雪と尾根と、ひとつの祝福【又剣山・丸塚山】
大台ヶ原山・日出ヶ岳・大杉谷
(奈良, 三重)
2025年12月07日(日)
日帰り
雪と尾根と、ひとつの祝福
08時58分、又剣山登山口。
エンジンを止めた瞬間、山の静けさが一気に押し寄せてきた。登山口までの道は落石と残雪が混じり、スタッドレスタイヤでなければ辿り着けなかっただろう。林道ザンギリ線は通行止め。自然の都合に逆らわず、今日は時計回りで山に入る。
一歩踏み出すと、足元の雪がきしむ。冬の名残と春の気配が入り混じる森は、どこか緊張感を孕みながらも美しい。09時31分、又剣山。最初のピークに立っただけで、身体と心が日常から切り離されていくのが分かる。
尾根をたどり、淡々と標高を重ねる。10時31分、丸塚山。視界は大きく開けないが、静かな達成感がある。派手さはないが、山はいつも誠実だ。歩いた分だけ、確実に応えてくれる。
木々の間を抜け、12時22分、展望台へ。
ここでようやく、山がその表情を解いた。重なり合う稜線、冬を越えた森の奥行き。言葉を失うという表現は、この瞬間のためにあるのだと思う。風に吹かれながら腰を下ろし、ただ景色を眺める。時間が、ゆっくりと溶けていく。
そして、その時だった。
仲間たちからの思いがけない声。48歳の誕生日を祝うサプライズ。山の中で迎える祝福は、驚くほど静かで、そして深く胸に染みた。年を重ねることは、失うことではない。こうして共に歩ける仲間がいることを、改めて教えられる瞬間だった。
13時33分、再び丸塚山。
同じ山、同じ道でも、行きと帰りでは見えるものが違う。心が満たされているせいか、森の色が少し柔らかく感じられる。
14時10分、又剣山。
朝とは違い、山頂はどこか親しげだ。別れを告げるように一息つき、下山へ。
14時35分、又剣山登山口に戻る。
無事に戻れた安堵と、もう少し歩いていたかったという名残。山行の終わりは、いつも少しだけ寂しい。
雪、尾根、展望、そして祝福。
この日の山は、単なる登山ではなく、人生の一頁として確かに刻まれた。
48歳の始まりを、この山で迎えられたことを、きっとこれからも思い出すだろう。