大台ケ原
大台ヶ原山・日出ヶ岳・大杉谷
(奈良, 三重)
2025.11.24(月)
日帰り
八経ヶ岳を下山しているときから、どうしようか考えていた。
明日登ろうと思っていた大台ケ原。だけど、明日の天気は今一つのようだ。
今日登ってしまえば、明日はのんびり寄り道しながら帰れるな。
この後ほかに行くところもなかったので、「登山口のとりあえず駐車場まで行ってみよう」と向かうことにした。
いくら気軽に楽しめるエリアとはいえ、午後から行くのは危険かなぁ、熊が出るともいうし、と不安要素は多い。
大台ケ原に向かうドライブウェイは名前のイメージを覆す、林道っぷり。
行者還トンネルへの道と大差ないのではないだろうか。
山の上に出ると、道は広く快適になる。
遠くの山々を眺めながらドライブできるのは楽しい。山頂駐車場にバイクがたくさんいたがツーリングに来たら最高だろうな。
登山口になる山頂駐車場は4割ほど。シーズン中は駐車場が大混雑するというのだが、紅葉もほぼ終わり見るものもなくなってるんだろうな。
山頂駐車場は200台止められるそうで、無料!24時間空いているので私のような深夜に付く人にはありがたい。
着いたら、さっき考えていたことが吹っ飛んで、出発の準備を整える。
考えるのが面倒になって、行ってしまえとなったようだ。
ビジターセンターでルートを確認し、
駐車場~シオカラ谷~大蛇嵓~正木が原~山頂~駐車場というコースにした。
シオカラ谷へは笹の生い茂る林をゆるりと高度を下げる。
台と名前にある通り、テーブルマウンテン状になっており、台の端まで来たらふちに沿っていく。
足元が切れ落ちていて、落ちたら大けがでは済まなそうだ。
シオカラ谷へは急な下り。この後登ることを考えるとげんなりする。
つり橋を渡った先に、不自然なロープが張られているが、ここから瀧見尾根に行ける・・・はず。
時間と体力と気力があればここから瀧見尾根~東の滝に行きたかった。
今回は大台ケ原ってどんなところか見に行くだけって決めたのでパス。
いつか行ける日があるのだろうか。
降りた分は登る。それも急登。汗がバンバン出てくるし、水も飲んでしまう。
荷物を軽くしようと、水を半分おいてきたことが悔やまれる。
シャクナゲの急坂を上ると台地の上に出るので、大蛇嵓入口までは平坦だ。
大蛇嵓は突き出た岩尾根にあるというが、右手に見えている鋭鋒はそれなのだろうか、
あんな所まで行けるのか?と不安になる。
大蛇嵓への道に入ると、たくさんの登山者がいた。人が苦手なのに人がいると安心する。なぞだ。
大蛇嵓に向かう際右手に大岩壁が現れる。荒船山の崖のようにすっぱり通していて雄々しい。
更に向こう側にも崖が帯状に続いている。そこに落ちる滝。
日本の滝百選の中の滝のようだ。先ほどのシオカラ谷から降りていくとこの滝の前に出るらしい。見ていると、やはり行けばよかったかと後悔した。
大蛇嵓は写真で見た通りの岩の露頭で突き出ているようで爽快。
そのまま跳べそうな雰囲気。今度息子つれていきたいな。
戻って牛石ケ原は広々とした笹原が広がっていて、空が広く気持ちがいい。
だけど、大台ケ原はもともと木々が生い茂る山だったそうだ。
伊勢湾台風で木々がダメージを受け、そこに笹が勢力を拡大してしまったのだとか。
そこに鹿ちゃんがやってきて、木々が減って笹が増えて・・・ということらしい。
三本杭の時もそうだが、登山してるだけの私には「笹原爽快で気持ちい―」と思ってるけど
山にかかわる人たちにとっては、山が荒れていくのに危機感をもっていることって多い。
もっといろんなことに気付ける人になりたいなと思う。
正木が原を過ぎると、山々の向こうに海が見えるようになってくる。
先ほどの八経ヶ岳よりも近い。地図を確認すれば大台ケ原が海に近いことに気付く。
山が深いのに海が近いってなかなかない景色なので、見入ってしまう。
先ほどの八経ヶ岳でも思ったが、長い山行の果に輝く海が広がっていたら、そこに神秘的なものを見るだろうな。
笹原に伸びていく木道の階段。遠目からあれはきつそうだと登るのを躊躇してしまう。
あれを上れば山頂のはず!とリズムよく上る。止まったらしばらく動けなくなるだろう。
午前中から酷使している足がここで悲鳴を上げる。
この丘も、木が立ち枯れしていて吹きさらしの笹原なので、風が強くて寒い。
日も少しづつ傾いてきて寒さを強く感じるようになってきた。
木道の終点まで登れば終わると気合を入れて、一気に登った。
山頂直前の直線が立ち枯れしている木が柱のようで、緑のじゅうたんの宮殿みたい。
まさしくラスボスとの闘い。
山頂に確か展望台があるはずだけど・・・と思いながら登りきると
向こう側にもう一つ丘が!その頂には展望台が!
