、様々な要素が複雑に絡み、それらが統合することで成り立っています。 したがって、均衡が崩れることで容易に低下します。 今回のメインテーマは、その「バランス」です。 望月が「歳を取り 高いところが 怖くなる」と題し、バランスを構成する要素とその評価方法について、 中村が「誰も知らない目の力」と題し、目の能力や目と手の協調性についてお話ししました。 ご参加くださった約40名の方々には、実際に体を動かしたり、簡単なペーパーテストをしたりしながら学んでいただきました。 こうしたバランス能力は、年齢とともに比較的早く衰えてしまうものですが、日々の生活の中でちょっとした工夫で鍛えることもできます。 安全に登山を楽しむためには、体力づくりだけではなく、バランス感覚を鍛えることも必要です。 8月31日には、座学の内容を踏まえた実技講習を行いました。 https://yamap.com/activities/34498632 ご参加ありがとうございました!
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【第3回 山リハ!企画(松本市)】 「登山前の疲労度チェックと自分に合うエコ速度の探し方」 当会の望月と中村による、松本市の公共事業である”岳都・松本「山岳フォーラム」”とのコラボレーション企画の第3回を開催します。 座学に関しては、オンライン配信に関するお問い合わせを多数頂いております。申し訳ありませんが、今年度については対面座学のみです。 [座学] 9月12日(木) 19時~21時 場所:長野県松本市 あがたの森文化会館講堂 https://gm20240912.peatix.com/view 松本周辺にお住いの方、仕事後にでもいかがでしょうか。 [実技] 9月28日(土) 9時~14時頃 場所:長野県松川村 雨引山 定員:最大10名 https://gm20240928.peatix.com/view 自分の登山ペースをしっかり把握できている方はどのくらいおられますでしょうか。 レースでない限り、標準コースタイムより早い・遅いを競うことは登山ではありませんよね。 登山系SNSの記録を見て、自分も同じ時間で登れるかも?などと考えている方、要注意です。登山は、いかに自分のペースで無理なく安全に登ることが大切であり、SNSの記録を鵜呑みにするのは危険です。 第3回の座学、実技では、自分の登山ペースをしっかり把握することで、安全に登山を楽しむことを学びます。 第4回 座学10/17(木) 実践講習10/26(土) ・永遠のお水問題~お水はどれくらいもっていけばいいですか~ ・登山の食事管理技術~体の便りからインとアウトを考える~ 第5回 座学11/7(木) 実践講習11/16(土) ・あの人がいけるなら私もいけるよね。~己を知ろう思考の癖 ・やってみようトレーニング!ちょろっとできるCHOROZAP~ 第6回 (12月開催予定 座学は第1or第2木曜、実技は土曜or日曜) ・全米が泣いた!?きつい急登をあるくコツ ・山活動に求める食事とは?おいしさ?量?それとも栄養? ご興味のある方は、コメント欄やメールにてお問い合わせください。 mt.medical.expansion.pj@gmail.com
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【山と生理の話】 国際山岳医夫婦のペコマ(稲田真)さんとちっペ(稲田千秋)さんが運営されているYouTubeチャンネル、「chippecoちゃんねる。」。 ちっぺさんが「山と生理のお話!!」についてお話くださったので、お届けします。 https://www.youtube.com/watch?v=24cJ79O2WdM ちっぺさんは 「月経カップ」と「吸水ショーツ」を組み合わせて使うことで、とてもストレスが減ったそうです。 山行に生理周期が被らないか、心配しておられる方は多いかと思います。是非参考にしてみてください。 [関連リンク] ・chippecoちゃんねる。 https://www.youtube.com/@chippe0910 ・山岳医療サポート事務所(山サポ) https://mountainmedicalsupport.com ・山岳医療パトロール実行委員会(山パト) HP https://sites.google.com/view/mt-med-patrol FB https://www.facebook.com/mt.med.patrol インスタ https://www.instagram.com/mt.med.patrol/
