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山岳医療を広めたい
2024.03.09(土)
【伯耆大山 遭難事例報告①】 鳥取県の大山山域山岳医療部会隊長の長谷川賢也さんが遭難事故案件に対応しました。長谷川さん、および管轄の琴浦大山警察署に本文と画像、動画の内容を確認いただき、掲載の許可を得ましたので、ここにシェアいたします。 ニュース記事:
https://www.sanin-chuo.co.jp/articles/-/527821
発生日は2月10日(土)14時半頃、遭難された方(要救助者)は大山の夏山登山道九合目付近から約200m滑落、大声で助けを呼ぶものの、誰にも発見されず1晩を過ごしました。 翌2月11日(日)朝、別の登山者に発見されて救助要請、長谷川さんを始めとした県警救助隊が14時頃に要救助者と接触。 低体温、意識朦朧、両手指重度凍傷もあり、起立不可能。一刻を争う事態だったのでヘリ救助を試みたものの、悪天のために叶わず。 すでに一晩経過しており、2月12日(月)朝も天候回復する見込みがないことから、2月11日中に山頂小屋まで収容する以外に救命する手段はないと判断。 夜間、風速20m近い暴風雪の中、再度接触を試み、意識があることを確認。頂上の避難小屋まで約200mの急斜面という過酷な環境下、救助用のボートに乗せた要救助者を人力で引き上げて収容。低体温ラッピングを施した(トップ画像参照)後、低体温症の4つの基本(※)を施して、両手指凍傷Ⅲ度と考えられたので、急速解凍(※)を施行。山頂避難小屋でもう1晩過ごしたあと、翌日も悪天でヘリコプターが飛ばなかったため、救助隊のみなさんが人力で下までおろし、15時半ごろに要救助者は救助、救命センターへ搬送されました。命に別状はありませんでした。 (※)詳細は次の投稿(②)で説明します 救助シーン(動画):
https://www.youtube.com/embed/mFdDpcynGW8
長谷川さんのコメント: たまたま当日は遭難防止協会のパトロール担当だったので、現地にいました。スタート直後に救助要請あり、やはり初期は情報の錯綜が多く、確認しながら9合目まで上がり、要救の位置は確認できましたが、そこではじめて、昨晩から発生している事案と判明。すでに暴風雪、ホワイトアウトになっていましたが、なんとか要救と接触でき、その時点では意識ありも朦朧、自力でお湯は飲める状況でしたが、自力歩行不可能。頭部、四肢外傷なし。ヘリは不可能、応援の部隊も、ボートと各種用品を用意して上がってくるのに数時間を要する状況。県警の隊員と自分の安全が危惧されたので、場所をツェルト、プローブでマーキングしていったん頂上避難小屋へ。応援部隊と合流したのが18時で、協議の結果夜間の引き上げになりました。21時ころ再接触時、意識あり、人力で引き上げました。23時小屋へ収容してからは、体温34.5度で、さらに加温とラッピング。30分後には36.5度になり、意識清明。下山は翌日になることから、その場で、急速解凍を行いました。 救命できたのは、滑落した斜面側は風が遮られて、土曜夜は降雪もなく、初日の夜を生きながらえたこと(ご本人の生命力、精神力がすごい)、発見できた時、ぎりぎりで位置が確認できたこと、夜間の引き上げに、第一発見者のクライマーの協力があったこと、遭対協、県警がチームになり、2時間で上げたこと。雪崩が起きなかったこと。収容後翌日まで交替でお湯を沸かし、体温維持に全力をあげたこと、でしょうか。 反省点は、自分たちも危なかった、夜間に行くべきだったのか?ということです。 ②に続く
https://yamap.com/promotions/26771
山岳医療救助機構 低体温症 2017 by 大城和恵
https://sangakui.jp/medical-info/cata01/medical-info-317.html
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