大台ケ原だけ登りに来ているのなら、「おーあれが、山頂か!さぁ行こう」となるが
疲れがピークに達していたので、絶望しかない。登れるのか?
偽ピークには海を眺められるベンチがあって、時間があればのんびりコーヒーでも飲んでいたいところだ。
周囲が少し赤くなり始めていて、海とそこに広がっていく山々がとても綺麗
だが、のんびりしていられない!
木道頑張りすぎて汗かいてしまい、汗冷えがひどい。
八経ヶ岳でベテランさんに「上に上がったら風強いから汗冷えには気を付けて」を言われたのを思い出す。ここでのことを言っていたのではないか!?
景色もそこそこに鞍部へ。シロヤシロが群生しているので、時期にはよいのだろう。
今の私にはいい風よけになってくれたのだが。
正木峠から最後の登り。心を無にすればいつか着く!と一息入れたら一気に登る。
山頂につく頃には更に風が強まっているよう。早々に記念写真を撮り、展望台に上る。
360度の大パノラマで、四方八方に山が広がっている。そしてその先に海。
遠くは富士山やアルプスの山々も見えるのだとか。距離感がバグるな。
海が夕日の色に染められ始めて、温かさを感じる景色。
だが、展望台は風がバンバン当たって寒い!寒すぎる!
今日登った八経ヶ岳の大峰の山々はシルエットになり始めている。
駐車場まではすぐだが、人もほぼいなく、熊も出るとのことなので怖くなってきた。
今日はクマスプレー忘れてきてしまったんだぁ。スプレーがないことの不安感がすごい。
この風だと自分にかぶってしまいそうだし。
展望台の下が風を避けられるので、おにぎりを食べて、防寒対策をしっかりしなおす。
大杉谷への下山ルートを「いつか行くぞ」と目に焼き付けて、さぁ、暗くなる前に帰ろう。
山頂には私しかいなかったので、不安になった。大台ケ原では人がいないことにやたら不安になるのはなぜだろう。一人で山に登ることが多く、孤独な時間が多いはずなのに。
下山路では何人かとすれ違った。こんな遅くに怖くないのかな?おおよそ山に似つかわしくない繁華街な格好のカップルとか海外の方がいたけど。ご安全に。
下山路は平坦なトラバース道で、明日はどこ行こうかなとか、この後どこでお風呂入ろうかなとかのんびり考えながら駐車場に戻ってきた。
駐車場は登り始めの時のにぎやかさはなく、静かだった。
まずは汗冷えが激しいので着替えだ。着替えが終わったら・・・なんだか眠くなってきた。
昨日から一睡もしていないのだから、そのまま仮眠。
気付いたらあたりが暗くなってた。
日没は見れなかったが、西の空がオレンジに染まっていて、そこに紺色のギザギザ。
何度も車を止めて暮れゆく景色を魅入られてしまった。
好きに時間を使えるのが、旅のいい所だよな。
大宇陀の「大宇陀温泉あきののゆ」に入って、道の駅でドロップアウト。