滑落以上にマムシ毒の恐怖 生瀬富士と茨城のジャンダルム
生瀬富士・大子アルプス
(茨城)
2025.07.12(土)
日帰り
曇り 22/19℃
今日は、中学時代の友人と、茨ジャンこと茨城のジャンダルム登頂にチャレンジしてきました。
YAMAPを始めるまで、ジャンダルムという言葉も知らなかったカイヌシですが、茨城県のお山を色々調べていく中で、茨城のジャンダルムを知りました。そして、茨城じゃない本場の奥穂高岳のジャンダルムの存在も後から知りました。中でも、最難関「馬の背」の登り方降り方みたいな映像や「ロバの耳」だとかを拝見していましたら、やってる事と映像の迫力が凄過ぎて、よからぬことを色々と想像してしまいまして。少しでも足を滑らせたら、岩を掴み損ねたら、死とお股が三角に刺さる痛みが待っている事を想像しているうちに、本場は頭のおかしい超人達(褒め言葉です)がチャレンジする場所でしょうけど、それを見たが故に、茨城のジャンダルムならばいけそうな気がするー!と思ってしまったわけです。
Youtubeを拝見しながら、犬は無理だなぁと思っていたのですが、登頂を成功していた犬連れユーザー先輩の活動記録を拝見し、それが励みになりウオッカてぃんを連れて行く事にしました。
ウオッカてぃんは猿の血が通っていると言われるほど運動神経が抜群に良いので、彼女なら出来る!と信じていました。仮に、実際に行ってみて犬は無理だ!となっても、彼女の体重くらいならリュックやスリングで抱え登頂が可能であると判断したわけです。
エイぱちは最近、多頭歩きしてる時の他の犬への吠えや自転車への飛びつきが悪化していた事もあり、昨日から訓練所に一泊合宿に行ってました。エイぱちは運動神経に関しては鈍臭いのと、極度のビビリという事もあり、体重もウオッカてぃんの倍近くもあるので抱えて登るのは無理だと判断しました。
さて、今回付き合ってくれた友人ですが、私に登山を始めるきっかけを作ってくれたのは、彼女でした。お誕生日に毎年富士山に登っていた彼女の勧めで、ある年の夏、一緒に富士登山をしたのが私の山歩き人生の始まりだったのです。昔、スカイダイビングを一緒にしたのも彼女でした。そんな山もOK、高所もOKな彼女なら、茨ジャンチャレンジに付き合ってくれるのではないか?と思い誘ってみたら快くOKしてくれました(*´∀`)
実際に登ってみると、生瀬富士から茨ジャンまでの岩稜はさほど怖いと感じませんでしたが、生瀬富士まで登る時の急登と、生瀬富士から降りる時、誤ったルートを降りようとした時が1番恐怖を感じました。降りる時、道迷いをして、崖を降りようとしてしまい、明らかに道じゃねぇ!となり戻ったのですが、その時はウオッカてぃんも一緒だったので、この子を落とすわけには行かない!と生涯で1番慎重に行動した数分となりました。正しいルートを行ってみるとそこはちゃんと登山道で平気でした。後から見返して、私はウオッカを連れてあの崖を降りようとしたのかっ!と思い返したら急にゾックゾクと感じたのを今でも鮮明に覚えています。方向音痴過ぎて地図も読めないアホや。
皆さんの活動日記を拝見し、危険箇所はなかったとか、サクッと登ってる方々が多いような印象でしたが、初心者の、尚且つ犬も連れていた私にとっては全くそんな事はなく、山好きのみなさん、肝の座ったすごい人たちばかりだなぁと感心してしまいます。犬がいなかったらまた感じ方も変わるのかなぁ?
そんなわけで、生瀬富士山頂と茨城のジャンダルムでは、登頂した事の達成感で、すっかり絶景の写真を撮ることを忘れていました。ややガスっていて近隣の山々しか見えませんでしたが、とても良い景色でした!
ふふふ、達成感あるけど、意外と標高は低いのよね。
ウオッカてぃんも自力で登り降り頑張っていました。流石猿の血が流れてるだけあるw
友人に、富士山以来、10何年ぶりかの山歩きなのに、いきなりこんな山に誘ってごめんと謝ると、「それが、大丈夫みたい、私。全意識をここ(登ること、降りること)に集中できるのがいいんだと思う!」とありがたいお言葉。ただ、岩稜を歩くのに関しては、「私ここは無理ー!」と進む事は断念、手前からジャンダルムを行く私とウオッカてぃんの写真撮影係を請け負ってくれました。
立神山を過ぎた辺りで、水分摂取休憩でウオッカから目を離した隙に、ふとみるとウオッカが何かにちょっかいを出していました。退かせると、マムシの赤ちゃん?小さなマムシが尻尾をぴろぴろさせていました。この時点で本日マムシを見かけたのは2匹目。普段山歩きの時は、てぃんぱちが前を歩くので、何かしでかしていればすぐに気づくのですが、水飲み休憩や、夢中で岩やロープを使って登っている時は犬に対する注意が散漫になっていました。
蛇にちょっかい出すのはやめてぇーっ!
