活動データ
タイム
04:19
距離
7.9km
のぼり
659m
くだり
658m
活動詳細
すべて見るもう3月も終わりである。ここのところなかなか山に行けないので今日こそはと思っていたが、前日に身体を酷使したため早朝の起床ができず、それでもなんとか起きだして簡単な支度をし出掛ける。この日は3月としては過去最高の気温だったらしい。前日の天気予報でも暑くなるようなことを言ってたのでできれば1,000mを越える場所に行きたかったのだが、この時間からではどうにも出遅れ感が否めない。仕方がないのでとりあえず歩き慣れた場所に行こうと思い、電車で飯能駅を目指す。車内で接続を調べると名郷行バスは接続が悪く選択する気になれないので、丁度接続のある西武秩父行に乗り込む。車窓を眺めながらさてどこで降りるかと思案するのだが、時間が時間だけにせいぜい吾野だろうと考え、吾野に着いたところでままよと電車を降りる。高麗川の左右岸さえ決めかねて、とりあえず駅を出て直近の前坂への登山口に行き、そのまま登りだしてしまう始末である。 山道を歩きながらこう考えた。この道は何度も歩いているが、枝道を歩いたことが無い。一度、鷹ノ巣山からここに出てきたことがあるくらいである。他にも脇道らしい入口がいくつかあるが、今日はそちらへ入ってみようか。どうせなら、周辺の気になっていた未踏路を歩いてみようか。という経緯で今回は妙なルートになってしまったのであった。 まずは前坂手前の左側の谷が気になる。広く傾斜の緩い谷であるが、これは下には道がありそうだと思ってたので降りてみることにする。初めは踏み跡が無かったが、沢が出てくるとちゃんとした道がある。やはりである。しかし、すぐに下の林道平坂飛村線に出てしまう。地図でも距離はさほどないので出るだろうとは思っていたけれど、そのまま素直に出てしまうのはなんとも面白くないものの、出た場所は見覚えのある場所であったから意外性があってそれなりに嬉しくはあった。 右折して飯能アルプス縦走路の稜線を右に見上げながら林道を登る。途中作業林道のような道があり気になったもののそこはやり過ごし、縦走路の切通まで上がる。切通では休憩しているハイカーや作業服を着た林業関係者と思しき年配の男性などがいた。年配男性が話しかけてきたので少し話をする。林業関係者かと思ったらそうではなく、地元の方でここまで散歩に来ているのだとのこと。ちょっと驚いた。 縦走路へ上がるつもりは元々なかったのでそのまま切通を抜けて林道を降る。少し下るとまた尾根の切通を通過するが、ここで左に尾根を上がることにした。入口からしっかりとした踏み跡があるもののすぐに薮めいてくる。登ってすぐに尾根が岬になって終わっている様子なのだが、右手に支尾根に向かうピンテを確認したのでそちらへ降りる。薮めいているがピンテを頼りに鞍部まで降りると眼前に巨岩が現れた。これが次に目指していた境石で、下の林道から見上げたことはあるのだがここに来たのは初めてである。左右が崖になっているのでこの先へ進むには岩を直登するしかないのだが、幸いにも真新しいロープが下がっており、これに掴まって木の根をよじ登ると難なく登ることができた。岩の上はやや傾斜しているものの平らな広い場所で祠も祀られていた。岩の反対側の降りはなんということはないそのまま尾根道なので栃沢峠方面から来れば難なく来られるものの、私が登った側の岩の降りはちょっと大変かもしれないのでそちらからのルートはあまりお勧めしない。 境石からは尾根伝いにすぐ栃沢峠の祠の裏手に出る。峠でさてどちらへ行くか思案することになる。峠を右へ林道へ降りる道と直進し尾根を藤光山方面へは歩いたことがあるが、峠を左に降りて芝山方面へ行く道は歩いたことはない。しかし、芝山方面へ行ってもその先は興味が湧かない。結局思うところあって峠を右に降りてから平坂飛村林道を登り返すことにした。 峠から林道はすぐそこに見えるので、そのまま真っすぐ緩斜面を強引に降りて沢を渡ろうかとも思ったのだが、民家の近くだからうかつに道でないところを歩いて括り罠にでも掛かったらお粗末すぎるため素直に山道を降る。などと考えたすぐあとである。ヌタ場に罠を仕掛けてある場所があったので驚く。悪いことは出来ないものである。してないが。 林道に着地して林道を登り返すのだが、先ほど話をした年配男性からこの上で分岐する栃屋谷林道が今日で工事が終わるので間もなく開通するとの話だったので、確認してみるつもりになったのである。しかし、長久保坂登山口の表示に気付いたところで気が変わり、ついそちらへ曲がってしまった。長久保坂からテシロー経由で栃屋谷林道へ向かおうと考えたからである。この登山口は上から降りてくるとそうでもないが、下から登るときは民家の庭に入り込んでいくようで少々抵抗感があるのは否めない。沢沿いの道は下の方は所々濘っているのでマムシが出てきそうで嫌な感じだが、明るく陰鬱な感じはないので好感が持てる道である。尾根に上がると倒壊した祠がありそこからは緩やかな勾配の道となる。 長久保坂まで来ると鋭角に右へ曲がる形で尾根道に入る。そこそこの薮道だが、踏み跡が強いので迷うことはない。しかし、途中に分岐があるので下からは良いが上から降りてきたときには注意が必要であろう。テシロー手前の急坂は距離は短いが地面が脆弱なうえに落ち葉が多いので登るのがなかなか大変である。ずるずると滑るので木の枝や岩に掴まりながら登る。登ると平坦で広い場所となる。