Turquoise - ザンザ洞キレット
大室山・畦ヶ丸・菰釣山(山梨,神奈川,静岡)
2026.06.13 (土)日帰り
現地には同角山稜の通行止めを表示する類の標識や看板はない。但し、神奈川県はホームページ上で【登山道の安全を確認中のため、通行できません】と謳っている。 感想として…ルートファインディングに自信のない方に同角山稜は厳しい。(詳細は後述) 電波(圏外)を始め、山小屋もなければ、そこを通る人も稀で、他力本願や装備の軽量化に伴うリスクヘッジも視野に入れたい。 特に同角ノ頭南稜はブッシュで登山道が隠れており、白ザレに気を抜けば遭難に直結する。 経験豊富なユーザーさんの日記も参考にし、ビバークできる装備をPacking。そして始発電車で新松田へ向かった。 熱中した冬季蛭ヶ岳南稜〽 玄倉林道から見える王冠のような姿をした同角ノ頭〽存在感にすこぶる震えた…蛭ヶ岳南稜を始め、朝日向尾根、B沢ノ頭、尊仏ノ土平など、丹沢グランドキャニオンを軸に冬季〜春季を楽しむにとどまり、【同角ノ頭は通行止めだから】と自分自身に言い聞かせ…眺めるだけの対象にしていた。(No.1) 新松田駅(松田駅) スイカのような縦縞模様の夏富士を駅の小窓から眺めていたら…西丹沢ビジター行きのバス停に40人ほど並んでいた。 「こりゃー増便ナシだと座れんな〜」なんて呟いていると…その呟きが聞こえたのか…増便がロータリーの端から"ちょこんと"顔を覗かせていた。(増便に乗車) 西丹沢ビジターセンター オンラインとは別に、登山計画書の用紙に必要事項を書き込み登山ポストに投函した。 ホタルの夕べがあるのだろうか…そんな看板が佇んでいた。最終バスありきで此処に辿り着く時分には…光のアラベスクが川音を伴奏に、幻想の内に惹き込まんとするのだろうか。 日差しの中で、気合いを入れた主稜ランナーに先を譲り、カメラ片手に約40日振りの登山を開始した。 ゴーラ沢出合 渡渉に困るほどの水量ではなかったが、水色に澄んだ沢水と新緑が爽やかに映える。せせらぎが心地よくって、脱力というか…気持ちがほぐれて何だか急に眠くなる。。 西丹沢 木洩れ日の木道 ハルゼミが大合唱 加えてヒグラシのコーラス そしてアオバトが重ねるハーモニー(No.2) 西側に大きく開けた展望地 今日は雲がかかっていたが、富士山を始め、南アルプス、八ヶ岳連峰も軒を連ねている様子が想像できた。 ラピュタのような森の休憩場(No.3) 汗を拭い、珈琲を淹れつつ、野鳥やセミの野外コンサートに耳を傾けランチタイム。 天空の城ラピュタの住民…園丁タイプのロボットが佇でいるかのような静謐な空間には、ゆっくりとした時間が流れていた。 ジュレのようなゼリーのような… ベタつきもなく、特に匂いもない。 見上げるとカエデの樹 天然メイプルシロップの素なのかもしれない。。(No.6) 同角ノ頭〽北の肩(No.7) 白い岩に黄色い花が群生している…まるで北岳にいるような感覚になった。天空の縦走路(北岳〜間ノ岳)が同角ノ頭まで繋がっているように感じられた…そして、ある筈のないキタダケソウを探す自分がいた。。 同角山稜について 玄倉起点〜西丹沢ビジターセンター(南側からのアプローチ)の方が無難。鎖伝いに攀れば、ルートロスすることなく、同角ノ頭に登頂し易い。 他のユーザーさんの日記を拝見すると…南側からのアプローチが多く、アスレチック的側面が浮き彫りにされており、同角山稜のダークサイドがイマイチ伝わってこなかったりする。 今回のように、逆コースすなわち北側からのアプローチ(西丹沢ビジター起点〜玄倉)を採ると、烈しいブシュの急斜面を手探りで下降することになり、ルート模索に難儀する。 同角ノ頭南稜 滑落と道迷いをセットにした罠が口を開け、遭難に結び付けんとした素質を見抜き、殊に沢ヤの踏み跡に誘い込まれないよう注意したい。 真っ当な顔をしたブシュのない踏み跡に吸い込まれれば、復帰は困難で、蟻地獄と化した白ザレの急斜面は、それを簡単には認めないだろう。同じく北側からアプローチを予定している方は、決して無理はしないでほしい。。 ザンザ洞 東側に薄くついた踏み跡がある。 地図で確認すると…ザンザ洞(山三郎沢)に辿り着くようだが、私が辿れば高い確率で遭難するだろう。 此処は後述する『山頂への道』のなかで山口耀久さんが何度か苦戦した模様が語られている。他にも『風雪のビヴァーク』(松濤明)にも登場する。 別名の山三郎沢が、ミュージカル俳優の山崎育三郎みたいな名前だなぁ〜と、育三郎の代表作『Mozart』や『エリザベート』を想像している内に冷静さを取り戻し、孵化したばかりウミガメのように海(南)を目指せば、道迷いは防げると"野生の勘"が働いた。 私の経験上…つまり独断と偏見で このエリアで最も難しいと感じたは、やはり蛭ヶ岳南稜。南稜を攀じることは出来ても下降(くだ)る自信は現在もない。 