しかも、コイツはマムシだしっ!
噛まれたら死んじゃうかもしれないんだからねっ!
とその場を去ったわけなのですが、、、
5分ほどした時、ウオッカの動きがなんだか鈍くなりました。座りたがるし、水も飲まない。おやつもいらない。吐き気をもよおしてるみたい。そして、おえっと胃液を嘔吐したのです。犬の胃液嘔吐はまぁよくあることなのですが、この状況でなんかおかしい。そもそもおやついらん、は絶対におかしい。毒の草でも食べてしまったのだろうか?まさか、さっきのマムシに噛まれたりしてないよね?噛まれたような外傷はありません。とりあえずおすわりの次は伏せし始めたので、なんか毒のもの食べてしまったのかもと思い、スリングで抱っこして下山する事にしました。当初は月居山、袋田の滝の方まで足を伸ばす予定でしたが、最短ルートで下山する事に。次第に、私の服の袖に血がついているのを見つけ、ウオッカをよく見るとだらだら涎を垂らしているではありませんか。なんとなーくお顔の髭のあたりが腫れてる気がする。もしや、マムシに噛まれたかっ?口の中まで見ると出血源は口腔内でした。
うわわわわわ、うわっ、うぅぅ、
ウオッカが、ウオッカが、
マムシに噛まれたぁぁぁぁっ_| ̄|○
どうしようっ!
死なないよねっ?どうしようっ!
とりあえず、ウオッカは大人しくしていました。
はぁはぁするわけでもなく、ドキドキ鼓動が激しいわけでもなく。私の胸の前で粘液性の涎を垂らしながら大人しく抱っこされていました。
ポイズンリムーバーを使おうかとも思いましたが、口の中だし難しい。とりあえず持って来た水道水で口とマズルのあたりをじゃじゃっと流しました。
※後で調べて分かりましたが、毒を吸う、絞り出す行為は、蛇毒の場合悪化させてしまう可能性もあり、素人はむやみに使わない方がいいらしい。水道水で洗浄し、以降は刺激せず病院に全て任せましょうとありました。
すぐに山の中から、1番近いと思われる動物病院に電話をする。
「犬がマムシに噛まれたのですが対応していただけますか?」「はい、大丈夫ですよ。」と慣れた感じの頼もしい返答あり。
早く降りなきゃっ!
毒が回る。毒が回る。
残念ながら、”どくけしそう”もなければ、カイヌシは”キアリー”も使えない。
電話したところは立神山を過ぎて少し歩いたところだったのですが、最短で行っても下山まではまだだいぶかかりそうです。足元はズルズル滑りしやすく、ずっとロープ続きの急勾配を下って行がなければならない、尚且つ7.5kgのウオッカをずっとスリング抱っこして降りなければならない歩きにくい登山道、山を歩き慣れていない友人に対する申し訳ない気持ち、ウオッカが無事である事を兎に角祈る気持ち、尚且つ、私がパニックになっては行けない、冷静を保たなければ!という気持ちといろんな気持ちが入り乱れ、後ろの友人と目の前のウオッカの様子を気にしながら無我夢中で下山しました。
危険な箇所はロープがずっとあったので、転ばずに歩くことができましたが、腰を屈めてずるずる滑り台のように降りたところもありました。
約1時間ほどして駐車場に到着。
よし、では、動物病院へ!
調べると12分ほどで着くらしい。
近くにあって助かった!