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【第2回山リハ!企画(松本市)】 松本市の公共事業である”岳都・松本「山岳フォーラム」”とのコラボレーション企画の第2回を行います。 直近の8月8日(木)の19時から松本市の浅間温泉文化センターです。 松本周辺にお住いの方、仕事後にでもいかがでしょうか。 [第1回実技] https://yamap.com/activities/33423551 [詳細] https://gm20240808.peatix.com/view 「バランス能力と目の力」 登山をしているときのヒヤリ・ハッと! 誰でも少なからず経験があると思います。 安全安心な登山を楽しむためには、バランス能力が必要ですが、 バランス能力を鍛えることができることは、あまり知られていません。 人間の身体機能で最初に衰えていくのはバランス機能です。 その変化はとてもゆっくりですので、気が付きにくいものです。 今回のシリーズでは、バランス機能の変化をご自身で体感していただき、 その改善、向上のヒントをお示ししていきます。 そして、山で必要なバランス能力とはなにかを学んでいきます。 [テーマ] ・年をとり 高いところが 怖くなる~まだ間に合う!バランス能力を改善~ ・誰も知らない目の力~小さいお子さんから高齢者までの目の力にせまる! 第2回 実践講習8/31(土) 筑北村岩殿山周辺 http://chikuhoku.jp/iwadonosan/ 第3回 座学9/12(木) 実践講習9/28(土) ・山に行く前に疲労度チェック~疲れは遭難の種~ ・変えてみよう ペース配分~自分に合うエコ速度の探し方~ 第4回 座学10/17(木) 実践講習10/26(土) ・永遠のお水問題~お水はどれくらいもっていけばいいですか~ ・登山の食事管理技術~体の便りからインとアウトを考える~ 第5回 座学11/7(木) 実践講習11/16(土) ・あの人がいけるなら私もいけるよね。~己を知ろう思考の癖 ・やってみようトレーニング!ちょろっとできるCHOROZAP~ 第6回 (12月開催予定 座学は第1or第2木曜、実技は土曜or日曜) ・全米が泣いた!?きつい急登をあるくコツ ・山活動に求める食事とは?おいしさ?量?それとも栄養? ご興味のある方はメールにてお問い合わせください。 mt.medical.expansion.pj@gmail.com
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【乗鞍畳平診療所へ寄付の目録をお渡ししました!】 こんばんは。猛暑の日々が続きますが、皆様は山を安全に楽しんでいらっしゃいますでしょうか。 去る2024年7月7日、昨年のYAMAP FUNDINGで頂戴した皆様からの寄付金で購入した物品とその目録を、乗鞍畳平診療所長の上家和子さんへ直接お渡ししましたので、ご報告いたします。 一、マット付布担架 ベルカ 壱台 也 一、携帯型雷探知機 雷探くん 壱台 也 一、デジタル簡易無線登録局 弐台 也 一、スピーカーマイクロホン 弐台 也 これで、昨年のYAMAP FUNDINGで頂戴したご厚意を、全額寄付目的で使用いたしました。 改めまして、皆様からのご厚意に心から感謝いたします。ありがとうございます。 7枚目の写真が標高2702mの畳平バスターミナルで、左側奥の赤い三角屋根が連なった建物の一番手前に診療所の入口があります。下界からバスで直接アクセスができる場所としては、日本で最も高い場所にあります。 裏を返せば、容易にアクセスできる分、容易に高所障害が起きてしまう地域であるとも言え、上家医師を中心として活動しているこの診療所の存在意義は、非常に大きいものであると言えます。 畳平診療所は、10月中旬頃までの土日に開設予定ですが、できるだけ診療所に頼らないよう、各自で準備をして山に入りましょう! ■関連リンク [YAMAP FUNDING「山岳医療従事者の活動を、持続的に支えるために」] https://yamap.com/support-projects/958 [大山山岳医療部会へ寄付の目録をお渡ししました!] https://yamap.com/promotions/27200 [山岳医療パトロール実行委員会へ寄付の目録をお渡ししました!] https://yamap.com/moments/1049186
