天空の宮殿と我儘な姫
湯ノ丸山・角間山・鍋蓋山
(長野, 群馬)
2026年05月17日(日)
日帰り
5月も下旬を迎え、南日本から梅雨の予兆が始まった。
天候や仕事の都合で調整が難しいが、そろそろ暑熱順化と高所順応へ向けて高いお山に通いたいところである。
そんな中、イヴェルカーナより何処か遊びに行きたいと強請って来た。
ちょうどその頃、火竜夫婦もたまには一緒にお出かけがしたいと言っていたが、とある諸事情により、旦那だけラギアクルスとジンオウガに連れられて皇海山へ挑むことになった。
したがって、残された妻とイヴェルカーナで、女子2頭の山行となる。
そこで今回は、とあるお山に行くことになった。
それは、「湯ノ丸山」。
浅間山から連なる浅間連峰。
そのもっとも西側に位置するお山で、周辺の寄生火山を含めて烏帽子火山群と呼ばれる。
今回そんな湯ノ丸山へ、イヴェルカーナ、リオレイアと共に挑むこととなった。
降り着いたのは、鹿沢温泉観光駐車場。
早速登り始める……。
湯ノ丸山単体の攻略であれば、地蔵峠からそのまま躑躅平を直登すればいけるが、本日は烏帽子火山群を一通り回る為この鹿沢温泉から登ることになった。
地蔵峠へ向けて少しだけ道を歩くと、いきなり角間山登山口が出てきた。
樹林帯へ突入し、緩やかな坂をどんどん登って行く。
まず行くのは角間山だが、その途中には角間峠がある。
湯ノ丸山の北稜に位置する独標になっていて、非常に展望が良いことで知られる。
樹林帯をだらだら登って行くと、少しだけ木々がまばらになって来た。
レンゲツツジ群落分岐点を越えてからさらに歩いて行くと、程なくして角間峠に着いた。
大きな東屋が置いてあり、ここにて一旦水分補給とする。
角間山は往復大体30分強のため、藪の中に荷物を置いて空荷で往復する。
やや葛籠折れになった笹の坂を登っていき、木々が一気に開けてくると開放感抜群の稜線歩きとなった。
まるで、伊豆の達磨山を歩いているような気分だった。
そこから一旦森の中を歩き、短い鎖場とがれ場を登り切ると、本日最初のお山である角間山に着いた。
ここからは、目の前に四阿山や浅間山、これから挑む湯ノ丸山、本日の最後に挑む問題のお山、そして遠く日光連山や北アルプスなどを一望することができた。
角間山を後にして、笹に覆われた稜線を一気に駆け下りて行く。
途中の斜面からは、うっすらながら富士山を見ることができ、なかなかの展望だった。
葛籠折れの坂を駆け下りていき、程なくして角間峠まで戻ってきた。
角間峠から、いよいよ本日の目的地である湯ノ丸山へ挑む。
概ね稜線上を歩いて行くが、途中地味にきつい急登が混じっている為体力をそこそこ持っていかれる。
だらだらと樹林帯の急登を登って行くと、少しずつ木々がまばらになって来た。
振り返るとさっきまでいた角間山が覗かせていて、どこか異国情緒あふれる景色が広がっていた。
さらに笹の稜線を登って行くと、やや荒れたゴーロ地帯が出てきた。
もうここまでくると周りには何も隔てるものはなく、ほぼ吹き曝しの広い稜線を歩くことになる。
ゴーロ地帯を歩いて行くと、湯ノ丸山の北峰に着いた。
ここではあまり休まらない為、正式な山頂となる南峰へ移動する。
この前挑んだ飯縄山よろしく、笹に覆われた空中回廊になっていて、もはや美しい天空の宮殿と言ったところだろうか……。
緩やかながれ場を登り返していき、登り始めてから2時間ほど経った頃遂に湯ノ丸山の山頂にたどり着いた。
山頂は八ヶ岳の硫黄岳のように非常に広く、そこからは圧巻の絶景が広がっていた……。
目の前に浅間山や篭の塔山、背後を振り返ると四阿山から続く上信越国境。
