日高大山【日高山脈の空白地帯へ③】1361m
日高の深淵に刻まれた、神々にして大名たる一族の古き絵巻物語りでございます。 太古より日高山脈の最奥、人知れぬ神域の頂に鎮座し君臨するは、絶対の主神・ナメ神(ナメワッカ岳)。 里の喧騒は遥か遠く、幾重もの激流を渡り、激烈なる薮の壁を突破せぬ限り、その神体に触れることすら叶わぬ絶対の領域である。 ナメ神は神威として猛烈なる笹薮と鋭利な岩陵や這松を突きつけ、試練を乗り越えし『選ばれた勇士』にのみ、日高全領を見渡す神視を授けていた。 そのナメ神の隣りには、気品と豊かな慈愛を賜える神妃・ユリア妃(エサオマントッタベツ岳)が佇み、厳格すぎるナメ神の威厳を静かに包み込んでいた。 そして、ナメ神の背後に構えるは(黒王號/神威岳)神域の暗闇そのものを纏った巨大な漆黒馬、『黒王號(コクオウゴウ)の居城』巨木のごとき足が地を蹴れば、切り立った千丈の谷すら一っ跳び踏み越える。修験者が深山で耳にする地鳴りのような山鳴りは、ナメ神を乗せた黒王號が雲海を切り裂いて駆け抜ける鉄蹄の音に他ならない。 だが、絶対の孤高を貫くナメ神にも、たった一つだけ心を許す唯一の拠所が存在した。 ナメ神の実弟----ナメワッカ分岐峰である。 ナメ分岐峰は生まれつき病弱な身でありながら、その頭脳は神々の中で最も冴え渡り、並外れた知性と戦略眼を誇っていた。 ナメ神と分岐峰の居城の間には、誰の目にも触れぬ地下の『秘密通路』が伸びており、ナメ神は夜な夜なこの通路を通って弟のもとを訪れては、密かに心を癒し、天下の知略を授かっていたのである。 この天才軍師・ナメ分岐峰の傍らには、優美なる妻・春別殿(春別岳)が静かに寄り添い、病床の夫を献身的に支えていた。春別殿の穏やかな立ち振る舞いは神域の緊張を和らげ、ナメ神にとっても温かい安らぎの場となっていた。 世は室町から戦国へ。 ナメ神と分岐峰が描き出す策謀は、日高の地を静かに揺るがしていく。 日高の領域を防衛するうえでナメ神が最も重用し自らの命運を託したのは、 『懐刀たる重臣--大山丸(大山)』 であった。 派手な岩峰や最高峰の威容を誇る表の将たちとは異なり、大山丸は深い樹海と鋭い尾根の陰に密かに身を隠す。外部の者がその領域へ足を踏み入れることすら拒む密林の要塞を守護している。滅多に表舞台に姿を現さない一人の影武者。 表舞台では、長男の幌尻丸(幌尻岳)が最高峰の威容を誇って他国を威圧し、父譲りの堅牢な防壁(千露々沢の急崖)と圧倒的な存在感で威圧し『日高の巨頭』として天下にその名を轟かせる。 その息子である3代目の荒武者カムエク(カムイエクウチカウシ山)は熊すら倒す刃のごとき岩峰で侵入者をことごとく討ち払っていた。一族の誰もが恐れる武闘派の領主である。 しかし、大御所ナメ神が真に信頼し、一族の命運に関わる蜜命を託していたのは、誰の目にも触れぬ奥深き裏山に控える大山丸であった。 そして、カムカムの実妹であるのが、美しく気品溢れる『ピラトコミ姫(ピラトコミ山)』である。 一方で、隣国には恐るべき大勢力が存在していた。父なる最高峰『1839峰(イッコクロクロウタ)』と母なる魍魎ヤオロマップ岳である。 そして、その二人の血を引くサラブレッドにしてニ代目の当主が、南方を統べる--『コイカク(コイカクシュサツナイ岳)』であった。 ナメ分岐峰が描いた壮大な戦略に基づき、ナメ神はカムエクの実妹・ピラトコミ姫を、隣国の若き当主コイカクと恋仲にさせ、のちに婚姻(政略結婚)を結ばせる。これにより、ナメ神一族と強力な隣国(1839・ヤオロ家)は親戚関係となり、南方の防壁を完全に味方に引き入れることに成功したのだった。 