YAMAP / ヤマップ
阿蘇・杵島岳の登山道整備と草原再生プロジェクト
熊本

阿蘇・杵島岳の登山道整備と草原再生プロジェクト

支援プロジェクトのオーナーのロゴ
阿蘇の山でみちなおし
支援総額
917,380
目標金額 660,000円
138%
支援者
21,325
残り
終了

支援はアプリでのみご利用いただけます。支援に関する質問はヘルプセンターをご確認ください。

  • 概要

このプロジェクトの概要

  • 荒廃が進む杵島岳の登山道整備を行います
  • 杵島岳周辺で薮(やぶ)となってしまった元草原の再生活動を行います
  • クレジットカード(一口:300円〜)または3,000 DOMOで本プロジェクトを支援できます
  • 阿蘇地域で活動する「あそBe隊」「公益財団法人阿蘇グリーンストック」「環境省レンジャー 」が、本プロジェクトを実施します

活動報告

ご支援のお礼と、今後の活動について

2023.4.12

「阿蘇の杵島岳の登山道整備と草原再生」第1回イベントの開催について

2023.6.12

阿蘇・杵島岳の登山道整備と草原再生を通して、阿蘇の雄大な自然を守り続けていくために

阿蘇五岳の一つ、中岳から望む火口。火口から噴煙をあげるダイナミックな景観は、人々を惹きつけて止みません。 (画像引用元:柴犬太郎さん)

世界最大級のカルデラ(南北約25km、東西約18km、周囲約128㎞)を誇る、火の国熊本県のシンボル、阿蘇山。

カルデラの中央付近には、日本百名山に数えられる高岳(標高1,592m)を含む阿蘇五岳(*)が連なり、登山道や山頂からは噴煙を上げる中岳火口や、春の新緑、秋の黄金に輝くススキ野原、雪と火山灰が織りなす独特のコントラスト、そして野焼き後の漆黒の大地と、季節毎にその色を変える阿蘇の雄大な自然を望むことができます。

* 阿蘇五岳(あそごがく)…高岳(たかだけ)、中岳(なかだけ)、烏帽子岳(えぼしだけ)、杵島岳(きじまだけ)、根子岳(ねこだけ)の総称。

高岳東峰から望む、阿蘇五岳・根子岳(ねこだけ)の景観。

阿蘇は、年間3,000mm以上の雨が降り注ぐ多雨地域であるとともに、冬季は厳しい寒さを迎えます。そのため、阿蘇五岳をはじめとする山々の登山道は、降雨や霜によって浸食されやすい環境下にあります。

今回取り組みを進める杵島岳も例外ではなく、年々激しさを増す豪雨に加え、登山者による踏圧、2016年度に発生した熊本地震の地割れ、冬季の凍結融解現象(*)や雨水によって登山道の浸食が進んでいます。

浸食が著しいエリアでは、登山者が浸食箇所を迂回するルートを歩くため、登山道の複線化が起き、新たにできたルートも浸食が起きてしまう悪循環が生じています。

* 凍結融解現象…冬季に発生する霜によって押し上げられた土壌が、液化して流出する現象のこと。
登山道が複線化し、それぞれの道で浸食が起きている杵島岳山頂付近の様子①
登山道が複線化し、それぞれの道で浸食が起きている杵島岳山頂付近の様子②

また、観光資源や水源涵養(すいげんかんよう)機能など、多くの役割を担う阿蘇の草原は、野焼きや牛馬の放牧、採草といった生業が行われることで、約1000年近く維持されてきました。

阿蘇で一斉に行われる野焼きは、草原を維持するための大切な作業のひとつです。写真手前には、ボランティアの方々が、火消し棒を用いて残り火を消す活動の様子が見て取れます。

野焼きは一見、植物などの生態系に対し大きなダメージを与える印象を受けますが、実のところ、火入れ時に一か所が燃え続ける時間は短く、地表〜地下部の温度はほとんど上昇しません。

また、草原に生育する多くの植物や種子は、野焼きが行われる2〜3月には、地中もしくは地表部で休眠しているため、火による影響を受けにくいことがわかっています。 そのため野焼き後には、希少な固有種を含む多様な草原性の植物によって、毎年美しい草原が蘇るのです。

金色に輝くススキがなびく、秋の阿蘇。草原に包まれる山容が魅力的な米塚(右手奥)も、麓から山頂に至るまで毎年野焼きが行われることで、その姿を保っています。

しかしながら近年、農業や畜産業の衰退、高齢化などにより、地域の生業のみで草原を維持することが難しくなってきています。現に、管理・維持できなくなった阿蘇の草原は、この100年間でその面積が約半分に減少しています。

