活動データ
タイム
13:34
距離
13.5km
のぼり
1092m
くだり
1091m
活動詳細
すべて見る焼石岳尿前沢 東北時代行けずじまいだった東北の名渓へ。痺れる沢旅でした。 【尿前沢】 しとまえ、と読みます。本来はアイヌ語で「山の連なるところ」というらしく、岩手にしろ宮城にしろ県境に近い山間に同じ地名があるのに納得です。宮城の尿前は義経の子ども伝説もありますが、後付けなんでしょうね。 さてこの沢、沢屋には名の知れた岩手を代表する名渓です。百名谷には入ってないですが、二百名谷があったら入るのかな?沢の世界は奥深すぎて簡単には言えませんが、昔からよく登られているメジャーな沢です。 グレードは3級と評するものが大半でしょう。沢自体の距離は長くないのですが、嫌らしいトラバースやスリリングな直登に加え、幕営適地もさほどないため1日で抜け切りたい、ただ抜けるには少し時間がかかると言った総合的難しさでしょうか。 滝はもちろん、東北らしい大ナメから、プチゴルジュまで、短い区間にギュッと要素の詰まった沢で遡り応えのある沢でした。核心部を二分して、水の色が変わるのも興味深い点ですね。 水質の関係か、魚留の滝の関係か、魚影はありません。 【ルート概要】 駐車場は5時半には満車だったかな?ギリギリ停められました。 中沼登山口から金明水避難小屋方面へ20分少し歩くと入渓点。登山者的には渡渉地点ですが、とかく入渓は楽です(金明水への登山道は、普通の登山的にはグチャグチャすぎて歩きづらい道です)。 入渓点から本流分岐までは普通の沢道。本流分岐にちょっと面倒(足掛かりがかなり狭め)な7mくらいの滝があり、ちょい怖。一応お助けロープで行きました。 その後程なくして最初の核心部三折の滝。右岸を高巻きしますが、泥斜面で滑るので気を遣います。トラバースは落ちたら終わりなのでロープ、そして懸垂下降で沢に復帰。草や地面を掴みながらなので歩けることは歩けますが、掴むものも足元も不安定なので嫌らしかったです。並走していたパーティは左岸の岩壁を突破してましたが…見る側としてはなかなかおっかないルートでしたが、左岸ルートもありっぽいですね。たぶんかなり高度感あって怖いと思いますが。 続いての核心部は800m付近の40m大滝。こちらも右岸を高巻きし、トラバースでロープ。まず岩礫斜面に取り付きますが、思いの外落石するのでやはり自然そのものの油断できない道?であることを実感。踏み跡を辿ると支点に手頃な灌木があり、ロープを出してトラバース。こちらの方が茂みが多いので支点やホールドは多めですが、やっぱり足元は不安定。またトラバース後半は岩崖を横切るのでそこは高度感あります。ただ岩陰はスタンス多めなので前半の方が厄介かも。トラバース後、滝壺へ懸垂下降。着地点が見えず不安ですが、ちゃんとスペースありそのまま滝壺に着水ということはないので安心して下さい。 2つのトラバース、強いて言うなら前半の方が足元悪め、後半の方が高度感高めですが、難しさは同じくらいかな?万が一滑落したらたぶん助からないので、いずれにしても嫌らしい難所です。 その後二俣までは連瀑帯やナメ床など楽しい区間が続きます。核心部の連続で相当時間を喰い、地形図上も滝マークが続くので、ホントに日暮れるまでに脱渓できるのか不安になりますが、一気にペースを取り戻しました。 1箇所950m地点の滝が左岸を高巻きしますが、ロープはいらないので時間は喰いません。 1000mの二俣の滝が1番の核心部。滝の左手の壁を登っていきますが、ホールドは乏しく支点も取れず、自力ではとても突破不能でした。ビレイヤーだったからロープの力で登れたものの、リーダーの足はどーなってるんでしょう。スパイクでも履いてたのかと訝しく思うくらい、2級クライマーには難しい壁でした。 その後は段々源頭部の趣が強くなり、滝マークがあっても水量がさほどないので簡単に登れます。ただ1箇所、シャワークライムの直後の段差が大きく、胸丈くらいのオーバーハングになっているため力が入らず、お助けロープを出してもらいました。ここまでの登りで力を使い果たし、腕力が死んでいた影響もあったと思います。(平時ならたぶんすんなり突破できたはず。下山後、インターセクション症候群と診断されました…笑) 源頭部は周りからの枝が少し煩わしいですが、忠実に沢を辿るとそのまま登山道に出ます。 同行者が初焼石だったので山頂まで。夕暮れに紅葉が映える中、たなびく雲が素敵な風景でした。乾いた高気圧が来ていたため、男鹿半島まで見渡せる好展望。雨具を着ていたおかげか遡行中は思ったより寒くはなかったですが、さすがに日が暮れると濡れた体は冷えました。その後登山道をヘッ電下山。なかなかタフな1日でした。 【感想】 同行者が昔から行きたがっていた尿前沢。何度かリスケを繰り返し、三度目の正直でようやく結実。名渓と評されるだけあって美しく、要素の詰まった登り応えのある沢でした。3級の沢は2回目ですが、自分はついて行くだけで精一杯。今までで1番難しい沢でした。それだけに達成感はひとしお。3級の実績ができたのは嬉しい限りですね。 以前行った3級は和賀岳のマンダ沢で、その時は体力の限界で辛すぎて沢嫌いになりました笑 今回もタフでしたが、対照的に楽しめた自分がいましたし、マンダより難しかったのに辛くはなかったので、ちょっと成長を感じて嬉しい沢となりました。
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