到着すると同時に、もう1組車が到着しましたが、その方も初めてであったのか、玄関を間違え向こう側に歩いて行ってしまわれ、院内にも他の患者はおらず真っ先に診察してもらうことができました。
診ていただいたドクターの慣れた手つきと喋りで、カイヌシは助かった、、、とようやくそこで緊張の糸が解けたような気がしました。
「血清は置いてないけど、ステロイドと抗生剤打つから。薬は飲める?」
プレドニン(ステロイド)と、セフェム系抗生剤の注射を打ってもらい、家に帰ったら同じ薬の内服渡すから飲ませて、2、3日後に腫れは引きはじめるし、大丈夫だから!と。
「これ、マムシですよね?」
「マムシだね。アオダイショウやシマヘビは腫れない。ヤマカガシやマムシはこういう腫れ方をするよ。」
「マムシに噛まれたって患者さん来ますか?」
「多いよ。年間20件くらいは来るね。」
「犬は臭いを嗅いだり口で確認するから口をやられる。猫は猫パンチだから手を腫らして来るね。」
といろんな事を教えてくださいました。
兎に角、その手捌きと巧みな喋りのおかげで、一気に信頼感!近所にこういう動物病院があったらいいのになぁと思いました。これまで引っ越す前と後とでいくつかの動物病院で診てもらいましたが、たった一回の受診でこれほどまでに頼もしいと感じた病院はありませんでした。帰る頃は更にもう2組ほど患者さんが外で並んでおり、近所でも評判の動物病院なのだろうと思いました。
最後に、「生瀬富士行ったの?登ったの?」
「はい、でも、月居山の方や袋田の滝覗けなかったのでいつかリベンジします。」
「これに懲りずにまた大子に遊びに来てね」
と先生。
友人もリベンジしようっ!と言ってくれたので、紅葉の季節くらいに、今度は犬はお留守番でまた来て、袋田の滝を上から眺めてみたいなぁと思っています。
ウオッカてぃん、首の皮下出血と腫れがとても痛々しく、本当に申し訳ない気持ちになりました。早く気づいてやれなくてゴメンと、大事に至らなかった事への感謝、今日、ウオッカも頑張って生瀬富士を登った事への感謝と労いの気持ちでいっぱいになりました。
帰宅後は食欲も出て来て、薬も飲めたし、翌朝はいつも通り家の外に見える他の犬にも吠えてたし、行動的にはいつものウオッカてぃんに戻りつつありました。ストレス溜めちゃうから、少しお散歩しようと歩いて来たのですが、帰ってみたら、皮下出血が広がっていました。昨日お世話になった動物病院に電話すると、マムシ毒は溶血作用があり、どんどん出血するとの事。腫れのピークは2、3日後、激しい運動はさせないで、散歩も休んだ方がいいとのとこでした。薬を飲めているのなら大丈夫だろうと。
安静にしなければならないというのは、
昨日知りたかった(ノ_・。) 普通に考えたら皮下出血してる時点で気づくとこだろう。私がアホや。
今回は、滑落による事故はありませんでしたが、
スリルと達成感はあったものの、何よりもカイヌシの趣味で、エゴで、この子達を巻き込んでしまっては絶対にならない、この子達に何かあれば後悔じゃ済まされないっ!と思ったので、今日のようなヒヤヒヤものの危険なお山は、2度と犬を連れてくるのはやめようと心に誓ったカイヌシなのでした。
マムシについては、これに懲りて、蛇に2度とちょっかいを出さなくなると良いのだけど、、、
どうかなぁ。山に行かなくても近所の散歩道に蛇はいくらでもいますからね。人間だっていつ噛まれるかわかりませんし、足元には十分注意が必要です。
夏の低山は色々と厄介だと今年色々学びを深めています。もう少し高い少し涼しくなるようなお山にも挑戦したいのですが、、、絶景のお山、憧れの日本100、200、300名山、行きたい山はいくらでもあります。魅力的なお山はその分登山客も多い。大人しくてお利口さんならば兎も角、てぃんぱちの場合はもう少し訓練を強化しランナーや自転車に対しても、吠えずに待っていられるようにならないと憧れのお山には連れて行けません。
また、人が少なくても、今日のように危険を冒してまでは犬と一緒に登れません。抱えて登る事も出来る事は出来るけれど、自分への負担を考えると、今の私にはまだ早過ぎました。というか、これからの人生、今が1番若いわけで、この先も厳しいと思いました。今日の達成感は大きかったですが、反省はそれ以上に大きかったです。
今日はたまたま涼しかったこと、すぐに診てもらえる動物病院がすぐそばにあった事、1人じゃなかった事、連れて来たのがエイトではなくウオッカだった事、トラブルの中にも不幸中の幸いがたくさんあり、大事に至らずに済みました。心の底から守護霊さん、山の神にも感謝。
そして、以前より大型犬への憧れがずっとありましたが、山登りを続けるならば、今日のように何かあった時に大型犬を背負って行くのは、私の体力では現実的ではないので、大型犬の夢も諦めようと思ったり。
今回の山行は、兎にも角にも、いろんな事を考えさせられた1日となりました!
そして、何よりも付き合ってくれた友人にありがとう!!
テレレレレテッテッテー♪
カイヌシは レベル4に あがった!
55ポイントの けいけんちを かくとく!
かしこさが 5ポイント あがった!
たいりょくが 2ポイント あがった!
低山はまだいくらでもあります。訓練を続けながら、犬と楽しく安全に登れるお山をこれからも開拓していこうと思います!
そういえば、他のハイカーと誰とも会わなかったなぁ。もしかして、この地域、この時期、マムシが多いことみんな知ってたから⁈