嫦娥岳,鋸岳(南ア北部藪岩山最高峰ここにあり)/戸台駐車場→熊ノ穴沢出合→嫦娥岳→第三尾根→鋸岳(第二高点)→鋸岳(第一高点)→角兵衛沢→戸台駐車場
甲斐駒ヶ岳・日向山
(山梨, 長野)
2018.07.11(水)
日帰り
2018/07/11(水)
嫦娥岳(じょうがたけ)
標高:2,047m
所在地:長野県
グレーディング:
名山:
鋸岳(のこぎりだけ)
標高:2,685m
所在地:長野県,山梨県
グレーディング:8E(縦/鋸岳→甲斐駒ヶ岳(釜無川・黒戸尾根))
6D(釜無川ゲート)
名山:日本二百名山,山梨百名山,信州百名山
国内標高94位
山域:南アルプス山塊
天気: 晴れのち曇り
登山第百三十弾!
南アルプス北部の藪岩山として、挙げられるのは「離山」「坊主山」だったりしますが、もう一つ、やばい山として知られてるのが、今回登った「嫦娥岳」。
「そもそもなんて読むの?初めて見た漢字!」っていう印象が強いですが、この山も、なかなかスリリングな山です。
なんてったって、あのヤマレコにもあまり記録がなく、一年に何パーティー入るんだ?ってレベルの山。
自分も、なんでそんな山を知ったかよく覚えてないですが、藪岩山好きには是非登っておきたいという思いがあり、今回、やっとこさチャレンジすることが出来ました。
この「嫦娥岳」は、あの「鋸岳」の稜線から第三尾根という尾根の末端に位置します。
今回は、「鋸岳」未踏ということもあり、嫦娥岳と鋸岳周回を日帰りでやることにしました。
毎度お馴染み、パートナーは頼れるSさん。
ゆるふわ好きのSさんもすっかり藪岩山好きに変身です。
時間がどれだけかかるかわからないので、前日戸台入りして、まだあたりの暗い3時にスタートします。
自分にとっては、今年2度目の戸台。《バスが北沢峠まで通っている今、ここを使う人なんてろくな人はいない笑笑》
2時間仮眠して、ヘッデンつけて、戸台川の河原歩きから始まります。
前回は厳冬期で、川の水量もかなり少なかったですが、今回は、先日の大雨の影響か、はたまた元々こんなものなのかわからないですが水量は前回と比べ物にならないくらい多かったです。
約半年前の、忘れかけている記憶を掘り起こして、真っ暗な戸台川を歩く。
今回は、前回と違い、友がいて、2回目ってこともあり、不安はかなり少なかった。
暗くてテープ類は全く見えないですが、序盤は右岸を歩き、階段で堰堤越えたところで、左岸に移れと看板に書いてあるので、渡渉して左岸に渡ります。《そこだけ意識すればなんとかなります。きっと》
それまで、靴を濡らさないよう飛び石で超えていましたが、この渡渉は入水回避困難だったため、仕方なくじゃぶじゃぶして川を渡ります。
《いや〜いくら7月と言えども冷たかった(^◇^;) 》
1時間ほどあるいてようやく辺りが明るくなり、正面に甲斐駒と、見慣れぬアングルの甲斐駒〜駒津峰〜双児山の稜線が現れます。
そして、狙っている嫦娥岳も、前回はよくわからなかったけど、今回はしっかり確認出来ました。
1時間半ほど歩いて、やっとこさ角兵衛沢出合に到着。
鋸岳登山口の看板を見て、ここが下山口かと思いつつスルー。
もう少し歩くと、熊ノ穴沢出合に到着します。
目印のようなテープ類はなく、崩落地になっていて、知らないとここから入ろうとは思えない場所から登ります。
ここで本日最初の難関。
そう、増水した川の渡渉です。
ただの雑魚キャラ登山ピーポー2人なので、安易に足を入れると流されてしまいます。
色々ルート考えたり、上流に行ってみたりして、なんとか、それらしいところを見つけアタック!
