苗場山・赤倉山・佐武流山(新潟,長野)
2026年10月9日 (金)3日間
秋の10月3連休、混雑を避けるように1日前から休暇を取得し苗場山へ
ベースキャンプは赤湯温泉
久々にテントを背負ってゆったり2泊、秘境の野湯はまさに人生再生の場所にふさわしい
狙いどおり、マイペースで紅葉時期の苗場山を心ゆくまで味わうことができた
毎年、訪れたいとっておきの場所だ
どうか末永く営業が続くことを願うばかり
昨年初めて訪れた苗場山、高山植物が咲き誇る天空の楽園と秘湯・赤湯温泉に深く感銘を受け再訪の機会を心待ちにしていた
今年は紅葉の時期を見計らい、そしてテント泊でゆったり味わうコンセプトで現地へ向かった
連休前の金曜日ならばテントサイトも余裕があるだろうと見越し、昼過ぎから歩みを開始
登山の直前には永井食堂で名物・モツ煮でエネルギー補給を、開店前から行列とは人気ぶりに驚いた
登山口となる小日橋Pは拡張され河原のゾーンに余裕をもって駐車できる環境が整っていた
2泊分の荷物のザック総重量は約20kg、水場が豊富なので水の量はごくわずかだが酒や食料、防寒対策でいつもと同じ程度になってしまった
わずか2Hほどでテン場に着くだろうから、特にどうってことはないだろう
小日橋を渡るとさっそく透明度の高い清津川の流れが目に飛び込んでくる
青空がその様をさらに際立たせていることだろう
しばらく林道を進む、泥濘ゾーンも多々あり足を置く位置に気をつけながら
高齢の登山者と挨拶を交わす、78歳だそうな
ゆっくりゆっくりマイペースで歩まれている、いま自らの足で歩んでいる喜びが伝わってくるかのような表情が印象的だった
苔で覆われた石のゲートを通り登山道へ、いよいよ山へ入り込む
秋の気配を探りつつ、沢音が響きわたり光が降り注ぐ美しい森に心身が和んでいく
この地に再び訪れることができたこと、自分も素直に嬉しい
前方に歩荷されている小屋スタッフと思われる方と遭遇、挨拶して昨年訪れた時に世話になったあの2人(館長とおかみさん)と再会できることを楽しみにしていると告げると意外な言葉が返ってきた
館長さんが直前に病気で急死されたとのこと
とてもショックを受けたが、小屋は代々受け継がれてきた一族では継承できないものの、何とか後任が定まり今後の営業体制には目処が立っているとのことだった
今年はそんな事情もあってか10月いっぱいで営業終了らしい
若干気落ちしてしまったが、気持ちを切り替えて終盤の激下りゾーンへ
ザックの重みに負けないよう、ロープを支えに慎重に下る
最後の橋を渡ればテント場が現れる、連休前の平日ということもあってかこの日一番乗り!
最も平らで安定したスペースにテントを設営、2日間のベースキャンプがはじまる
まずは温泉へ
玉子の湯、薬師湯は昼間男湯となる、周りから丸見えだからね
昨年は初夏だったので虫が多く飛び交い湯温も熱めに感じたが、この時期は無問題
圧倒的な透明感を誇る清津川の流れを眺めながら野天風呂に浸かる幸福感、ここならではだ
玉子の湯は手前側がぬるめ、奥が熱めとなる
交互に入ることでちょうどいい温冷効果、居合わせた登山者らとの会話もおのずと弾んでしまう
薬師湯は囲いがあり視界は遮られる、泉質も異なり若干湯温は高めだ
▶清津川の清らかな水の流れと包み込まれるような深い森の雰囲気、この曲♪がお似合いだ
Haze · Hiromi · Anthony Jackson · Simon Phillips
https://youtu.be/VXwC9eLruoA?si=oHqts4yX7vk0YEwS
Body&Soul どちらも芯まで温まりテントへ戻って待望のビールタイムへ
そのまえにダメもとでテント泊でも翌朝おにぎりのオーダーができるのか尋ねてみたら案の定NGだった、自家製の梅干しがはいった地場産米おにぎりは来年のお楽しみへ持ち越しだ
