【周回】⚠️雨山・檜岳・伊勢沢ノ頭〜秦野峠林道
塔ノ岳・丹沢山・蛭ヶ岳
(神奈川, 山梨)
2025.05.04(日)
日帰り
【お断り】
ある方から立入禁止区域を歩くのは危険だし、ルールは守らないといけない。誰かが真似して怪我をしたら責任取れるのか?単なる自己満足だとのご批判を頂戴しました。
それはご尤もなご意見と思い、一旦非公開にしましたが、別の方からは大変理知的な、前者の方とはまた違うご意見も賜りました。
https://yamap.com/moments/1346740
私も初心者ながら、YAMAPを使い始めてこの2年数ヶ月の間、自分なりに体力作りや難易度の低い山歩きから徐々に難しい山にもチャレンジし、レベルを上げるよう努力もして参りました。そうした中で、慢心や経験不足が災いし、転倒骨折も一度経験しました。
ですので、今回のコースも危険はある程度承知でしたが、特に違法性はなく、山行前後の体調や天気の具合、他の方の日記やガイドブックの案内などを総合的に勘案した結果の行動でしたので、やはりそれをありのまま公開し、今後このようなルートを歩こうと思われる方の判断材料になるのなら、皆様のご安全に対する一つの貢献になるのではないかと思い直し、改めて公開するに至りました。
様々なご意見があるかとは思いますが、お互いの自由意志は最大限尊重したいと常々考えております。何卒お心におさめていただけましたら幸いです。
では、ご興味のある方は本編へお進み下さい。
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長い夢を見ているような山行だった。
というのも前半の約4時間、雨山の少し先の富士山を拝むまで静寂な深山に分け入る単独行だったからである。
厳密に言うと、ほぼ同時出発した登山者ではない風貌の男性が1人、歩き始めてすぐの沢でトレラン風で軽装の別の男性が1人、私を後ろから越して行った。
私が車を駐車してすぐ後に来た登山者ではない風貌で30〜40歳くらいの男性に、「おはようございます」と声を掛けたら、早足に私の横を通り過ぎる際に目も合わせず「気持ち悪いから話し掛けんな!」と乱暴な言葉を吐き捨てられた。
え…?
これから初めての山に登るというのに最悪だなとは思ったけれど、不思議と怒りの感情は湧き上がらなかった。精神的に病んでいるのだろう。だからこそ、こんな人のいない奥沢に癒しを求めてやって来たに違いない。彼の魂が救われますように。そう祈った。過去には自分もどこかで毒を吐いていたのだろう。罪穢を一つ取り除いてもらえたんだ。そう思うことにした。
前半では賽の河原のような岩沢で渡渉を何度か繰り返し、雨山峠まではまるで小さな沢登りだった。若葉が萌え、御影石が明るく太陽の光を反射する非日常的な景観が尚一層夢見心地にさせたのかもしれない。
登山道として整備された当初は違っただろうが、あちこちの木橋は傾き、流され、劣化して朽ちかけていた。新旧あるから全般的に標識はちゃんと設置してある方だとは思う。
植生を傷めないように、なるべく踏み跡を見つけて辿りたいのだが、所々不明瞭で「あとは自力で頑張ってください」的な箇所もいくつかあった。しかしそんな時には、さりげなくピンクテープが下がり、ケルンが置かれ、先に訪れた登山者の優しさを感じた。
片側が遥か下方の谷底へ切れ落ちた細いトラバースも多く、軽い気持ちでナイトハイクなどは絶対にして欲しくない道である。
一つの独特なピークだった雨山峠から雨山までは、四方を山に囲まれ、特に静寂な深山に抱かれた感覚だった。その痩せて険しい道の途中にシロヤシオの花を見つけた時には、尚のこと貴重なものを見れたという感動のさざなみが湧き起こった。
なかなか辿りつかない最初のピーク雨山。急登をよじ登ると広い尾根に出て足元に小さなフデリンドウ。思わず顔がほころぶ。スミレとリンドウが交互に励ましてくれる。
雨山。
なぜこの名前がついたのだろう?
あの沢の源流となっているのだから、確かに瑞々しい印象は受ける。しかし雨が降ったら荒々しい顔を見せるに違いない。今日は時間が経つにつれ晴れる予報を確認し、敢えて少し時間を遅らせて7時の出発にしたのだ。
雨山を少し過ぎた地点にドドーンと秀麗なる富士を拝める場所があった。「オーマイガー」!やだやだ、こんな瞬間になんで英語なんだ?それはさて置き感嘆の声が口から漏れた。前日のような快晴ではないし、眺望はあまり期待していなかったのに。雲も出て流れていたから、ほんの数分の絶妙なタイミングだったに違いない。やっぱり富士山は日本人の心だ。
そこから檜岳(ひのきだっか)に行く途中でようやく初めて前から来る人とすれ違った。女性だった。少し間を置きながら3名ほど男性。それにしても人が少ない。こんなに近いのに、隣りの鍋割山や塔ノ岳とはまったく様子が異なっていた。
雨山から先は下るばかりと思っていたがそうでもなく、尾根伝いに良い景色を楽しみながら緩いアップダウンもあり、気持ちが良い。
そして伊勢沢ノ頭(1,177m)今回の3つの山の中で一番標高が高い。眺望はないのだが、ふと見渡すといつの間にかトリカブトの群生にトリ囲まれていた!こんな大群生は初めて見た。一斉にあの青紫色の美しい花が咲いたら、さぞ圧巻なことだろう。是非見たいものだが、あの猛毒が揮発して…なんてことはないのだろうか?心配だ。
なんて…。本当は何の植物なんだろう?もしもハクサンイチゲやニリンソウだとしたなら、それはそれで素晴らしいことだろう。確かめに来てみたい。
前半の登りもなかなかだったが、そこからの下りも自然の野山という感じの急斜度の危なっかしい道だった。
けれども、秦野峠まで降りれば、あとは舗装された長い林道だった。入口で通行止めになっているから、車は一台も通らない。途中ガサっと音がして、モフモフな生き物が現れた。一瞬熊かとビビったが、じっとして目と目が合ったのですかさずスマホのシャッターを切る。真っ昼間だというのにのそのそと出て来た生き物。後で写真を見返して調べた。あれはニホンアナグマだったのではないかと思う。
舗装された道でも、車は来ないし軽快なテンポで歩ける。日の当たる明るい道には、真っ白なヒメウツギが輝き、薄紫色の山藤がまたまだ咲き誇っていた。
デインジャラスな大山三峰山で味をしめて選んでしまった今回のルートは、崩落箇所も多く立入禁止区域になった場所もあるから、決して大きな声で推奨できるものではない。あくまでも自己責任でとなってしまうが、初めて登る山は想定外なこともあり楽しいものであることは否めない。
前日の雨の後の爽やかな五月晴れ。新緑が瑞々しさを湛えた8時間弱の山行。健脚ならシダンゴ山まで足を延ばしたところだが、鈍足の私にはそこそこ歩き甲斐があって良い塩梅の充実した山行であった。
※立入禁止区間があります
※崩落・落石・踏み抜き注意
※雨風の荒天時は特に危険です
※途中電波が入らないところがあります
※立入禁止区間あるため、登山計画が思うように作成できませんでした。ごめんなさい。