現在残されている草原には、絶滅危惧種を含む多くの草原性植物、それらを糧に生きる昆虫などが生育・生息しています。

また、草原は猛禽類の狩場としても重要とされ、生物多様性の保全にとって欠かせない場所となっていますが、草原の減少に伴い、草原に生きる多くの動植物が、個体数減少・絶滅の危機を迎えています。

阿蘇地方のみに自生するハナシノブは、2,000個体程度まで数が減っているといわれています。

今回のプロジェクトでは、杵島岳の登山道修復と草原再生(*)を通して、阿蘇地域の環境保全に目を向けていただくとともに、阿蘇の雄大な自然を守り続けていく機運を高めていくことを目的としています。

みなさまの温かいご支援を、どうぞよろしくお願いいたします。

* 登山者の方々に参加いただきながら、登山道整備と草原再生を目的としたイベントを予定しています。詳細は、本プロジェクトをご支援いただいた方々にお伝えいたします。(2023年春頃に周知予定)

阿蘇・杵島岳の登山道整備と草原再生プロジェクトについて

プロジェクト実施予定地は、阿蘇五岳の1つである杵島岳の登山道と、その周辺にある、現在は薮となってしまった元草原です。

近自然工法にて登山道整備を進める、あそBe隊と環境省のスタッフ。

今回のプロジェクトでは、2020年度から地元のプロガイド集団・ あそBe隊や環境省が中心となって進めてきた、「近自然工法」による登山道整備(*)を加速させ、安心して登山できる環境を作りたいと考えています。

* 近自然工法…現地の石、土、ヤシ製土嚢などを用いて、ダメージを受けた登山道周辺の生態系を修復し、元の自然に戻していく登山道整備のこと。
登山道整備に必要な石材を、背負子で担ぐスタッフ。

また、杵島岳の登山道周辺で管理放棄され、薮となってしまった元草原の雑木等を地域住民の方々と協力しながら伐採し、野焼きを再開することで、草原を再生し草原景観や生物多様性を復元する取り組みにもチャレンジしていきたいと考えています。

薮となってしまった元草原エリアにて、地域住民や行政の関係者とともに草原に戻すための現地調査、検討を行っている様子。

支援金の使い道

【目標金額:66万円】

▼登山道整備に係る支援金の使途

  • ・整備資材の購入(ヤシ製土嚢、テンサー、ジョイナー、その他消耗品)…15万円
  • ・整備、調査、モニタリングに必要な道具の購入(GoPro、スリング、ザイル、カラビナ)…20万円
  • ・有識者謝金…10万円

▼草原再生に係る支援金の使途

  • ・雑木の除去に必要な道具の購入(刈払機、燃料、手鋸)…14万4千円

▼その他

  • ・YAMAP FUNDING運営費…6万円

※ 目標金額を超えるご支援をいただいた場合には、杵島岳以外の管理者不在の登山道補修に活用させていただくための登山道の補修道具(チェーンソー等)や、野焼き再開のために必要な道具(ジェットシューター等)を購入させていただきたいと思います。

阿蘇地域の登山道整備や草原の維持再生を担う、3つの団体について

阿蘇地域で登山道整備や草原の維持再生の活動を行う3つの団体「あそBe隊」「公益財団法人阿蘇グリーンストック」「環境省レンジャー」について、紹介させていただきます。

あそBe隊

杵島岳の登山道整備イベントを実施した際の様子。写真奥にあそBe隊スタッフ(緑のヘルメット)、手前に参加者の方々(オレンジのヘルメット)。

あそBe隊は、阿蘇を活動拠点とし、観光客や学校教育、企業研修者を対象にアドベンチャーアクティビティを提供するガイドチームとして、2015年に結成しました。

観光スポットを引率するだけでなく、トレッキングなどのアクティビティを通して、身体全体で阿蘇の雄大な自然や火山・草原文化を感じることのできるコンテンツを提供しています。

2020年度から、環境省と連携して近自然工法による登山道整備を開始。チームビルディングの要素を取り入れた研修目的の登山道整備や、整備イベントの開催など、ガイドチームとしての経験を活かし、活動の幅を広げています。

また、近自然工法導入のきっかけとなった、北海道大雪山を拠点に活動する(一社)大雪山・山守隊の岡崎哲三氏の元に研修に出向くなどしながら、現場での研鑽を積んでいます。