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【山リハ!】 当会の企画として、山岳遭難予防リハビリ、通称「山リハ!」と銘打ち、リハビリテーションの考え方を応用した企画を行うことになりました。 松本市の公共事業である”岳都・松本「山岳フォーラム」”とのコラボレーションです。 座学と実技を各6回ずつ、松本近辺の会場と山中で行います。 去る7月11日(木)に第1回の座学を行いまして(写真3枚目)、 来る7月28日(日)に第1回の実技を行います。 https://gm20240728.peatix.com/view 第1回の座学に参加されていない方でもご参加いただけます。 山を歩きながら、以下の内容について学びます。 学びを通じてご自身の心身を認識することを主目的としています。 ・排泄について ・食事について ・摂取水分量について ・疲労感について ・心拍数について 以上の項目を通じて「山を歩き続けるにはどうすればいいか」を皆さんと一緒に考えていきます。 8月以降も、毎月1回ずつ、座学と実技講座を開催していきます。 第2回 座学8/8(木) 実践講習8/31(土) 座学申込:https://gm20240808.peatix.com/view ・年をとり 高いところが 怖くなる~まだ間に合う!バランス能力を改善~ ・誰も知らない目の力~小さいお子さんから高齢者までの目の力にせまる! 第3回 座学9/12(木) 実践講習9/28(土) ・山に行く前に疲労度チェック~疲れは遭難の種~ ・変えてみよう ペース配分~自分に合うエコ速度の探し方~ 第4回 座学10/17(木) 実践講習10/26(土) ・永遠のお水問題~お水はどれくらいもっていけばいいですか~ ・登山の食事管理技術~体の便りからインとアウトを考える~ 第5回 座学11/7(木) 実践講習11/16(土) ・あの人がいけるなら私もいけるよね。~己を知ろう思考の癖 ・やってみようトレーニング!ちょろっとできるCHOROZAP~ 第6回 (12月開催予定 座学は第1or第2木曜、実技は土曜or日曜) ・全米が泣いた!?きつい急登をあるくコツ ・山活動に求める食事とは?おいしさ?量?それとも栄養? ご興味のある方はメールにてお問い合わせください。 mt.medical.expansion.pj@gmail.com
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【山岳医療のひと⑬】 みなさんこんにちは。 今回ご紹介いたします寺田達也さんは、登山ガイドとして、日々クライアントにより安全に楽しく山で遊べるように活動されています。さらに、過酷な環境や災害などの状況で「いのちをつなぐ」野外災害救助法WMAの、日本で初めて非医療従事者としてWALS医師コースに参加、代表のDavid Johnson医師の認定を受け非医療従事者初の公認インストラクターとしても活動をされています。 非医療従事者でありながら、野外救命の知識や経験は医療従事者顔負けなほど豊富であり、「WMAの野外災害救助法」を誰にでも分かりやすく伝える姿はプロフェッショナルそのもので、今までの寺田さんの努力の結晶でもあると思います。 山岳医療に携わるのは医師や看護師が多いと思われていますが、寺田さんのように山岳救助法を人に伝えたい!どうにかしたいという熱い思いをもって日々活動に取り組むことに意義があるのだということを皆さんにもお伝えしたいと思います。 寺田さんのこれまでのご経験や活動内容、いま登山者へ伝えたい事をお聞きしました。 それでは寺田さんからのメッセージをご紹介させていただきます。 ======================================= ■WMAのカリキュラムに出会った衝撃。 大学生の時から登山を含むアウトドア活動にハマりはじめ、東京のひの社会教育センターという子どもの自然学校で引率ボランティアをするようになりました。ボランティアといえど当然安全管理スキルが求められるわけですので、そこでリスクマネジメントや救急法の基礎を学んできました。 大学4年生のころ、「野外救急法WFRコース開催!」というチラシが回ってきました。なんでもアメリカから来た80時間も学ぶコースでアメリカの救命士が来日して教えてくれる、というものでした。