小平家・井岸山・平家岳
平家岳
(福井, 岐阜)
2023.11.04(土)
日帰り
いつも良くして頂いてるフォロワーさんに報告が二件。
とても良い話しとあまり経験したくない話しと。
通常ならログは書かないパターンなのかな。
だが私事で非公開記録にするのも筋が違う気がするんだな。
それに俺が記録を上げないと遠慮して記録上げにくいやろうし。
せっかく繋がった縁やし大事にしたく記録を残します。
長くて読みにくいとは思いますが、少しは読んだ皆さんの役にたつはず。
まずは良い話から。
何時だったか忘れたが、しょうさんと平家岳がきっかけでメッセージのやり取りが始まる。
あれだ。平家岳は普通の車で行くにはちょっとの根性と諦めが必要で。
俺は平家岳は昨年ソロで登ってたので、時間合わせて一緒に登ろうかと約束してた。
俺の予定で潰されたり、雨で潰されたりで。
やっと行けたのが11月4日。
マダム様も久しぶりにがっつり登りたかったらしく私も行きたいと言い出す。
しょうさんに許可を貰い、三人で平家岳を目指す事になる。
道の駅九頭龍で待ち合わせ。
実はしょうさんてば、新垣結衣ばりの美女なんじゃ!と昭和の少女漫画な展開を期待してたのだが、道の駅に居たのはただのイケメンでがっかり😖⤵️
(笑)←一応
しょうさんは笑顔になるとイノッチに似てるよな~と思うのだが、俺は目が悪いのできっとお世辞だろう。
(笑)←一応
照れ隠しで失礼な掴みで書いてみたが、どの角度から見ても角が見当たらない柔和な為人。
山好きな好青年のイメージそのまんまやった。
俺の車に乗り換え平家岳を目指す。
平家岳は確かに秘境なんだけど、人を寄せ付けないのは登山口までの道で。
登り出すと難度は高くない歩きやすいお得なお山だと思う。
マダム様もしょうさんと気が合うらしく、騒がしくも楽しい山行になった。
俺は殆どソロの山行経験しかないので、あんな歩き方で良かったのか不安だったがね。
三人で平家岳山頂で撮った写真は宝物。
顔は隠さなくて良いと言ったので、黒歴史よろしく遠慮なくアップする。
と。
ここまでなら、楽しかったね、ありがとうね、またどっか行こうね。
で、終わる1日やった。
1120下山開始。
登りと違って、マダム様を先頭にしょうさん、俺の順に並ぶ。
マダム様はどうしても遅れがちになるので、視界にマダム様を入れて置きたかったのと、マダム様は下山が比較的早い。
でも、これが原因だったのか。
俺の判断ミスは間違い無い。
面谷登山口まで後45分位の地点。
時間にすると1330位か。
マダム様が転倒する。
マダム様も俺も、どんな山でも一度位はコケる。
足がズルッとすべってお尻でドスン!ってコケ方。
50メートル位後方から見てて、あ。またやってるわ~とその時は呑気やった。
でも、いつもと様子が違う。
真ん中のしょうさんの様子も普通に見えない。
慌ててマダム様まで走り寄った。
痛がる右足の靴を脱がせ、刺激しないよう触ってみるが、変形してる感じじゃない。
靴下脱がせてみるが、内出血してる様子も無い。
だけど痛みが収まる気配じゃないし、脂汗が出てるようにも見えた。
そうこうしてる間に、右足の外側がみるみる膨らみ出した。
こりゃあかん。様子みてる場合ちゃう。今決めろ。
しょうさんに救急隊を呼ぶ旨を伝え、申し訳ないがマダム様をお願いする。
ここはスマホの電波が無い。
上の分岐点で電波ありましたよとの情報をしょうさんに頂き、分岐点まで一キロ近くを駆け上がった。
分岐点手前でアンテナ2本。
果たして話せるか。
駄目なら3本の地点を探すまでやと119番通報をした。
繋がったのは福井県側に居るのに、岐阜救急。
「火事ですか?救急ですかー?」と、のんきそうなおっさんの声。
救急で平家岳に居ますと伝えると、「山岳ですか!」とおっさんが一気に緊張したのがわかった。
今いる座標を伝えろとの指示だが、そんなもん急にわかる訳ない。
ココヘリ持ってると伝えると、かなり安堵した様子だった。
ココヘリ番号を伝え、福井県に転送しますと電話を切る。
岐阜から大野市の救急に転送される。
俺は連絡がつくように、その地点から動くなとの指示やった。
マダム様から一キロ位離れてるか。
しょうさんかマダム様に連絡したいが、あそこには電波が無い。待つしかない。じれったい。
大野救急から着信。
岐阜に説明したことを、また最初から説明する。
電波は途切れ途切れで時間がかかる。
空から県の防災ヘリと、地上は面谷登山口から消防を出動させるとの連絡があり電話を切った。
登山道に座り込みひたすら待つ。
ここでしょうさんが、連絡がない俺を探しに登ってきた音が聞こえてきた。鈴の音がしょうさんの鈴や。
そりゃそうだ。
電波を探しに行ったきりで俺は帰って来ないんだから。