≫ あそBe隊:公式サイト

公益財団法人阿蘇グリーンストック

草原の手入れ活動を行う、公益財団法人阿蘇グリーンストックのスタッフ集合写真。

公益財団法人阿蘇グリーンストックは1995年に設立、2025年には設立30周年を迎える公益財団法人です。

阿蘇くじゅう国立公園の美しい景観を守る取り組みが評価され、2003年には環境省より「国立公園管理団体」として全国で初めて指定を受け、地域の自然保護活動を続けています。

現在、阿蘇の草原をはじめ全国各地の草原は、生活様式や産業構造の変化にともない、次第に管理放棄され、年々草原は小さくなってきています。草原を維持するためにはこれまでにない価値観や視点、アイデアを取り入れながら新たな人と自然とのかかわり方を模索していく必要があります。

私たち阿蘇グリーンストックは、阿蘇の草原を守るこれまでの仕組みを大切にしつつも、新たな草原の価値を見出し、将来にわたって阿蘇の草原を見ることのできる未来を創るために、野焼きボランティアの支援活動や子どもたちへの草原学習など各種業務を実施しています。

≫ 公益財団法人阿蘇グリーンストック:公式サイト

子どもたちが、あか牛に餌を与える体験学習の様子。
野焼きは危険も伴うため、阿蘇グリーンストックではボランティア向けの講習会を実施しています。

環境省阿蘇くじゅう国立公園管理事務所・環境省レンジャー

環境省職員と、あそBe隊にて活動を行った際の集合写真。

環境省レンジャー(自然保護官)は、多岐にわたる環境省業務(地球温暖化防止、東日本大震災からの環境再生・復興、廃棄物対策)の中でも、国立公園や野生生物の保全管理を重点的に担当することを責務として、活動を行っている環境省職員です。

阿蘇地域は、阿蘇くじゅう国立公園に指定されており、レンジャーが現地に常駐しています。本国立公園では、草原の保全、景観の保全、資源を活用した利用促進など、様々な取組を行っています。

登山道整備イベントの企画・運営などを通じて、あそBe隊を中心とした地域の方々と、一緒になって登山道修復作業にも取り組んでいます。

≫ 環境省レンジャー(自然保護官):公式サイト

最後に

阿蘇カルデラ内の田園地帯が広がる平野部(写真左)と、その奥に阿蘇五岳を望む、外輪山からの風景。

阿蘇の自然は、古くより多くの人々が関わることで守られてきました。

毎年春になると行われる野焼きや牛馬の放牧による草原の維持管理は、約1000年以上前(*)から続く歴史ある地域文化であり、雄大な草原風景は人と自然との合作によってできたものです。

*「延喜式(えんぎしき)」という平安時代中期の書物に、阿蘇に草原があったことが書かれているほか、1万5千年程前から阿蘇には草原があったことが、様々な研究より明らかにされています。
「名水百選」にも選ばれている、阿蘇の地下水が湧き出す白川水源。 (画像引用元:柴犬太郎さん)

また、阿蘇は豊かな水を育む土地としても知られており、近年では草原がもつ水源涵養力の高さも注目されています。 6つの一級河川(筑後川、大野川、白川、緑川、菊池川、五ヶ瀬川)の源流がある阿蘇は、「九州の水がめ」とも言われ、これらの流域に暮らす人々の大切な水資源となる役割も果たしています。

水源涵養、生物多様性、バイオマス資源や環境学習の場など、多くの役割を担う雄大で豊かな阿蘇の自然環境を守り、次世代へと引き継いでいければと思っております。

プロジェクトへのご支援、ご協力をどうぞよろしくお願いいたします。

支援の流れ

  • プロジェクトを支援する(DOMO支援は1回限り)

    クレジットカードによる現金支援(複数回支援可)、または3,000 DOMO(1回限り)にて、阿蘇・杵島岳の登山道整備と草原再生プロジェクトを支援することができます。

    支援金は、登山道整備に必要な消耗品や備品・有識者への謝礼、草原再生に必要な備品などの購入費用に充てられます。

  • プロジェクトの活動開始

    2023年春頃、阿蘇・杵島岳の登山道整備と草原再生プロジェクトがスタートします。

  • 活動報告のお知らせ

    プロジェクトの進捗報告を、公式アカウントとYAMAPのダイレクトメッセージにてお知らせいたします。