深く考えもせず「なんか凄そう!」くらいで参加したことを覚えています。当時は今でいう都市型救急法の民間プログラムなどにも参加していたこともあり、そこそこ対応できるかな、という妙な自信があったのかもしれません。 コースはとんでもない衝撃でした。今まで学んできたものとは全く違う、と。専門的であり、シミュレーションなどのリアリティどれをとってもレベルが高く、ついていくので必死でした。しかも通訳がいるとはいえ英語だし。ただ、最初は散々だった救護スキルも日に日にレベルが向上していることを自分自身も感じられるプログラムで、終わったころには充実感とさらなる学習欲求、そして「よく今までやってこられたな。山で何もなくてよかった…」という気持ちがありました。これがWMAとの出会いでした。 「どれだけ自然解説やレクリエーションなどがヘタくそでも、クライアントを最善に守れるのが最低限のガイディングスキルだろう」と考えていたこともあり、このプログラムは日本で絶対に広まったほうがいい!と勝手に伝道師気取りで仲間や同業者のネットワーク組織に紹介してまわりましたが、ほぼ空振りでした。 ある時、バックカントリースキーに出かけた際に隣の尾根で大規模な雪崩事故が発生し現場に居合わせたことがありました。近くにいたので救助に入り、2m以上の深いところに埋まった人を含め2名を掘り出しCPR等を施しヘリで搬送する機会がありました。残念ながら結果的に亡くなってしまいましたが、一人は病院に搬送後一度心拍再開し、意識こそ戻らかなかったものの駆けつけた家族と「生きている」状態で対面できたとお手紙をもらったことがあります。この時、すっと自分の体が動いたことは後々考えると紛れもなくWMAのおかげ、しかしもっとできたなと思うことも多々あり、少し忘れかけていたWMAコースへの情熱に再度着火したのでした。 ■更新で知り合った日本人インストラクターの存在が方向性を決めた。 WMA資格は3年が有効期限のため、知識スキルを更新するために再受講しました。今回目の前にいたのはUSから来たインストラクターと、なんと日本人インストラクター。ちょうど日本人で初めて認定されたインストラクターのデビュー戦に当たったのです。これまた衝撃的でした。日本人の指導者がいて、日本で今後広げていきたいと言っている。これまた直感でこの動きに食らいついていきたい、と思いました。 しかし自分には医療資格や経験のないただのアウトドガイドでしたので、指導職は当然無理だと思い、2012年から「WFA東京」という任意団体をつくり、主催者としてWMAコースを開催する立場を3年ほど行いました。確実に増えてゆく参加者や同時に広がる感動にもっと強力にこれを推し進めていきたいと、これまた勝手に思い込んでいきました。 ■非医療従事者初のWMAインストラクターへ。 幸運なことに2015年、突然転機が訪れました。WMAJapan代表の横堀から「WMAの運営サイドに加わってみないか?」とお誘いをいただいたのです。二つ返事で関わることを決め、広報などを担当し、WMAJの人間としてWMAカリキュラムの価値を様々な方に広げる活動がはじまりました。 その2年後、2017年にインストラクターの扉が開きます。非医療従事者でも野外での救護経験があれば受験要件が成り立つという情報でした。広報活動をするにもただのスタッフか、インストラクターかによって聞き手の反応は明らかに変わります。もともと教育活動にも関心があったため、この話も転機になりました。前述の雪崩事故での経験や元々非常勤で関わっていたスキーパトロールでの救護経験を提示し、非医療従事者として初めてWALS医師コースに参加、代表のDavid Johnson医師の認定を受けWMA Internationalインストラクターとして登録してもらうことができました。 想像以上に「WMAインストラクター」の難易度は高く、苦労しながら少しずつできることを増やしてきました。自分が初めて出会った時の衝撃や感動をコースにいらした受講者の方と共有できることは至福の時です。最初のころは「非医療従事者が医療カリキュラムのインストラクターになるなんて…」という声もちらほら耳にしましたが、今は救急医をはじめとした医療アドバイザーチームに我々のクオリティコントロールを担当いただいていることで、今は受講者の方に概ね満足いただける講習を届けられるようになってきました。 ■最後に。 山岳医療の分野においてWMAカリキュラムは、現場対応者の医療的判断基準の明確化、山岳関係者の共通言語化に貢献できると考えています。事実近年は愛好家・ガイド・行政・山小屋・医療従事者に救助隊まで幅広い山岳関係者が受講されています。自分自身も一ガイドとしてWMAのカリキュラムに助けられたことが複数あります。今後も山という壮大すぎる相手と立ち向かう人間の知恵「WMAの野外災害救急法」を多くの方へ紹介していきたいと思っています。 より安全に楽しく山で遊べるように、山に挑めるように、山から学べるように。
