12:37
13.0 km
1911 m
雨池山・大唐松山
北岳・間ノ岳・農鳥岳 (山梨, 長野)
2026年05月10日(日) 日帰り
今回は、大腿骨骨折以来、初めての本格的なルートです。 無理はしない。危ないと思ったら引き返す。そんなことを確認しながら、5時、まだ冷たい空気の中を歩き始めます。 序盤は思わぬ落とし穴だった。 他の方が書いてくれた山行記録で勉強していたはずなのに東電施設の脇に設置された立派な手摺に誘われ、「こちらがルートだろう」と思い込み、手摺の末端から急斜面へ取り付き、ロープまで出して慎重に登ってしまいました。ところが尾根へ這い上がると、そのすぐ横にしっかりした踏み跡が…。 思わず二人で苦笑い。 気を取り直して進みます。 この山には明瞭な道は無く薄い踏み跡を探し、時折現れるピンクテープを確認しながら進みます。 シーズン序盤のせいか踏み跡は頼りなく、少し油断するとすぐにルートを外してしまいます。 立ち止まり、周囲を見渡し、また進む。その繰り返し。 風はほとんどなく、空は高く澄み、樹間からは白根三山が何度も姿を見せてくれました。 ちらりと覗く雪の稜線を見るたび、足取りが少しだけ軽くなりました。 雨池山で行動食を口に入れ、しばらく休憩。 人の気配はなく、聞こえるのは風に揺れる木々の音と、自分たちの呼吸だけ。こんな時間が、最近は以前よりずっと貴重に感じます。 最後の大唐松山への取り付きは、下から見上げると壁のようです。 転倒すればただでは済まない崖。 そり返るような急斜面に足を置き、木を掴みながら慎重に高度を上げます。 ようやく辿り着いた山頂は、樹林に囲まれて展望がありません。 せっかくなので、先程お会いした女性におすすめされた10分ほど先の展望岩まで足を延ばしました。 そこで視界が一気に開け、残念ながら北岳や間ノ岳は雲の中でしたが、間近に迫る南アルプスの山並みには十分な迫力。 静かな稜線を眺めながら、「ここまで来られたんだな」と、少し胸が熱くなりました。 下山もまた気が抜けません。 スイスイ歩ける場所はほとんどなく、急坂を一歩ずつ確かめながら下ります。 登りより下りのほうが神経を使いました。 疲れた足に気を配りながら、黙々と高度を下げます。 駐車場に戻った時、まず感じたのは達成感より安堵でした。 これで2500m超峰も残り6座。 ですがそのうち4座には一般登山道がありません。今回以上に難しい山が続きます。 若い頃のように勢いだけでは歩けない…。 怪我をすれば、好きな山そのものから遠ざかってしまいます。 だからこそ「どこまで行けるか」より、「どう帰って来るか」を大切にしたいと思います。 焦らず、無理をせず。 体力と相談しながら、これからも夫婦で静かな山を歩いていきたいです。