ビールは最寄りの沢で冷し、持ち寄ったいかをつまみに風呂上がりのビールを味わう
この充足感は言葉にならないほど
午後は読書、湊かなえ作 「山女日記・残照の頂」を持参してきた
先日の山行でドラマ化された山女日記の撮影現場となった冷池山荘と鹿島槍ヶ岳を巡り、原作を無性に読み返したくなった
4つの小編構成で、冒頭の 後立山連峰 ではまさに先日歩んだ鹿島槍ヶ岳・北峰から南峰がクライマックスシーンとなる
手に取るように浮かぶ情景をイメージしながら、物語に没頭した
興味深い人間模様と人間の心理に惹きこまれ一気読み、時折涙もでてしまうほど
読み終えたらふっと緊張がほぐれて、暖かいシュラフに包まれ昼寝をしてしまった
目が覚めるともう19:00に達していた、もうあたりは陽が落ちて真っ暗、星空が綺麗だ
明日へ備えてしっかり夕食を摂る
メニューは特性ビーフカレー・ペンネ
レトルトカレーに持参したジャガイモサラダとコストコで手に入れたスモークビーフを投入
満足度の高い味に仕上がった
お酒はKAVARANハイボール、山で飲む炭酸はとにかく美味い
夜は冷え込んできた、防寒対策で持参した上下ダウンに身を包みNEMOのシュラフでぐっすり
温かいとよく眠れることを実感した
翌朝、4:00起床
テントから出ると満天の星空、この日の天気も期待できそうだ
朝食と身支度を済ませて、5:30ごろ山行開始
ルートは、昌次新道から苗場山へ登頂し、下山は赤倉山経由とした
昌次新道は昨年もピストンで歩んだことがありよく覚えていた、他のルートに比べると険しくて敬遠されがちかもしれないが自分にとっては好みのルート
六合目あたりの水場も豊富な水量、実に美味い
六合目半以降は紅葉の度合いも高まり、朝陽がバックライトとなり森を照らす光景は息を飲む美しさ
登山道は秋色になったり深緑になったり、歩いていて変化にワクワク
八合半目以降は視界が一気に開け、東側の下界は雲海が拡がっていることに気がつく
祓川の稜線や下山で巡る赤倉山あたりも眺めることができる
そして山肌は秋色に染まり、雲一つない青空がどこまでも続いている
残すはテーブルマウンテンへ乗り上げるための崖を攻略しなければならない
残雪期は暑い雪庇が残ることで有名だ
その前に難題なのが笹薮のトラバース、藪は刈られているものの茎が地面に密生していて滑りやすく足場はほぼ斜めになっている
滑って転げ落ちないように注意しながら辛抱強く攻略する
クリアすればいよいよほぼ垂直の崖を進むクサリ場となる
一部クサリがないと厳しいポイントがあるが、それ以外は頼らずとも三点支持で進められる
崖を越えればいよいよ楽園の入口へ
初夏とは違う表情が楽しみでならない思いを胸に楽園に飛び込んだ
山頂まで続く木道の軌跡が印象的、振り返れば雲海越しに周囲の山々が望める
そして至る所に点在する池塘、青空がリフレクションして異世界感を演出している
風はほとんどない穏やかで清らかな空気の流れ、まだ朝早いためか登山者の姿もほとんどなし
高山植物が豊富で華やかな初夏の風景とは違い、広大な湿原に拡がる草紅葉の光景は郷愁を誘う
来た道を振り返れば、木道がはるか先の雲海までつながっているかのような錯覚
秋の楽園もいいものだ、山頂を目指して歩みを進める
▶苗場山の秋、楽園なる朝の湿原
光と風を感じながらの歩み
この曲♪を重ね合わせると、サウダージを誘う
Goin' Ahead · Pat Metheny
https://youtu.be/vPcNpiCj1NM?si=MZNh2T1t6mhbJPW6
山頂に近づくにつれ登山者の姿も増えてきた、祓川ルートからの登山者が多そうだ
山票にて記念撮影、赤湯温泉から約3.5Hまずまずのペース
苗場山頂ヒュッテのテラスで大休止しようかと考えたが、まだ時期尚早と感じ先へ進むことに
下山は赤倉山経由のルートへ進む、こちらは未踏なので楽しみにしていたのだが...