遠く鈴の音が聞こえる。
鈴は熊には役に立つ気はしないが、こう言う時に役に立つ。
大声で、しょうさんに状況を説明する。
しょうさんからの返事が山に響いた。
俺達以外に人は居ない。
ここは福井県最奥の秘境なんだよ。
着信。
ブルーアローからやった。
防災ヘリ発進しました、地点誘導してくれとの指示。
今度はかなりクリアな音声で聞こえた。
防災ヘリの電波はかなり強力らしい。
大野救急に説明した事を、最初から説明する。
患者の年齢、服装、性別、負傷や意識の様子。
俺の服装、特徴。人数と誰がどこに居るのかの説明。
空は開けてるか。立ち木の状況とか。
「旦那さん。後5分で平家岳です。ライト持ってますか?」と聞かれた。
ヘリの音がする方向にライトを照らせとの指示やった。
日帰りで使った事は無かったが、常時ヘッデンを積むようにしてたのを思い出す。
ヘッデンを探してる間に、ヘリの音が聞こえてきた。
ヘリの音がする方向って言うが、山に音が反響してどの方向かさっぱりわからん。
ウロウロと空を探す。
突然、頭の上にヘリが出現した。
下部に福井県と書いたヘリ。
なんで俺が居る場所がわかったのか不思議だ。
もの凄いプロペラの強風で立ってるのもやっとやったが、必死でライトを振り回す。
空でヘリのドアが開いて、bluearrowと書いた制服の隊員二人が一気に上空から降下してきた。
狭い尾根道で、立ち木もあるし俺も居るのに迷い無いらしい。すげえ。
20代位の若い兄ちゃん二人。
俺としょうさんは自力で下山する旨を伝え、マダム様が居る位置を伝えると、隊員さんは空に帰って行った。
ヘリは行ってしまったので、俺は自力で登山道を駆け降りたが、救助シーンには間に合わず。
マダム様はヘリに吊られて、空の彼方に消えていきました。
その後、しょうさんと面谷登山口に下山。
そこで待ってたレスキュー隊の尋問を受ける。
レスキュー隊と別れ、しょうさんを道の駅まで送り、挨拶もソコソコに搬送先の病院に向かった。
ここで、今回の平家岳の記録は終わり。
以下に、山での救急時に必ず役に立つだろう事を書いておきます。
良かったら頭の片隅にでも。
・登山中はスマホの電波が立つ位置を覚えておく。うろ覚えでええから。
電波が無いと救助も何も始められない。
どこにも電波が無い場合は負傷者を担いで降りるか、負傷者をそこに置いて連絡しに行くかしかない。
後者を選択するには、鋼のメンタルが要るやろうな。
・通報前に、負傷者の居る地点の座標をメモしておく。これはGoogleMAPで簡単に見れました。
通報時、救助中、救助後の尋問、色んな人に必ず聞かれます。
簡単な筆記用具積んでおくと良いと思います。
・岐阜消防も大野救急も防災ヘリも、しつこい位に山のどこに居るのか聞いてきます。
木に覆われた広い山域を探すので当然や。
見つけられなかったら無駄足やし、ヘリの燃料も持たない。
多分居る場所をちゃんと説明できないと、ヘリは発進してくれないんだろうなと思います。
・最後まで登山計画書の事は一切聞かれませんでした。
人数や性別、年齢、装備やココヘリ番号とか詳しく書いてあるのに。
あれは警察しか使わないのかな?消防ともリンクすれば良いのに。
スマホ通報だから必要無いのかな。
・ヘッデン、熊鈴、役に立ちました。
スマホで長い会話をするので、充電池は必須です。
・保険証は搬送された病院から持ってこい!と矢のような催促があります。
俺はまだ運転中やっちゅうねん!!
今回は保険証を携帯してたから良いけど、家まで取りに戻って病院に戻るとかちょっと想像出来ない。
マダム様は骨砕けながら、支払確約書みたいなものを病院で一筆書かされたみたいです。
コピーでもいけるのか謎ですが、携帯しておいた方が良いかと。
長々と書きましたが、こんなもんでしょうか。
しょうさんには、せっかくの楽しかった平家岳を台無しにしてしまって申し訳なく。
でも、しょうさんが居なかったらマダム様だけをそこに置いて、電波を探しに行くのは難しかったと思います。
迷惑をかけておいて恐縮ですが、感謝してます。
ありがとうございました。
これに懲りず、また何処かのお山にご一緒させて頂けたら嬉しい。
結局、マダム様は右足首の複雑骨折、全治2ヶ月との診断でした。
今回の件の反省もあり、マダム様が不在の間は子供達や家の事もあり、山の方は当面自粛するつもり。
また山に戻った時には、皆さんよろしくお願いいたします。
最後に。
誤解されると悪いので書きますが、平家岳は歩きやすい眺望も優れた良いお山です。
フォロワーの皆さんには、今回の事を反面教師にして頂いて、山を存分に楽しんで頂けたら幸いです。
と書いて、記録と報告を終わります。ではまた。