雪山も然りだが、登りよりも下りの方がよっぽど難しい。南稜をピストンする猛者がいるのであれば、岩ヤ沢ヤの域でしょう。 ザンザ洞キレット 『山頂への道』(山口耀久) "丹沢の頃"の章段より抜粋及び中略 『同角山彙に属する玄倉川中流部の多くの沢は、熟達者だけに許される領域となっていた…ザンザ洞、同角沢、モチコシ沢、女郎小屋沢…悪相のイメージが伴って私の憧れをそそった。 近頃、丹沢もすっかり変わったそうだ…ザンザ洞のつめの切戸(キレット)に橋が架けられただとか、白ザレの山に囲まれた寂しい山奥のユーシンまで玄倉川の本流沿いに林道が通じたなどと聞くと、一体どんな風景になったのかと、私の想像は戸惑うばかりである。(1966年)』 清楚なるヤマツツジ(No.8)。 シロヤシオの花季が終わり、ヤマツツジが西丹沢を彩る季節。つぼみの堅いものあり、もうしばらくの間は楽しめそうだ。 そして山麓ではアジサイやユリの花が賑わいをみせている。丹沢でユリの花を想い浮かべるのは、やはり塔ノ岳だろうか。 大石山の大石(鯨の背中)No.9 丹沢にダイブしたくなるほどの…素晴らしいフォトスポットだった。普段、自撮りする習慣や文化がないためか、一眼レフカメラの小さなファインダーを覗きながらの自撮りに「あーでもねー、こーでもねー」と30分間。悪戦苦闘の末…結局スマホに落ち着いた頃、もはや珈琲で一本立てるどころの話しではなくなっていた。。 Turquoise - ユーシンブルー(No.10) とめどなく青緑色に輝いてくれていた。 「人とは違う視点でやっていこう」 「自分らしくやり切ろう」 そんな柔軟な印象を与えてくれるCOLOR ユーシンブルーは神奈川県が誇る国の有形文化財(或いは国の重要文化遺産)と云いたい。夕方近くだというのに、ユーシンに向かう…およそ登山とかけ離れた姿の観光客が絶えなかった。 ユーシンロッジ到着15:35分 玄倉バス停までのコースタイム175分とヤマップは表示していた。西丹沢登山詳細図も同じくらいのタイムが記載されている。 玄倉バスまで、堅い登山靴で硬い舗装路やダートをジョギングしなければ、バスの発車時刻17:31までに到着出来ない。(残された時間は約2時間…コースタイムを1時間巻かなければならなかった) 歩く場合と走る場合とでは、発汗量の違いから、後者はより多くの水分補給が必須となる。念のため、ユーシンロッジの水場で500mlほど水を調達した。 ユーシンWater 酸味があり、サッパリとしていた。 のどごしは爽快で、やや硬度高め、疲れたカラダに丁度良かった。水分補給をしながら、ジョグ時々歩き、歩き時々ジョグで玄倉バス停に発車10分前(17:21)に到着することができた。 痛いお釣りも返ってきた。 堅い登山靴と硬い舗装路の相性が悪く、その上、ジョギングだったことも加わり、路面接地の反撥を受け止め続けた膝は最後の最後に悲鳴を上げた。 バスの後部座席に揺られ… 三半規管が弱くなってきたせいか、気分が悪くなり谷峨駅で独りバスを降りた。キリンレモンを飲んでさっぱりしていると…増便が到着。 ベテランと思しきHIKERさんは此処で電車に乗り換えるのが常套手段だと云う。目的地が小田原だろうが、東京だろうが…松田(新松田)を終点とした場合でも、時間も料金も快適さも勝るという。 このままBecause Koze(国府津)の砂浜で、潮風に吹かれながら黄昏れるのも悪くもないが、今日は松田駅前のモンペリエが恋しかった。。 純喫茶モンペリエ(松田駅前) 〜巻き戻る時計の針〜 昔ながらの落ち着いた雰囲気が心地よい。コーヒーの香り高く、登山で疲れた体に沁みわたる。ゆったり長居できる空気感があり、時間を忘れさせてくれる。分煙ではないので好みは分かれるかもしれない。 グラタンセットを注文した。 内容は1000円(税込)で珈琲、サラダ、デザートが付く。メインディッシュはグラタン以外にも、スパゲッティやピラフ、カレーライスに変更することも可能だ。 焦げ目の着いたグラタン ホワイトソースがクリーミーで とても優しい味わい。 熱々でおいしいっ!昨今、手間のかかるグラタンをメニューから外してしまう店が目立つなか、継続がありがたい。 前菜のサラダはドレッシングとの相性が絶妙で器ごと冷えており、秒で平らげてしまった。デザートの小皿に乗ったゼリーもサッパリとしていて、口直しに良い感じだった。 帰宅後に登山靴、レインウェア、ザックを含め、汗に濡れた装備品の洗濯があり、道中、愉しみにしている大好きなビールは控え(爆睡必至)、代わりにカルピスウォーター(最近薄味になった?と錯覚してしまいがち。真っ白い澱が前歯や舌に付着する水玉模様の時代が懐かしい…復刻しないかなと願いつつ)で喉を潤した。 おわりに 同角山稜を歩くにあたり…リンりんさん、よーだ山さんの日記を併せて参考にさせて頂きました。この場を借りて、感謝申し上げます。。





