羅臼岳・硫黄山(知床)・羅臼湖(北海道)
2026.08.12 (水)2日間
知床連山の1泊2日縦走。
当初、日帰り縦走を計画していた。日帰りでは前泊地(岩尾別温泉か羅臼温泉)から早朝出発が必要になり
這松藪に手こずりカムイワッカ発の最終バスに間に合わないと、長い林道を歩いて戻ることになる(知床では林道でも羆との遭遇リスクあり)。
そのため意図しない羆との遭遇を避けるためにも、双方視界の悪い藪ではこちらの存在を知らせ
早い移動や早朝・夕暮れの羆の活動時間を避けて、山中に1泊してゆっくり歩く計画とした。
羆対策として、熊鈴に加え、熊スプレー(知床自然センターでレンタル)、電子ホイッスル、携帯ラジオ、熊忌避剤(熊をぼる)を持参。
致死的な状況を避けるには、過剰な備えでもない。
前夜、女満別空港経由で網走に前泊。
6:38 網走→ 7:21 知床斜里を電車、8:10 斜里バスターミナル→ 9:20 知床自然センターをバス、
10:00 知床自然センター→ 10:40 カムイワッカをバス(お盆期間限定)で移動した。
1日目:晴のち雨、前夜は雨
カムイワッカ行きのバスは、硫黄山登山口からの入山は自分ひとりで、他は湯ノ滝登りのアクティビティ参加者だけだった。
登山口から旧硫黄採掘場や新噴火口まで、雲一つない晴天下で汗が噴き出す。
藪や足場が悪い樹林帯を越え、硫黄川出合いから硫黄山までは涸沢のガレ場とザレ場が続き、重い荷物での登行はなかなかの負担だった。
休憩のたび、スズメバチに似た大型のアカウシアブ(蜂虻)が寄ってきて、座ってゆっくり休憩もできなかった。
登山口から晴天を見込んでいたが、硫黄川出合いで曇天となり、硫黄山取り付きで小雨が降り始めた。晴天の天気予報は外れた。
知床硫黄山は、融硫黄が噴出する水蒸気噴火を繰り返す世界的にも珍しい火山。山頂直下の岩場は想像以上の急登だった。
7月であれば知床と択捉島にのみ自生するシレトコスミレが観られたハズ。
知円別岳まで、硫黄山火口外輪や第二前衛峰の白砂のガレ場・ザレ場を進む。コケシ岩など奇岩もあり、晴天なら素晴らしい景色だっただろう。
知円別岳付近から深い這松藪が増えた。数年刈り払いされていないだろう高さのある藪に加え、風雨も強まった。
羆との不意の遭遇を避けるため、藪に入る前に電子ホイッスルを鳴らし急がず進む。
二ッ池幕営地に到着して即座に設営。他の登山者はいなかった。
雨の中、幕営地から離れた場所で簡単に夕食を済ませ、食料はすべてフードロッカーに保管した。
夜間も強い風でテントが激しく揺らされ、何度も目を覚ました。
2日目:晴
早朝3時頃に起きたところ、風は弱まり星空が広がっていた。羆対策で陽が昇るまでのんびり待った。
2つの池で水が残っていたのは地の池のみ。浄水器で取水した(水は足りて飲まずに済んだ)。
二ッ池から望むオッカバケ岳は、登山道のないグレーピーク。地形を読んで進むも、深い這松藪が背丈以上あり、山頂へのアプローチは断念した。
同じグレーピークのサシルイ岳と三ッ峰は藪が浅くて山頂に到達できた。
縦走では羅臼岳方面、硫黄山方面ともに展望が素晴らしく、藪道ながら楽しんで歩けた。
時間を気にせず、ゆっくり歩ける心の余裕もあったからだろう。
三ッ峰付近で、羅臼岳山頂にいる登山者から「ヤッホー」という声が聞こえ、久しぶりに人の気配を感じた。
最後の藪道を抜け、岩尾別登山道との合流点の羅臼平に着くと、これまでが嘘のように歩き易い登山道へ変わった。さすが百名山メインルート!
藪通過のため着ていたレインウェア上着は、気付くと他の登山者は誰一人着ていなかった。
知床連山最高峰の羅臼岳、山頂直下は硫黄山と同じ様な岩場の直登が続く。
山頂からは縦走した硫黄山方面の眺望が広がり、達成感と羆に遭遇しなかった幸運を噛み締めた。
斜里町ウトロ海岸線の滝雲や雲海に浮かぶ国後島まで見渡せた。
下山に使った岩尾別登山道はとても歩き易く水場も豊富だった。他の登山者もいた。
前年に不幸な羆襲撃事件があった蟻の巣が多い箇所は、電子ホイッスルを鳴らして通過した。
羆が月ノ輪熊より賢いというのは本当らしく、急がず、こちらの存在を知らせれば、羆の方が遭遇を避けてくれていたのだと思う。
木下小屋に到着。予約無しで素泊まりの後泊を受け入れてもらった。小屋には岩尾別温泉が引かれ、自由に入浴できる。
小屋ご主人から前年の事件について詳細を聞き、知床財団のレポートとの解釈の違いもあって、深く考えさせられた。
翌日は事件からちょうど1年の節目で、小屋の前では大手新聞社がカメラを持って登山者に取材していた。
カムイワッカ湯ノ滝アクティビティの第一便に乗るため、翌朝6時前に小屋を発ち林道を歩いて、開館8時前の知床自然センターに到着し、今回の山行を終えた。