無限の勇気を持ちて
高岩
(群馬)
2024年11月09日(土)
日帰り
※今回は、いつこさんとのコラボ企画となります。
今年もいよいよ木枯らしを経て晩秋となった。
もう高いお山の至る所で、寒さと共に雪の便りが寄せられてきた。
そんな中、ネルギガンテより遊びに行きたいと強請ってきた.....。
久しぶりの秋晴れ。
たまには、最近手をつけてなかった鎖場や岩場のあるお山でも行きたくなったこの頃。
そこで今回は、少し前岩稜帯の訓練で生まれて初めて死の恐怖を間近に感じたあのお山へ挑む事にした。
それは....「高岩」。
そんな高岩へ、黒龍ミラボレアス、ネルギガンテと共に挑む事となった。
登山口は恩賀高岩東登山口。
早速登り始める.....。
そもそも高岩は、上信越自動車道碓氷軽井沢インターの真上に天を貫くように聳え立つ岩の塔であり、麓の恩賀集落ではその奥深さと圧倒的な威圧感から「奥妙義の秘峰」の異名を持つ。
出だしは、緩やかな木の葉が敷き詰められた樹林帯の登りが続く。
この時点ではまだ高岩のあの切り立った岩稜帯の姿は見えず、何処となく静かな時間となる。
緩やかな樹林帯を登っていくと、倒木の広場が出てきた。
そんな倒木の広場からは、少しではあるがこれから挑む高岩の岩峰が覗かせていた。
まるで....人を寄せ付けないと言うか拒む様な形相は、登るにしたがって不安すら煽ってくるほどである。
倒木の広場を越えると、少しずつ傾斜がきつくなる。
御嶽大権現の巌祠を過ぎると、ざれた急登が出てきた。
これより先は、高岩の概ねふたつ聳え立つ岩峰の間を縫う様に登る。
登れば登るほどがれ場はきつくなり、やはり妙義山系らしい荒れ果てた急登となる。
こういう少しでもふらつくと岩雪崩を起こしかねないがれ場は、何度登ってもなかなかきつい。
きついがれ場に苦しめられていると、稜線と思わしき場所についた。
いわゆる高岩のコルと呼ばれる場所だった。
此処から西側に行くと雌岳、東側に行くと本日の目的である雄岳へ行ける。
少しだけ休んだのち、いよいよ雄岳へ進んだ。
岩峰の付け根へ進むと、葉っぱが敷き詰められた急登が再び始まった。
思う様に脚が進まないがそんな急登を進むと、下の廊下が出てきた。
半ばトラバース状の回廊であり、水の滴り落ちるところは抉れていて一旦谷側へ下りる必要がある。
谷側から回廊へ這い上がりそこからさらに進むと、本日最大の難所が出てきた。
その名も「岩溝内垂直3連30m鎖場」。
これこそこの高岩の見どころそのものであり、とてつもなく高いチムニー状の絶壁に一本の鎖がぶら下がっていた......。
つまり高岩の雄岳は、これを攀じ登らずして行くことは出来ない。
覚悟を決めて攀じ登る。
鎖場の支点は概ね3つに分かれていて、1段目が最も高い。
岩溝に無理やり体を捩じ込み、無数の突起物に手を掛けながら一気に攀じ登る。
相変わらずではあるが、尋常ではない高度感が身体を包み込んでくる。
恐怖と腕力で忽ち小刻みに震える腕と脚.....。
1段目目を越えると、すぐさま2段目が始まる。
下に比べてそこまで長くはなく、幾らか壁が寝ている為比較的安心して登ることができる。
しかし、最上段はそう容易く登らせてくれるほど甘くはなかった。
ほとんどの突起は人が入れない様な岩溝の内側にあり、更に傾斜は垂直を超えている。
つまり、小さな突起に手足を掛けて腕の力でどうにか登るしかない。
もう下からの高さは25m近くある.....絶望的な高度感で身体が固まりそうになる。
岩溝の中で踠き続け、なんとか最上段の鎖場を越えることができた。
鎖場より上は、木々に覆われているとはいえ非常に痩せた岩稜帯の上を進む。
当然急登であり、ざれた登りはなかなか脚に堪える。
そんな極細の岩稜帯を登り詰めて程なくして、遂に高岩の山頂へ辿り着いた。
山頂からは、圧巻の絶景が広かっていた....。
目の前には妙義山系の鋸歯状の稜線、すぐ北には浅間山の勇姿。
東に目を向ければ関東平野と共に榛名山や赤城山、日光連山、上越国境のお山。
南には御荷鉾山系や関東山地北部の峰々、そして西には八ヶ岳や南アルプス北部の高峰を望むことができた。
暫しの休憩ののち、早速下りへ臨む。
ざれた岩稜帯の激下りはなかなかに怖い.....目の前は断崖絶壁が続き、その真下には迫力のあるあの北野牧トンネル岩盤掘削工事が進んでいる。
岩稜の激下りから鎖場の下りへ突入する。
下を覗くと、ざっと9階建マンションに相当する凄まじい高さが伝わる。
反り返った岩溝の壁は尚更下が見えない。
腕に余計力が入る.....わずかな突起に爪先だけ乗せてゆっくり下降していく。
2段目は幾分か岩が寝ていて降りやすいものの、その下はかなりの高さで切り立っている。
少しでも気を抜くと命の保証はない。
慎重に次に足を置く岩を考えて、一歩ずつ下りていく。
岩溝に寄り掛かりながら休み休み下りていき、なんとか下の廊下まで戻ってきた。
とはいえまだまだ油断は出来ない。
高岩のコルより下は、あのがれ場の激下りが待ち構えている。
葉に隠れて見えない浮石やざれ場が、疲れた一同の足に容赦なく襲い掛かる。
適当に足を置けば岩雪崩になりかねない....此処でも当然緊張を強いられる。
妙義山系ならではの急峻ながれ場をとにかく下り続けると、暗ったい樹林帯へ突入した。
もう此処まで来ればなだらかな道となる。
御嶽大権現を通り過ぎて、倒木の広場へ行く。
登り始めとは違って、だいぶ日が昇ってきたこともあって少し日差しが暑い。
そこから深い樹林帯の道へ下りていき、時刻は昼を迎えようとした頃漸く恩賀高岩東登山口へ下りてくることができた。
帰り道、碓氷軽井沢インターに程近い側道から高岩を望む......さすが奥妙義の秘峰と呼ぶに相応しい圧倒的な存在感を醸し出していた。
お食事を済ませて帰宅の路へつく。
晩秋の紅葉舞う恩賀高岩にて、久しぶりの岩稜帯歩きを楽しんだミラボレアスとネルギガンテであった。