神室山
神室山・天狗森・火打岳
(秋田, 山形)
2024.06.29(土)
日帰り
みちのくの小アルプスと称される日本二百名山の神室山に行こうと思いたち、会社の後輩に声をかけて行ってきました。
秋田県湯沢市の役内口の登山口から、パノラマコースを使い登って南方面へ向かい稜線を堪能し山頂へ。帰りは西ノ又コースを使う形で周回し下山する計画です。
4時半に仙台を出発し、7時半頃に登山口に到着。予想に反して車は止まっておらず貸し切り状態でした。後輩に、虫除けのパワー森林香とヘルメットと小型の熊対策スプレーを貸して、もろもろ準備して出発です。
熊を警戒しながらパノラマコースを進みますが、初っ端から急登が続きなかなかのコースでした。階段のような段が切ってないので、アキレス腱が伸びまくる感じで、総距離と獲得標高の数字から想像してたよりもずいぶんハードな模様でした。山と高原地図のコメントの通りパノラマコースと言いつつ序盤は樹林で見晴らしはありませんでした。
心拍がどんどん上がるので途中クールダウンしながら進みますが、樹林帯が続くのでそこまで暑くなくてとても助かりました。第三ピークの1,095m地点くらいまでくるとようやく神室アルプスの一端が見えてきました。そこそこのアップダウンを繰り返しながら進みますが、稜線は日陰が少ないので直射日光がきつく汗が止まりません。
まだ本格的な夏の前とはいえほぼ無風で気温は25℃越えなので、水分は2.4L持っていきましたが、みるみる無くなっていきます。しかし節約すると足が攣るので、西ノ又コースの水場を使う事を想定ししっかり水分補給しました。
前神室山の手前からようやく神室アルプスの全容?が見えてきました。あのピークが神室山か…と思ったら一つ後ろに、小屋のある山が見えました。これが神室山避難小屋であるとピンときたので、神室山まではまだもう一つピークを越えていく必要があるとわかりがっくりしましたが、もう山頂は捉えたのであと少しと気合を入れました。
ただ、日差しで暑いのでまずは前神室山で小休止です。休んでいると見計らったかのように雲が流れてきて、ありがたいことに涼しくなりました。元気をチャージして再び出発。繰り返すアップダウンに太ももがきつくなってきましたが、稜線にちょくちょく咲いているニッコウキスゲが綺麗で、なんとか頑張れました。
山頂まであと少しというところで雲も薄れてきて、神々しい雰囲気で山々が姿をあらわし、ついに神室アルプスの全容が明らかになりました。雪国らしく雪庇の崩落や積雪によって削られたと思われる深い谷が東側に備わっており、非常にシャープな印象の山脈です。周りには街が見えず深い山々に囲まれており、南側にも長い稜線がすっと続いています。
神室連峰は非常に大きな山塊であり、その主峰はとても標高1,365mとは思えない風格で、たしかにこれはアルプスだと驚きました。ここまでの登りの苦労もあり感動もひとしおでした。
山頂で昼食を取り、避難小屋でトイレを済ませ下山開始です。下りは西ノ又コースを進みますが、草木が濃く道が分かりづらい箇所もあるので踏み跡を確認しながら進みます。振り返ると神室山の東面が目の前に広がります。とてもかっこいい山容で、思わず写真を何枚も撮りました。
木々のトンネルとなっている窓覗き坂を下りて行くと、草原地帯にでました。青々とした大草原付近にはクマのひるね坂という牧歌的?な平和なそうな名前もついており穏やかな時間が流れていました。
メルヘン?な名前のとおり熊に遭遇したら大変なので長居は無用。そそくさと降りていきます。やがて胸突八丁坂に入りますが、いままで歩いた登山道の中でもかなり急な部類の道でした。やはり段は切ってないので、踏ん張らないといけない点や、落ち葉で滑るところ、つづら折れがほとんどなく勾配がもろにくるため、下りではかなり歩きにくい道でした。
後輩にストックを一本貸して、ゆっくり慎重に降りていきます。高妻山や合戦尾根よりも歩きづらかったですが、お助けロープが3〜4箇所ほどあり、ありがたかったです。なんとか進み、滝の音が聞こえ始めた頃合いで水場に到着。冷たくて美味しい水を飲みリフレッシュしました。
その後沢に出るので、出てすぐのところで渡渉し、沢の石に黄色いペイントがあるのでそれに従って下流方面へ進むとピンクテープが見えてくるのですが、疲れていると見つけづらくわかりにくいので焦らず冷静に判断する必要があります。
水量豊富な三十三尋の滝を見物し沢沿いを高巻きする道を進みますが、道幅がせまく、谷側へかなり傾いている道なので神経を使います。落ちたらただでは済まないので慎重に慎重に進みます。支流の沢を4〜5ほどパスすると道幅が広がりほっとしました。ほどなく吊り橋が現れ右岸へ渡りますが、吊り橋がとても良く揺れるのでスリルがあります。渡り終えると荷重の制限で1人しか渡れないと書いてあり(下り方面には記載なし)、主塔が折れ曲がってきていたのが目に取れたので、積雪の多いこの地での維持管理の大変さが偲ばれました。
右岸側もそこそこ広い道でしたが、高巻きしたり降りたりを何度か繰り返します。沢が大きく左カーブしているところで高巻きして歩いていくと2つ目の吊り橋が出てきます。こちらの吊り橋も良く揺れる感じですが、渡り切ると未舗装の車道に出れので、そこを歩いていけばほどなく駐車場に到着です。
登山道に手が入りすぎて半ば観光地化している山もあるなかで、神室山はかつての修験者が歩いた険しい道が続くので、往時の修行の一端の雰囲気を味わえる楽しい山でした。東北の山は味わい深く、奥深くてやはり良いですね。
帰りは旧秋の宮村にある川原の湯っこを見物。河原から温泉が湧き出ていて入浴できるとのことでしたが、つかるには相当深く掘る必要があったので、足湯だけ楽しみ、鳴子温泉に寄ってから仙台へ帰りました。