幸いにも、川の藻屑になることもなく(笑)膝くらいの浸水で済んだので助かりました。
右岸のケルンがあったところから、取り付いてみると、テープやマーキングを発見し、これじゃ登山道からは分からん!の一言。
それ以降は、テープよく付いていて、踏み跡もあるので、だいぶ安心です。
今回の方針としては、ギリギリまで熊ノ穴沢を登り、嫦娥岳の尾根に移る作戦で行きました。
熊ノ穴沢の登山道がガレ場の浮石を歩くようになると、分岐まであとちょっとです。
少し上がひらけたところで、右の尾根に移ります。
ここが、どうなるか不安でしたが、ホールドの多い藪のない急斜面を上がり、目的の尾根に乗ることができました。
んで、すこし登ると、いよいよ大岩が出てきます。これを右に巻くと、その先に岩壁が見え、完全にこれからは、岩壁に沿って巻いていく箇所だと思い込んでしまいました。これが、ルートミスへの第一歩でした。
岩壁の下に行くと、踏み跡明瞭で、何も疑うことなく岩壁を巻いて行きます。
「完璧なルートチョイスだったね」なんて言いつつ、《絶賛、ルートミス中でした笑笑》
出来る限り巻いて、負けなくなったので、尾根に沿って登ります。
最初はまだなんとか登れたのですが、徐々に岩場になって行き、最終的に切り立った崖を登るしか無くなりました。
岩の間を縫うように登れば、行けそうな気もしましたが、滑れば崖から落ちて命は無いでしょうし、もしこの区間乗り切っても、山頂までまだまだあって、登ったはいいものの下れないってのが最悪のシナリオだったので、ここは無理せず大人しく引き返すことにしました。
こんなに派手にルートミスしたのも久しぶりで、「もう、踏み跡なんて絶対信用してたまるか!」って思います。
ってなわけで、結局、ミスったのは、序盤に熊ノ穴沢から嫦娥岳への尾根に移って、大岩を巻いたところからで、そのままもっと尾根を上がるのが正解でした。
でもまぁ、ミスったところも分かったし、原因も分かったのでスッキリはしました。
引き返した判断は絶妙だったし、立派な岩壁の下を通れたので良かったですが、もしこれを読んで嫦娥岳へ行く人がいるのなら、気をつけてください。
さて、なんとか予定したルートに復帰し、尾根を登れるところまで登ると岩壁が出てきて、今度こそ右に巻きます。巻き続けると、ここでようやくテープと出会います。
「尾根を登る」と書いてあり、どうやら正解のルートだったみたいです。
ここから尾根を登りますが、これまた急斜面の岩場を登り、滑れば真っ逆さまなので、十分注意すべきです。
どうにかこうにか登りきり、嫦娥岳へ到着ー!