さらに、隣国最強の1839峰の動きを完全に封じ込めるため、ナメ神直属の最強の忍びであるシビチャリ山とべニカル山の二将を密かに派遣。1839峰の目と鼻の先に潜伏させ、四時昼夜を問わずその一挙一動を監視する完璧なスパイ網を構築したのである。 『大山よ、表の謀略と武威は若き者らに任せよ。お主は我が懐刀として、誰の侵入も許さぬこの日高の深淵を護れ』 ナメ神からの絶対の信任を受けた大山丸は、深く濃い樹海と鋭い尾根の陰に密かにその身を潜め、神域の絶対的な不可浸を護り抜いた。 表では幌尻丸とカムエクが武威を示し、陰では忍び(シビチャリ・ベニカル)が敵を監視し、病床の天才軍師(分岐峰)が知略を張り巡らせ、懐刀(大山丸)が最深部を護る。さらには政略結婚により隣国のニ代目コイカクすら一族に巻き込んだことで、ついには隣国最強の1839峰をも降伏させ、上洛【服従】させるに至ったのである。 これにより、日高の絶対者たるナメ神の地位は、何者にも脅かされぬ盤石のものとなった。 ============================= 日高山脈・神話と戦国の神々 (盤石なり覇権の系譜) ⚪︎主神・絶対の覇者(ナメ神/ナメワッカ岳): 武力と密謀で天下を統べ、1839峰すら上洛させた絶対君主。大御所 ⚪︎実弟・天才軍師(ナメワッカ分岐峰):病弱ながら並外れた知略を誇るナメ神の知恵袋。 ナメ神の唯一の心安らぐ拠所。 ⚪︎分岐峰の妻【春別殿/春別岳):夫を優しく支え、ナメ神にも安らぎを与える気品ある奥方 ⚪︎懐刀・影の最高重臣(大山丸/大山):ナメ神が最も信頼を寄せる秘境の守護者。神域の静寂を死守する影の要。もう1人の影武者 ⚪︎神妃・一族の母(ユリア妃/エサオマントッタベツ):ナメ神の隣りに咲く麗しき妃。気品と慈愛で神域を包み込む。一族の源流 ⚪︎神馬・(黒王號/神威岳):ナメ神の乗駆たる漆黒の巨馬。雲海と尾根を駆け抜ける絶対的機動力。 ⚪︎二代目・表の当主(幌尻丸/幌尻岳):王者の風格を持ち、表舞台で日高の威名を示す最高峰。 ⚪︎三代目・最強の猛将(カムエク):侵入者を ことごとく退ける最前線の荒武者。一族最強の若き猛将 ⚪︎カムエクの実妹(ピラトコミ姫/ピラトコミ山):ナメ神一族の姫。コイカクと恋仲になり、政略結婚を結ぶ。 ⚪︎隣国のニ代目・南方の当主(コイカク/コイカクシュサツナイ岳):1839峰とヤオロ家の息子。ピラトコミ姫と結ばれ、両国の絆の要となる。 ⚪︎ナメ神直属・最強の忍び(シビチャリ山とベニカル山):1839峰を完璧に監視・遠ざける極秘スパイ網。 ⚪︎隣国最強の父(1839峰/イッコクロクロウタ):強力な力を誇るも、ナメ神の張り巡らせた謀略と政略により屈服し、上洛を余儀なくされた元覇者。 ⚪︎隣国の母(ヤオロ):1839峰の傍らに立ち、二代目コイカクを生み育てた大塊峰。 戦国の嵐が去った今も、大山丸はナメ神の最も近く、深い樹海と静寂の底にその身を隠している。 誰も来ぬ秘境中の秘境・大山を越え、その静かなる頂に立って者だけが、ナメ神の懐刀として一族の命運を陰で支え抜いた、影の重臣の誇り高き息吹を感じることができるのである。 そして現在まで、この国(ナメワッカ領)は生半可な者を一切寄せ付けぬ壮絶なる断崖と這松の試練、そして恐るべき神々の謀略ゆえに、強者どもが集う『神域の国』と呼ばれ恐れられている。 【降臨の地】【神威と神徳】 ナメワッカ神は語らず、ただ深遠なる山懐にて鎮座する。その神域に挑むは、肉体を磨き上げ、静かなる闘志を燃やす者たちの 『永遠の宿題なり』






