黒伏山 因果の逆算
船形山(御所山)・泉ヶ岳・蛇ヶ岳
(宮城, 山形)
2023.11.23(木)
日帰り
神様神様と言ってはいるが、信じているわけでは毛頭ない。
せいぜい腹を下した時に「おお、神よ…」と願掛けするくらいか。
神仏への願掛けは、えてして因果が逆である。
例えば、御所山にある姥地蔵。
彼女を詣でれば母乳が富み子宝に恵まれるというが(『東根市史』)、子を授かれたのは、険しい山に登れるほどの恵体だったからでは?
それでも、神様のお導きだと思わずにはいられないときがある。
因果を逆算しただけ、と解ってはいるけど。
ーーーーー
【11月22日】
原宿バス停を下車、歩いて3時間で柳沢小屋へ。
囲炉裏と畳に根を張りつつ、明日の黒伏山に向けてブラックカレーメシを流し込む。
来年こそはこの手のダジャレから卒業したい。
【11月23日】
一夜を共にした畳を磨いて出発。
出発早々、山頂に太陽が重なる「ダイヤモンド仙台カゴ」のお出まし!
日神アマテラスのご加護にニヤつき不可避だったが、ふたつの誤算で真顔に戻る。
ひとつめは雪。
落葉に積もった湿雪に大苦戦。日陰は終始ずるずるで、4本爪の軽アイゼンでは心許なかった。
姥神様が肩まで埋まっているとは思わなんだ…。
ふたつめは柴倉山のトラバース。
道っていうか、ただの急斜面だった。獣のトレースを辿ること1時間で命からがら通過。
糞尿の跡にこれほど勇気付けられたことはない。
福禄山〜黒伏山もちょくちょく薮っぽいが、柴倉山に比べればなんのその。
周回コースに合流してからは、すれ違った方々に励まされながら下山した。みんな神様みたいだ。
ーーーーー
下山後は、黒伏山所縁の神社に御礼参りへ。
まずは修験の本堂・沢渡黒伏の「黒伏山神社」。
私が感謝を伝えたかったのは、こちらの山神・大山祇之神(オオヤマツミノカミ)!
…ではない。
本命は、人里に建つ「黒伏神社」の埴山比賣命(ハニヤマヒメノミコト)である。
ハニヤマヒメは、母イザナミの大便から生まれ落ちたやんごとなき女神様。
土や陶芸を司るほか、尿から生まれた姉妹神とともに肥料・農耕の神として敬われている。
そう、柴倉山の道しるべはきっと、ハニヤマ様の化身だったのだ。
おお、神よ…!今後ともトイレの際は何卒よろしくお願いします。