11:49
10.4 km
1258 m
八ヶ岳 ししヶ岩 アルパインクライミング 敗退
八ヶ岳(赤岳・硫黄岳・天狗岳) (山梨, 長野)
2025.11.06(木) 日帰り
ひょっとこさんから「八ヶ岳のししヶ岩・第二尾根を登りませんか?」と誘いがありました。登山体系やネットで調べても記録はわずかに2件。グレードはⅢ+程度で、アイゼン登攀にはちょうど良さそう。面白そうだったので即答でOKしました。ただ、どちらの記録も地形図上の位置関係やアプローチの詳細がなく、取り付きまでのルート選定にはかなり悩みました。1件は青ナギから沢へ下降して第二尾根に取り付いた記録、もう1件は青ナギを下降・トラバースして第一尾根を登攀したもの。当日の移動中に相談し、「青ナギから谷底までは下りず、トラバースで第二尾根に取り付ければ、50mロープ1本で軽量化できる」と判断。地形図では谷沿いの等高線が詰まっていましたが、「なんとかなるだろう」と出発しました。天気は暖かい予報でしたが、青ナギ付近は数センチの積雪があり、気温も氷点下。ハードシェルを着込み、アイゼンとピッケルで進みました。青ナギからの下降は思ったより急で、懸垂下降が必要な斜度。ただし50mロープ1本では届かず、2本あれば谷底まで降りられたかもしれません。谷への下降を諦め、トラバースで第一尾根方面へルートを変更しました。途中、小さな沢を弱点をつないで越え、岩尾根の見える地点へ。さらに踏み跡を辿ると岩稜帯に出ました。「第一尾根か?」と思いましたが、残置ハーケンやリングボルトは見当たらず。尾根先は切れ落ちており、第二尾根へのトラバースも不可能。この時点で第二尾根への取り付きは断念。第一尾根はⅣ+A1の核心があり、アブミもない装備では厳しい。また残置がない時点で第一尾根ではない可能性もある。1ピッチ登り様子を見たけど残置もなく奥の地形が見えない。すでに11時を過ぎ、登攀には5〜6時間は必要。日没(17時頃)を考慮し、登攀は断念して敗退を決断しました。ただ、同ルートを戻るのは味気ないので、登れそうな尾根を詰めて無名峰を目指すことに。トラバース地点まで登り返すと、財産区の境界を示す札や印があり、それを辿るようにして登ると無名峰のピークに到着。 結果的に、岩尾根のアイゼン登攀は叶いませんでしたが、別ルートから目標地点に到達でき、満足のいく山行となりました。 今回、ネット上の記録はあっても地形図との位置関係が不明瞭で、核心は登攀そのものよりも取り付きまでのルートファインディングでした。もしハーフロープを2本持っていれば谷へ下降でき、第二尾根に取り付けたかもしれません。登攀はできなかったものの、ひょっとこさんと何度も作戦を練り直し、アルパインクライミングらしい充実した一日になりました。