遠くには日光連山、富士山、奥秩父、八ヶ岳が連なり、西を向けば北アルプスと頸城山塊が覗かせていた。
ここにて水分補給とおやつにして、少しだけ休む。
次に挑むのは、烏帽子岳である。
烏帽子岳はすぐ目の前に見えているが、どう見ても明らかに大きく下る。
この先には湯ノ丸山・烏帽子岳の鞍部と呼ばれるコルがあり、そこまで長い浮石の急坂を下りなければならない。
案の定ところどころ石が浮いていて、適当に足を置くと転びかねない。
去年の骨折事案もあり、浮石への警戒はより一層注意が必要である。
浮石の激下りを下りていくと、深い樹林帯の中に入った。
概ね木の根と土が主体だが、こちらもそこそこ激下りのため油断ならない。
樹林帯の激下りを下りて行くと、緩やかな笹の稜線に出た。
そこからしばらく駆け下りていくと、湯ノ丸山・烏帽子岳鞍部に着いた。
ここからそのまま臼窪湿原を経て地蔵峠へ下りられるが、今回は烏帽子岳も往復する為稜線上を進む。
緩やかな笹の稜線を経て登っていき、概ね葛籠折れに斜面を歩く。
途中からは浅間山を望むようになり、そこそこ迫力がある。
笹の斜面をだらだら登って行くと、ざれた稜線上に出た。
これより烏帽子岳へ向けて、ざれ場を登って行くことになる。
稜線上からは眼下に上田市街地を一望でき、その向こうには美ヶ原や筑摩山地などを見ることがてきた。
そこから岩屑のがれ場を登って行くと、小烏帽子岳に着いた。
ここから烏帽子岳へはさらに稜線を進み、僅かに登り返すと行くことができる。
笹に覆われた道を若干下りて、そこからがれ場を一気に登って行く。
そこから程なくして、烏帽子岳に着いた。
そこそこ広い山頂になっていて、休憩するには好立地である。
山頂からは、主にさっきまでいた丸っこい湯ノ丸山を目の前に望み、遠くには八ヶ岳や北アルプスを望むことができた。
烏帽子岳にて少しだけ休み、次へ進むことにした。
がれ場を一気に駆け下りていき、少し登り返して小烏帽子岳へ戻る。
上田市街地を望みながら砕石の坂を下りて、そこから湯ノ丸山・烏帽子岳鞍部へ向かって笹の斜面を駆け下りる。
湯ノ丸山を目の前に見ながら葛籠折れの坂を下りると、樹林帯に入った。
笹と土の道をしばらく下りていくと、程なくして湯ノ丸山・烏帽子岳鞍部に着いた。
ここから湯ノ丸山への道の横にある下の道へ進み、湯ノ丸山の側面を横断する連絡通路に入った。
この連絡通路は、湯ノ丸山が溶岩ドームそのものであることを物語るゴーロ地帯の道を伝って、地蔵峠へ直接繋ぐ。
湯ノ丸山の縦走路と違って一通りは少なく、かなり静かな道となっている。
ゴーロ地帯の道のため、普通の樹林帯のような感じで歩くと少し時間を取られる。
とは言っても湯ノ丸山へ直接登って行くよりもだいぶ楽なため、こちらを使う方が無難である。
樹林帯の中をだらだら下りて行くと、中分岐に着いた。
ここから階段を下りていき、湯ノ丸キャンプ場を抜けると地蔵峠へ下りることができる。
階段を駆け下りると、一旦水平移動となる。
深い森の中を歩く為、いっときながら森林浴が楽しめる。
森の中をだらだら歩いて行くと、目の前にこじんまりとした湿原が出てきた。
どうやら臼窪湿原と呼ばれるらしく、そのそばには湯の丸キャンプ場があった。
一周数分程度で回れるため、せっかくということで臼窪湿原を歩いてみることにした。
まだ盛夏ではない為、花や植物等は咲いていないが、湿原越しに見る湯ノ丸山は迫力があって見応え抜群である。
臼窪湿原を一回りして、湯の丸キャンプ場から緩やかな林道を駆け下りると、程なくして地蔵峠に着いた。