小赤沢ルート分岐までは多くの登山者とスライド、細い木道でスライドするのは意外に難しい
正面に聳える鋭峰は鳥甲山のようだ、その背後には北アルプスがずらりと並んでいる
苗場山神社を過ぎしばらく進むと大きい池塘が現れる、その先に竜ノ峰というピークが地図上にはあるようだが全く存在に気がつかなかった
稜線上に最後となる池塘から望む赤倉山の光景がとても美しかったのでこの先にも期待を膨らませたが、この先は一転、樹林帯の悪路となり視界は最後まで遮られる展開となる
鬱蒼とした藪、泥濘、滑りやすい斜面、細いみち、傾斜したみち等、かなり苦戦した
おまけに剪定された木の枝が足元にすこし飛び出ていたことに気がつかず、足早に通過しようとしたとき見事に右足が引っ掛かり盛大にヘッドスライディングしてしまった
幸い地面は平らで落葉がフカフカだったのでほぼダメージはなかったが、一瞬宙に浮いた時は時が止まったかのようだった
気を取り直して黙々と進む、紅葉の樹々に癒されることが数回ほどあったのは救いだった
いったん鞍部へ降りてから赤倉山への登り返しは厳しかった
赤倉山の頂は地味としか言いようがないスポット、この先へ進めば佐武流山へつながるのだろうがメンタル的に厳しそうな予感がした
たしか、田中陽希のグレートトラバースでは笹薮が剪定され歩きやすい状態になっていたということだったが数年経過しているのでどうなってることだろう
あとは下るだけと思いきや、赤倉山直下の急斜面は途轍もなく滑りやすく幾度かスリップして肝を冷やした
それにしても赤湯温泉分岐までは急斜面が延々と続き、際どいトラバースの細いみちもあり疲弊した
断然、昌次新道ピストンの方が満足度が高いだろう
ようやく赤湯温泉分岐まで辿り着きホッとした、あとは馴染み深い川沿いを進めば小屋へ着く
途中、清津川のきれいな水をボトリングしてランチのラーメンに使うことに
すくって飲むこともできるほどの水質は感動レベル
テントへ戻り、まずは温泉でヒーリング
着替えてから行動着を橋のロープにかけて乾かす、谷間に差し込む陽当たりの角度が刻々と変化するので時間帯によっては移動しないとなかなか乾かない
待望のランチ、名水で仕込んだ特製ラーメン
ゆで卵、イワシの削り節、海苔のトッピングが特別感を演出してくれた
そして、ビールとともに
連休に入りテントも5張に増えた、もっと密になるかと想定していたがやはり穴場のようだ
午後は再び読書タイム、2編ほど堪能したら夕方になりまだ体験していなかった青湯へ
18:00からは男湯に切り替わる
青湯の泉質はいたく気に入った、湯温が程よくじんわり疲れた体を癒してくれる様が心地よかった
最初は独り占めだったが、続々と宿泊客が入ってきたので早めに退散
夕食は麻婆豆腐ライス、白米は研がずにそのまま炊いてみたが全く味わいに遜色なかった
山中での炊き立てご飯は無性に食欲を掻き立てられた、香りがよくてこれはハマる
名水で炊いたのも影響している気がした
麻婆豆腐には炒めタマネギを投入するつもりだったがうっかり失念、入れてたらさらに味わい深かっただろうに
1合のごはん、全部食べられるか不安だったが食べ始めたらあっさりたいらげてしまった
麻婆豆腐のほうが少し残ってしまうくらいのペース、やはりご飯は主役級
酒はNIKKAフロンティア・ハイボール、これがなかなか美味いんです
ハーブティーで一服してから再び読書、最後の編はとにかく泣ける
自分へのエール、弱みを見せたっていい、自分はいつもそうしてきた気がするなぁ
もうあとは寝るだけ、暖かい夜を過ごした
朝起きると、テントは結露でびっしょり、どうやって撤収しようか悩む
朝食は残りの炒めタマネギを使いオニオンスープをこしらえた
持参した食料もこれでほぼ使い切った
撤収にとりかかる、濡れたテントは雑巾でできるだけふき取るがとり切れはしない
濡れた状態のまま収納し、ザックの中ではなく上蓋に挟み込むようにして他の荷物に影響をきたさないようにしてみた
縦走の場合、次のテント場に設置して乾かせる時間に余裕があればいいが夕方に到着したとなれば濡れたままの使用にならざるを得ないだろう
みなさんどうやって対処されているのか興味深いところ
7:00すぎ、下山開始
連休2日目、数組の登山者とスライド、テント泊スタイルもみかけた
下山は1.5Hほどで完了
Pにてちょうど入山される家族パーティと遭遇し、山話に花が咲いた
猿ヶ京温泉いこいの湯、猛烈に暑い湯で汗を流す
親父の3回忌が近づいていることもあり、故郷の沼田・佐山へ立寄り先祖代々の墓参りを
親戚が栽培したお米を味わえる日が楽しみ
佐山はリンゴ栽培が盛んな地、仏壇に供えたら喜ぶだろうと思いリンゴ園に立寄った
親戚のお家へ立寄り昼ご飯をごちそうになり、お互い近況報告
自分とは25歳ほども離れたいとこたちの豊かな人生観、都会とは違う魅力に聞き入った
驚いたのは日本全国の都道府県めぐりや海外旅行9か国を達成したとのこと
なかなか真似ができないが、そういった体験が健康の秘訣なのかもしれない
庭で実っていた柿を自身でもいで、お土産にいただいた
前橋赤城・道の駅に立寄りEV充電と買い物、連休ということで大混雑していた
16:00すぎに発ったが、自宅に着いたのは20:40ごろ
抜け道を使いたかったが、名栗でのスピード違反の苦い経験が拭えず、メジャーなルートをチョイスしたこともあり連休で流れが悪く時間がかかってしまった
久々の群馬、そして苗場山と赤湯温泉の再訪が叶い充実したひとときを過ごすことができた
また来年も訪れたい、今度は宿に泊まりたいな