ちゃんとテープに「嫦娥岳」と書いてあり、三角点もありました。中々良い雰囲気の三角点です。
ここで一息入れますが、まだまだ気は抜けません。
続いては、鋸岳の稜線へ向けて、第三尾根を登ります。
これまた凄い道で、藪はんぱない。
《急登続きで、距離は短いのにしんどかった〜》
北岳や仙丈、甲斐駒がみれたのが唯一の救いでした。
そして、高度を上げると、いよいよ核心のルンゼ。
先人たちの教えで、ここが一番ヤバいと分かっており、気合い入ります。
嫌なことに、ルンゼの岩は濡れており、ルートとしては登れなくないルンゼだったのですが、いかんせん濡れてたので肝を冷やしました。
先にSさんが行ってくれて、それに続いて自分も行きます。
3箇所、危ないところがあり、特に2個目が、ホールドもあまりなく、一番怖かったです。
滑ると数mの転落は免れないので、慎重に登りました。
どうにか切り抜けて、あとは稜線を目指すのみ。
《ルンゼ抜けたところからみる仙丈ヶ岳が美しかった、、》
稜線までは、今までより一層藪が深く、ハイマツやらシャクナゲやらと戦います。
これでもだいぶ藪を避けたつもりだったのですが、腕の擦り傷やらがすごかった、、
かなりの激藪で、心折れそうになりました。
稜線へ出た時の安堵感は今でも忘れません笑笑
いくら破線とはいえ、踏み固められた道は歩きやすく、藪漕ぎがないだけで、こんなに早く歩けるのか!?って感じ。
しかし、合流点からだいぶ標高落として、ようやく熊ノ穴沢と合流しました。
熊ノ穴沢のがれ場も中々歩くのしんどそうです。
中ノ川越から第二高点への登りはがれ場を登るのですが、これがまたキツイ、、
完全にバテてSさんに追いつけない、、あたりもガスってきて、どうやら僕は、ガスると元気が無くなるようです笑笑
なんとかがれ場を上がりようやく憧れの第二高点到着しました。
よくネットで見ていた劔にもお目にかかり、ガスの所為で展望なしでしたが、ここに来れたってのが自分の心の中で達成感になりました。
しかし、今思えば、鋸岳の真価はここからでした。
まず、戸台側に逸れ大ギャップの谷へ下ります。
どんどんガスが出てきて、その隙間から第一高点の看板と、大ギャップの長い鎖が見えました。
大ギャップのコルでは水が少し出ていたので、水分補給。若干水分不足になっていたので、ここの水は貴重でした。
少し休憩して、いよいよ大ギャップの登りです。
お互い、落石に注意して距離を開けて登ります。少し登るとあの鎖場が現れ、あそこは素直に鎖を信じないと怖くて登れません。もし反対側から来るとここを下らないといけないので、さらに難易度は上がりそうです。
なんとか上がると、これまたよくネットで見た「鹿の窓」ほんとは景色がいいと良かったのですが、まぁ欲は言いません、というか近々リベンジします。
個人的には、鹿の窓さえクリアすれば第一高点かと思っていたのですが、なんとまだ小ギャップがあり、これまた鎖がないと登れなく、ビビりました。
コルへの下りも怖いし、登りも中々スリリングで、正直、鋸岳のP1〜P2がこんなに険しいとは思いもしませんでした。《そりゃ、戸台の駐車場にあんだけ看板立ててあるわけだ》
小ギャップをクリアして、なんとか第一高点到着。
ほんとは編笠山も時間があれば行きたかったのですが、ガスってたのと、疲れたのと、ピストンは渋かったので、また今度にしました。
第一高点で少しのんびりしてると、若干ガスが抜けて、三角点ピークなどが見えましたが一瞬でしたね。
ということで、あとは降るだけ、角兵衛沢からがれ場を下るのですが、これがまた歩きにくく、全てが浮石で、足に力を入れると「がらがらがらー」と音を立てて石が転がって行く。それが、足に当たったりして、爪がお亡くなりになりました。
がれ場は相応続いて、もう飽きたし、浮石怖いし、絶対角兵衛も熊ノ穴沢も使いたくないです。
お互いに励まし合いながら苦行を耐えました。
《出合手前の岩清水がめちゃくちゃ美味しかったなぁ》
なんとか出合につき、一安心かと思いきや、まだラスボスが残ってました。それは行きも体験した渡渉。
結局、見た感じいいところなく、下流にかけることにしました。
だいぶ歩いて、あとちょっとで右岸が、つまるってところで、どうにか飛び石で渡渉できるところあって、なんとか左岸に戻れました。
そっからは長い河原歩きでした。
いやーほんと、中々嫦娥岳も鋸岳も半端なかった。
おそらくSさんがいなければ嫦娥岳も行くことはなかっただろうし感謝感謝。
今回は色々学べることがあったので、いい山行になりました。
くれぐれもP1〜P2はお気をつけて。《でも、正直、ここを通らない鋸岳の真髄はわからないと思います。