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【団体紹介】 こんにちは。 海の日三連休は生憎の空模様でしたが、皆様はいかがお過ごしでしたでしょうか。 私は、梅雨前線から遠い北の方の山に登ってきましたが、人の手があまり入っていない山域でしたので、そんなの山の息吹を味わいつつ、普段から安全登山のために粉骨砕身されている多くのご関係者の方々のことを考えながら歩きました。 さて、先に私たちのメンバーがWAFAに参加したレビューをお伝えしました。 https://yamap.com/moments/1067600 WAFAとは、野外で活動する全ての人が受講可能な野外救急法です。 今回は、WAFAを日本で主催する団体である、WMAJ(ウィルダネスメディカルアソシエイツジャパン)について紹介したいと思います。投稿文をお寄せいただいたのは、WMAJ広報担当の寺田さんです。 ===== ① 日本における野外災害救急法のはじまり 「野外災害救急法」という概念をご存じですか?山岳医療にも通じるところがありますが、すぐに救助隊にアクセスできない、病院に行きたくてもすぐに向かえない状況(「ウィルダネス状況下」と呼んでいます)で発生する傷病者へのケアを学ぶプログラムです。 都市の救急システムと明らかに違うのは、リソースが限られていること、現場へのアプローチや搬出行為自体に大きなリスクを伴うこと、そして傷病者と一緒にいる時間が長いことが挙げられるでしょう。的確なタイミングでもっとも合理的な救助方法を選択するためには、傷病者の重症度そして緊急度を正確な評価によって把握し、複雑に絡み合う問題に優先順位をつけ、そして処置や搬送を検討するプロセスが必要となります。 野外災害救急法は40年ほど前に北米でこうした背景から登山ガイドや野外教育者のために医療の世界で開発された考え方で、生理学や解剖学の基礎理論をはじめ高校生を含む非医療従事者でも理解できるようにシンプルにまとめられたカリキュラムが特徴です。 日本においては2007年に長野県に拠点を置く冒険的な教育活動を野外の中で行うアウトワード・バウンド協会のスタッフトレーニングを兼ねた講習会として北米本部からインストラクターを招聘することから歴史がスタートしました。 リアルなメイクや演技を含むシミュレーションをはじめとした教育手法、実際に非医療従事者のガイドたちが時間とともにどんどん救護スキルを向上させてゆく様子は当時から多くの人に注目と感動を与えてきました。しかし、インストラクターは北米から招聘しているため通訳を入れた英語講習、教科書類もすべて英語のみ。重要単語だけ主催者が翻訳した即席の単語帳を片手に講習を進めることは、理解の上でもなかなかのストレス環境であったように思います。しかし当時はそれしか選択肢がなかったのでみんな必死に食らいついていき、それはそれで充実感がありました。 ② 日本人初のインストラクターが誕生、国際ブランチ化へ。 2007年に長野県で初開催されてから数年は同様に北米からインストラクター招聘が続きましたが、2011年にはついに日本人で初めてとなるインストラクターが同時期に3名誕生しました。面白いのは彼らにはお互いに面識がなく、同時期に偶然にもアメリカの会場で鉢合わせた日本人たちだったのです。2011年といえば日本ではちょうど東日本大震災の発災直後でした。この時のメンバーの1人、現在の代表理事横堀勇は東北が非常に深刻なダメージを追う中、今行くべきは被災地支援ではないかとの葛藤があったそうです。しかし、一人にできることは限られるが教育をもってすれば結果救える命は何倍何十倍にも増えることを確信し、飛行機に乗り込んだと当時の様子を語ります。 北米で晴れて日本人インストラクターとなった3名のうち、横堀勇とカナダに拠点を置く太田拓哉は意気投合、WMAカリキュラムを日本に本格的に導入することを決意して国内コースの運用を始めました。 