本来であれば、そのまま長野県道94号線を嬬恋村側に駆け下りると終わりであるが、本日はイヴェルカーナとリオレイアの要望でとあるお山の寄り道をすることにした。
それこそ問題のお山である“桟敷山”だった。
いわゆるジェネリック北八ヶ岳であり、巨大な溶岩ドームの塊が篭の塔山の目の前に2つ聳え立っている。
篭の塔山はもちろんのこと、湯ノ丸山から直接登る道は存在せず、地蔵峠から鹿沢温泉側に30分ほど下りたところに登山口が設けられている。
長野県道94号をしばらく下りていき、どんどん桟敷山の懐まで移動する。
長い林道歩きのため、足の裏があっという間に痛くなってきた。
だらだら林道を下りて行くと、桟敷山登山口が出てきた。
これより本日最後の戦いとなる。
桟敷山は、正確には桟敷山本峰と小桟敷山の双耳峰である。
景色は桟敷山山頂の北側のみで、ほぼ皆無と言っていい。
そのため、嬬恋村の名峰でありながら、日本百名山でないことも相まって登る人が少ない。
笹だらけの樹林帯を登っていき、とりあえず桟敷峠を目指す。
樹林帯の中を何度も登り下りする。
そこから一旦煎餅平に下りてから僅かに登り返すと、程なくして桟敷峠に着いた。
桟敷峠に鞄を置いて、取り敢えず小桟敷山を目指す。
葛籠折れの急登が続き、さっきまでの山行のせいでまともに脚が上がらなかった。
登るに連れて急になって来て、もつれた脚が悲鳴をあげてきた。
だらだらと葛籠折れの急登を登っていき、脚が攣りかけた頃なんとか小桟敷山に着いた。
闘技場の如く森の中にぽっかりと空いた空間になっていて、その中心にひっそりと標識がたっていた。
小桟敷山を後にして、葛籠折れの激下りに臨む。
概ね木の根と土が主体になっていて楽に下りられるが、調子混んで駆け下り続けると膝に負担がかかる。
この後の桟敷山を考え、膝が痛くならないようにゆっくり駆け下りる。
葛籠折れの激下りをなんとか下り切ると、桟敷峠に着いた。
ここにて鞄を回収して、いよいよ最後の桟敷山へ挑む。
桟敷山への登りは非常に急な登りになっていて、特に前半はまるで蓼科山のような劣悪なゴーロ地帯が続く。
緑色のロープで誘導されるが、どれだけ登っても上が見えて来ない。
ゴーロ地帯をなんとか登り切っても、今度は笹と土の急登に変わってより一層脚がもつれてくる。
振り返ると小桟敷山が木々越しに見えるが、少なくともその小桟敷山が目線上眼下に見えて来ないと山頂部には行けない。
長い急登に苦しめられていると、突如として笹だらけの広い草原が出て来た。
どうやら桟敷山の屋上に出たらしく、この中心に桟敷山登山口へ続く道が延びている。
屋上から稜線上へ向かい、最後の登りとなる。
樹林帯を少しだけ通過して、緩やかな笹の坂を登って行くと、ようやく桟敷山に着いた。
山頂は主に北側が開けていて、嬬恋村市街地や四阿山、草津白根山などを望むことができた。
ここにて水分補給とおやつを済ませ、いよいよ鹿沢温泉へ向けて一気に下りていく。
屋上分岐点まで戻って、そこから葛籠折れの直登ルートを駆け下りる。
桟敷峠からの道に比べて緩やかで、岩も少なめのため非常に歩きやすい。
だらだらと駆け下りていくと、程なくして桟敷山登山口まで下りてくることができた。
ここから長野県道94号に再合流して、鹿沢温泉へ向かって駆け下りる。
無数の走り屋が飛ばしていて、休日だけあって轟音を響かせていた。
緩やかな林道を下りていき、時刻は14時半を迎える少し前、なんとか鹿沢温泉観光駐車場まで下りてくることができた。
温泉とお食事を済ませ、足早に帰宅の路へつく……。
初夏の湯ノ丸山にて、天上の散歩を楽しんだリオレイアとイヴェルカーナであった。