雲早山・高丸山・西三子山(徳島)
2026.08.23 (日)日帰り
今月は近くの山をのんびりやってみたいなと思っていたが、山犬嶽は孫と一緒にやることにしているので今日は独り高丸山をやることにした。
事前にチェックすると、頂上へはざっくり1時間ほどで着けるらしいのでちょっと物足りない。
となると、流れで雲早山までピストンだななどと目論み、「今日の高丸、帰宅は遅いぞ」と家人に告げて出発した。
登山口には8時に到着した。晴天の日曜日、夏休みも終盤でもある。山行だけじゃなく家族連れのピクニックなんかもいてさぞかし賑わっているだろうと予想していたのに、駐まっているのは1台の白いスクーターのみ。ありゃありゃである。みんなどこへ行ったの?
ゆっくり準備して登り始めるが、登山道はずっと展望のない林の中でとっても静かだ。
物音が全くしない。不気味なほど無音の世界とでもいうか、風の音もなく、持病の耳鳴りと吐く息の音だけが聞こえる。
登り始めて約40分。ここで降りてくる人に遭い言葉を交わすが、この人がスクーターの人であった。以後は誰にも遭遇しない独り旅。いつものことだけど。
頂上近くで急登気味にはなったけど、高丸山頂上には難なく到着。楽な登りだったと振り返りつつ、暫し天候に恵まれた景色を眺める。
視界はほぼ全周が見渡すことができ、雲早山も綺麗に見える。少し左にカーブしながらの縦走路はちょっと遠い気もするけど、ここから3時間程度らしいので予定通り行ってみようと縦走路に入った。
程なく岩場の尾根を降りて行くようになるが、ちょっとヤバそうな切り立った岩場の突端に出てしまう。ハイ、ここで行き止まりですね。途中で道を間違えたようですわ。(実は、こんなミスを2度もやってしまった)
原因は地図の確認不足。それと山の位置関係の注意不足です。いかんいかんと反省しつつ、引き返す岩山の登りは全くもってうんざりします。
ルートミスによる時間のロスは20分程度。雲早山には12時に着くことを想定していたので、気分的に少し焦り気味で進むが、この縦走路もお約束通りアップダウンの連続で汗が噴き出る。
幾度となく休憩し、誰もいない静かな縦走路を半分近くまで来た時だった。ちょっと大きめの動物の糞を見つけたのは。
これは狸でもないし鹿でもない。多分猪だと思うけど、猿かもしれんな、などと考えながら数メートルほど進むと地面に木の実を食べた跡がある。しかも折られた枝の葉はまだ青々として新しい。とすればやっぱり猿ですね。いやちょっと待てよ、猿なら複数匹で行動するはずだからもっといっぱい散らかしているはず…だ…ぞ。ってことは、この糞はできれば最もお目にかかりたくない奴のものか。糞と木の実を食べた跡は別個のもので関係ないかも知れんけど、最悪のケースとしてはプーさんがまだ近くにいるってことか?と不安になる。新聞記事になるような事態は…イヤイヤ考えないでおこう。
まずは出くわさないよう、手を叩いたりしてこちらの存在をアピールして行くと、事前に向こうが逃げるっていうから大丈夫だ。そうそう、何が居ようと手をパンパンしながら行くと大丈夫だ。うん、絶対大丈夫だ間違いない、などと思い込んで進み始める。
しかしだ、このタイミングで今度は目の前の石楠花の株元にマムシが横たわっているではないの。これも一発でアウトになる相手。手持ちの救急セットなんかじゃ全く役に立たないぞ。だけど、左右から石楠花が茂る狭い岩場の道なので避けて通る道がない。マムシがゆっくり横の藪に入った後もすぐには進むこともできず、暫く様子を見て通過した。いや〜、それにしても不吉というか何か嫌な予感が。
そして、気がつけば青く晴れていた空は暗い曇天に変わり、辺りは夕方のように暗くなっている。いつ降りだすか、もう降りだすかっていう空気が漂ってきた。
で、雨着を着るのは面倒くさいななどと思いつつ、ルートミスで時間をロスしていることなども思い出し、アレコレ思いを致した結果 “本日は山に向いてない日” だとの結論を得る。よって、縦走ピストンは諦めることにした。
山行で途中断念して引き返すのは初めてだと思うが、「長い人生、こんなこともあっていいのではないか」と自分に言い聞かせながら戻る急登のやるせなさよ。
高丸山の山頂に戻り着いたのは12時15分。汗を拭き拭きホッとする気分になった。
ひと息してお昼をいただくことに。おむすび2個とタクアン2切れで十分と言ったのに、蓋を開けると卵焼きとウインナーも入っている。シンプルながら実に有難い。そして旨い。今日はノンアルもカップ麺もコーヒーもなかったが、沈み気味の気持ちも持ち直した感じだ。
食後は明るさの戻った空の下、頂上からの景色をゆっくり堪能し、旗立山経由で降りることにした。
やはりこのルートも林のなかで展望が利かない。旗立山は一旦林道に出ると直ぐのところだったが、ここも薄暗い林の中で味気ないところ。写真を撮るだけで引き返し、そのまま下山した。
登山口には14時35分に帰り着いた。予定より早い。いやいや早すぎる時間だ。
振り返ってみると、高丸山はさすがに「千年の森」と唱う自然環境保全地域だけあって林は濃く、豊かな山といった印象だ。
天然のブナ林も、この状態になるには何百年とかで実に立派。見応えがあった。
動物にビビったり、気持ちが萎えて引き返すのは初めてだったが、旨い飯にいい汗、そして景色が堪能できたのは上出来の山であった。
(あらっ、今日の高丸、遅くなるって言いよったんとちゃうん、とは家人の言葉であるが…)