全て英語だったカリキュラムの内容を日本語化し、通訳必須だったコースを日本語で伝えられるようにする。この取り組みが評価され2013年にはWMA International公認の国際支部としてWMA Japanは発足しました。 ③ “日本に合わない北米由来の怪しい救急法” 日本に入ってきてしばらくの間は、よくこれらのフレーズを関係各所から言われたことを覚えています。主な理由は次の3点でした。 1)日本の医療の現状に即していない 2)日本の法律に合わない医療行為を民間人に教えている。 3)医師ではない人間がインストラクターとして教えている というものです。 北米から新しくやってきて、この3項目だけを聞かされると、みるからにうさん臭さを感じませんか?(笑)国内でWMAカリキュラムを今後堂々と普及を進めていくためには、「救急法を教えるインストラクターがフランクすぎる」という問題以外を解決してゆくことが必要不可欠でした。 まずはWMA Internationalの総代表であったDavid Johnson医師(通称DJ)を年に1度国内に招き、医師を中心とした野外救急法のコースを開催してきました。何年かかけて徐々に国内医療従事者の理解を広げます。コース参加者は一様にDJの考え方や生み出されたWMAカリキュラムに医療者として支持を得ることができました。 そんな折、コースに参加してくれていた稲垣泰斗医師、茶谷奨医師・中村富士美国際山岳看護師の協力を得て2017年にWMAJ医療アドバイザー制度を発足。日本の医療従事者の視点からもWMAカリキュラムの妥当性を示していただくとともに、指導するインストラクター陣のクオリティコントロールを担っていただくようになりました。 中でも最も大きな問題は法律的な解釈でした。WMAカリキュラムにはウィルダネス状況下において発生する様々な傷病者処置や看護において医療プロトコル(現場で救助者のリスクを下げ、傷病者の利益を上げる比較的侵襲性のなく価値の大きい医療的処置)が含まれています。簡単に言うと医療行為です。これらの処置手順が従来「国内法と整合性がない」と複数の団体から認識され、団体の存在が否定されてきたことも事実です。 この課題については2017年に野外と医療に精通した複数の弁護士の法的整理によって、「WMAカリキュラムが日本国内法にも適合する」合理性が確認でき、より安心して国内の受講者に受けてもらえるようになりました。同時期に、複数の自治体が管理する各種資格の指定要件に組み込んでいただいたこともWMAJが市民権を得る後押しをしてくれたように思います。この2つの制度が発足して以来、我々のもとにこうした指摘は来なくなりました。 ④ インバウンドの需要の高まりをキッカケに、アウトアガイドスキルの世界標準化へ コロナのパンデミック前くらいから、日本はインバウンド観光需要が注目されはじめ、アフターコロナではその勢いが止まりません。特にAdventure Travel(AT)と呼ばれる事業ではガイドに求められるレベルも高いのが特徴です。そのため、アウトドア×ATの先進地域として北海道や長野県をはじめ複数の自治体では、自治体主導でガイドの養成事業が行われています。テーマは「世界標準スキル」。世界31か国で運用されるWMAカリキュラムはまさに世界標準を満たすスキルとして、ここ数年急速にガイド養成事業で採用が相次いでいます。自治体が採用すると、そのスキルは国内のスタンダードを示すといっても過言ではありません。ガイド業界のクライアントケアスキルは団体によって求める職能がまちまちですが、近い将来この分野においても「フィールドとアクティビティに適した救急法スキル」が求められるようになると考えています。 ⑤ 目指す将来像は「山の共通言語化による安全な環境への貢献」 WMAの講習は山にかかわる多くの立場の方が一堂に会するのが特徴的です。登山愛好家はもちろんこと、山岳ガイド・山岳会・警察や消防、自衛隊などの公的救助隊員、遭難対策協議会、山小屋関係者やメディア関係者、そして医療従事者。彼らが共通のカリキュラムを学び、共通の評価軸と言葉で傷病者を管理するスキルを学んでいます。この記事がでることには北アルプスにある槍ケ岳山荘グループの遭難対策協議会隊員に向けてアドバンスレベルの講習会が開催されています。 遭難現場に居合わせる第一発見者はおそらく救助隊員ではなく、登山者やガイドが多いわけですが、彼らが医療的評価スキルをもって傷病者を評価、問題を言語化し、救助機関と情報を共有。