久しぶりに来たが更に展望が悪くなっている気がした。ここから北側の栃屋谷林道へまでの道は未踏だったので、ここを歩くつもりで登って来たわけであるが、歩き出すとすぐに林道に着いてしまった。尾根の切通の崖上に出てしまったので一瞬困惑するが、予想通り手前から斜めに降りられる踏み跡があったので難なく着地する。 林道に出てそのまま右折するつもりだったし、飯能アルプス縦走路は出来るだけ歩きたくなかったのだが、ここで思いついてしまったため左折することとした。この上の縦走路沿いの山中の墓に下から上がってくる道があったのでそれが気になっていたのを思い出したのである。墓には献花がされているのを見た記憶があり誰かがその道で上がってくるはずなので気になっていたわけだ。林道を歩いて降るとそれらしい入口があったので入ってみる。踏み跡があるし、入口付近の林道は広く車も停められるのでここだろうと検討をつけたわけだ。入口付近からすぐに登りとなり、尾根に上がる。尾根上は少し薮めいてはいるが踏み跡が強く道幅も狭くはない。しかし、そのまま歩いていくと縦走路を下に見下ろす崖上に出てしまった。考えてみれば墓は鞍部にあるので道は谷沿いに降りて行っているから尾根上を進むわけはないのである。なんとしたことかと思ったが、右の斜面から降りられるので特に問題はなかった。縦走路に降りてから今度は墓まで行って逆に辿ろうかと思ったのだが、なんだか面倒になってしまいそのまま縦走路を栃屋谷林道へ戻ることにする。歩きながら、次の道が頭に浮かんでいたからである。 鉱山が見渡せる例の祠がある場所で栃屋谷林道に出ると、切通しの東南側で踏み跡の有無を確認する。ここから尾根上を高岩山まで歩きたいのである。入口の立ち木に黄テープがあるが、踏み跡は急な斜面を平行しているように見える。しかし入るとすぐに尾根上に乗る方向に強い踏み跡があったので尾根に上がってそのまま進む。すぐに岩場が現れた。登りはたいしたことはなかったが、岩場を越えた降りは落ち葉のせいで滑りやすいので慎重に降りる。再び岩場が現れたが、今度は特に歩きにくいことはなかった。ここでは巨岩の上に大木が立っていて驚く。やはり例によって祠があったが、残念ながら倒壊していた。その先は見知った鞍部になり、すぐ先が高岩山である。ここも以前来た時よりは展望が悪くなっている感じがした。木間からさきほど登ったテシローなどが見えたくらいである。降りは鞍部から広い谷を降るが、地面が脆弱でそこそこ苦労する。 栃屋谷林道に出ると、まずは左折して崩落個所の確認に向かう。やはり先ほどの年配男性の話の通り崩落土砂の除去が進んでおり、自動車の通行に支障がな状況となっていた。ここで再び下って平坂飛村線からの分岐入口のゲートの様子を確認するつもりだったのだが、下山は吾野という気になっていたので一旦降って前坂に登り返すのもなんだか面倒になったためと、上の縦走路入口から前坂方面へ進むと前坂手前で左側の尾根に乗る形で道があったのを思い出したのとで、ゲートの確認は諦めて上の登り口から登ることにした。 目指した前坂手前の広い尾根道に入ると、道幅は広くて歩きやすいものの倒木などはあった。道の様子から元林道であることを明確に認識する。しかし、この先はハイキングコースからは左に大きく外れて谷に向かうようなので、さすがにこれを降りる気にはなれず、右手のコースに戻るべく尾根をそのまま直進して最後は足場の悪い斜面を降りてコースに着地する。着地した場所はさきほど降りた気になる谷の上であった。 コースをそのまま降りて吾野駅に向かうには丁度良い時間ではあるのだが、降りていくとまた気になる場所を思い出してしまう。鷹ノ巣山方面への分岐を過ぎてこれから九十九折りとなる手前に真っすぐ尾根道があるが、通せんぼの枝はあるものの踏み跡が強いので通るたびに気になっていたわけである。ここを通るときはもう下山気分だから今まではわざわざそちらへ向かう気にはなれなかったわけだが、今日はそれこそ未踏の道を通ることをしてきたわけだから行かない手はないのである。 ところが、入ってすぐのピークまでは強い踏み跡だったが、そこで直進は薮になっていたのでがっかりする。諦めかけると、左側に細い路地のような感じで踏み跡がある。入ってみるとその先が広くなっていたので嬉々として降ることにした。しばらく進むといきなり眼前にひっくり返った鉄道台車のようなものが現れて驚く。たぶん、昔稼働していた鉱山用の鉱石運搬車両なのだろうと観察していると、前方の茂みの奥で大きな動物がうごめく音がする。ハッとして持っていた熊鈴をガンガン鳴らすと、ガサガサを音を立てる。鹿だとは思うが、気配が完全になくなったことを確認してから先へ進む。斜面を降りだすと、落ち葉の路面に湿った土が所々顔を出すように真新しい鹿の足跡が認められたので、やはり鹿だったようだと安心するも、念のため熊鈴はそのまま鳴らしながら歩く。 鞍部に降りるとその先も尾根道が続くが、鞍部を通過している廃作業道のような道が谷をトラバースしておそらくはハイキングコースのあすこに出るはずだと踏んだので、そちらへ行くことにした。道は荒れていて倒木も多く歩きにくかったがすぐにハイキングコースの想定していた場所に出た。あとは降るだけであるが、そう思ったら疲れが一気に出てくるものである。下山したときには気温はまさにピークで、暑さでバテそうになっていたのであった。
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