水に満たされる。(行縢山・雌岳)
行縢山(宮崎)
2026.05.31 (日)日帰り
去年も同じ頃に滝を見に行こうと考えていて、休日と天気が合わないうちに梅雨入りして諦めた行縢山(むかばきやま)。 ヒルの多い山だ。 昨日はよく晴れ、今日も晴れ予報、 おそらく大丈夫だろうが、虫除けは念入りにして今日歩こう。 5時半に家を出た時にはすでに明るかったが、雲が多い。 高森峠を上がると路面が濡れている。 通り雨でもあったかと思っていると、高千穂の手前から雨が降り出した。 途中で引き返そうかと考えながらも、日の影、北方と過ぎ、 結局、ワイパーを止めることなく8時前には登山口に着いた。 強い雨ではないが、どうしようか。 行縢神社に参拝し、境内を歩きながら、しばらく逡巡する。 せっかく来たのだ。 山頂は諦めるにしても、滝までは30分とかからない。 せめて滝だけでも見て帰ろうと、雨具を着て歩き始める。 雨に濡れた岩に滑らぬよう用心しながら、時折シューズにヒルが付いていないか確認しながら進む。 滝に着いた頃、ちょうど雨が上がった。 当初の予定通り雄岳と雌岳を周回しよう。 そこからは、気持ちのいい山歩きだった。 雄岳から鞍部へ降り、滝を目指す支流がいくつも合流する辺り。 沢沿いを雌岳へと向かう道はひんやりと清々しく、息をのむほど素晴らしい森が広がっていた。 帰りにも、もう一度滝に寄った。 午前中の霧雨混じる滝も風情があったが、やはり青空から降り注ぐ飛沫には、顔を上げて浴びたくなる格別な爽やかさを感じた。 無事に下山後、朝来た道を戻る。 高千穂までは五ヶ瀬川沿いに走るR218だ。 太平洋に注ぐ延岡の河口まで、10kmくらいの距離だろうか。 行縢あたりの五ヶ瀬川は、川幅も広く、ゆったりと流れている。 この川は、子供の頃よく遊んだ、思い出深い川だ。 とは言っても、生まれは、宮崎との県境にある馬見原(まみはら)というところで、ここから50kmほど川を遡った場所にある。 集落の中心を五ヶ瀬川が流れ、実家はその近くにあった。 当時の小学校にはまだプールもなく、体育の水泳の時間になると、川にロープを張って泳がされたものだ。 もう50年近く前の話になる。 夏休みには、ヤマメやハエを釣ったり、岩から飛び込んだりして遊んだ。 源流に近いあの小さな川が、高千穂峡をくぐり抜け、やがてこの広い川になる旅路を想像してみる。 母校の校歌には、「五ヶ瀬川」が歌われていた。 ひょっとすると、この行縢の辺りの小学校の校歌にも、同じ川の名前が登場するのかもしれない。 それでも、故郷の川に思い描く印象は、50kmの距離で、ずいぶんと違うのだろう。 霧雨を歩き、滝のしぶきを浴びる。 山奥のせせらぎに耳を傾けて、 故郷の川を思う。 水に満たされた一日。