救助機関は傷病の深刻さと重要度に応じてより合理的な救助方法の設定、そして現場からの評価や処置情報とともに医療機関へ搬送。医療機関は現場から搬送中の傷病者の状態を把握しながらよりよい医療へつなげる。 長く救急システムがカバーしきれないと考えられてきた山岳エリアでの救護案件もかかわる人々の共通言語化によって手がかかりそうなところまで来つつあります。WMA Japanとしては今後も全ての山関係者とともにより安全に安心して山を楽しめる環境へ向けた取り組みを進めていきたいと願っています。 ===== WMAJのメンバーは、気さくで話やすく素敵な方ばかりでした。 インストラクターの1人の自己紹介活動目標に「野外活動に携わる全ての人々が共通言語で通じあえる世界をつくること」。これは山に限らずという点で印象的でした。 今後もWMAJの活動を広め、誰もが野外救急法を知っている世界を作るお手伝いをさせて頂きたいです。 ■関連リンク [ウィルダネス・メディカル・アソシエイツ・ジャパン] https://www.wmajapan.com [広報担当 兼 WMAインストラクター 寺田達也さんのご紹介] https://yamap.com/moments/1081613 [WMAインストラクター 大手まゆみさんのご紹介] https://yamap.com/moments/930653 [WMAインストラクター 稲田真さんのご紹介] https://yamap.com/moments/1009070 [WMAインストラクター 稲垣泰斗さんのご紹介] https://yamap.com/moments/943451
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【マウンテンドクター】 みなさま、こんにちは。 「マウンテンドクター」というドラマはご存知でしょうか? 明日、7/8(月)の22時から関西テレビ・フジテレビ系列で放映される、「山岳医療」を題材とした連続テレビドラマです。 これまでも、山岳診療所を舞台としたドラマがありましたが、山岳医療そのものにスポットを当てたドラマは初めてかと思います。 医療監修は、当団体でもご紹介した「登山者検診」を行っている、長野県松本市の松本協立病院循環器内科医の市川智英さんをはじめ、複数の山岳医が加わっております。 欧州の山岳医療と比して、現在の日本の山岳医療では、実現不可能なことがたくさんあります。たとえば、救助ヘリに山岳医が同行することなどです。また、医師と看護師以外のメディカル職は、現実には活動する余地が少ないです(活動条件として、医師と看護師に限定されることが多いため)。ドラマの内容は放映開始後の見てのお楽しみとして、山岳医療という名称や、それに付帯した内容が、皆さんに正しく周知されれば良いな、と思います。 ぜひご覧ください! さて、山岳医療に対するイメージというと、山に精通した医師が現場に颯爽と駆けつけて、怪我をされた方にテキパキと応急処置を施し、華麗に救助隊に引き渡す、あるいはヘリに同乗する、といったような、傷害、事故への対処の中で指揮を取るといったイメージをされる方が多いかもしれませんが、実際には傷害や事故への対処以外に、登山道パトロールや声掛けなどの予防啓発活動、そして、高地独特の生理的変化や高山病など、登山医学の学術的研究も含まれます。 山岳医療という名称が全国放送のドラマに取り上げられることを、山岳医療に微力ながら関わる者として誇りに思うとともに、山岳医療のあり方や活動の多様性を、登山を愛好する皆さんに正しくお伝えする責任があると、改めて兜の緒を締め直す次第です。 今後とも、皆様に有益となる情報発信に努めるとともに、私たち団体のポリシィである「予防啓発」についての活動を行ってまいります。どうぞよろしくお願いいたします。 [関連リンク] ・カンレテHP「マウンテンドクター」 https://www.ktv.jp/mountaindoctor/ ・松本協立病院「テレビドラマ『マウンテンドクター』医療監修について」 https://www.chushin-miniren.gr.jp/news/8250 ・当アカウント 2023/9/18投稿「登山者検診のご紹介」 https://yamap.com/moments/835949
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