箱館山
箱館山
(滋賀)
2025年09月21日(日)
日帰り
「秋来ぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞおどろかれぬる」
今日の山歩き中、樹間を渡る風の音や、その風が伝える葉擦れの音に、そしてその風の確かな涼しさに、紛う方なき秋の気配(Herbststimmung)を感じました。その際、しばしば念頭に浮かんだのが、周知のこの和歌(藤原敏行、古今和歌集)です。紅葉にはまだ早かったものの、蒸し暑さを覚悟していた己には、秋風の音とその風の確かな涼しさが意外にさえ思われたからです。
さて、岐阜の遠見山歩きから1週間となる9月21日に、どの山を歩くかで、あれこれ模索しました。
気温が下がりつつあるので低山でも歩けそうと考え、歩くなら初めての山にしたい、ということで、鈴鹿山脈(野登山、三国岳、天狗堂)、比良山系(三重嶽、武奈ヶ嶽)、伊吹山系(虎子山、七七頭ヶ岳)、福井県(西方ヶ岳)の山々を調べました。しかし、それぞれの理由でいわば帯に短し襷に長しで、なかなか定まりません。結局、相対的にアクセスしやすく、標高のそれほど高くない(比良山系の)箱館山を歩くことにしました。
拙宅からは76km、木之本ICまで高速を使って1時間40分ほどです。9時半頃出発し、11時前に箱館山スキー場駐車場に到着。駐車料金1000円です。
ところが、登山口がよくわかりませんでした。最初、舗装駐車場の上側に駐車しましたが、yamapで登山計画を調べると、そこは登山口からかなり隔たっていました。そこで、舗装駐車場北端に駐車し直してyamapを再度起動させ、歩いてその先に進むと、GPSのルートに接近するものの、そこには赤い字の「注意」の立て看板があり、それには、こう記されていました:
「注意 ハイカー、登山者の方へ 山頂の「びわこ箱館山」へは、ここからは入園できません。園の周囲には電気柵が設置してあり、大変危険です。電気柵からの立入りは絶対禁止です。発見次第、警察に通報する場合がございます。」
念のため、看板の先の藪を少し分け入ってみると、先は少し開けているようでしたが、注意書からして、ここからは進めないと思うほかありませんでした。
登山計画のルートが近くにあるので、駐車場の縁辺に沿って、登山ルートにアクセスできるところがないかと探しましたが、縁辺沿いは先が崖の沢になっていて、降りる場所はありませんでした。それゆえ、少し下った先からなら、沢を渡る場所があるのではと考え、舗装駐車場より一段下の非舗装駐車場に、駐車係員の許可を得て下りました。すると、その北東先の雑木に付けられたピンクリボンを発見しました。覗いてみると、そこから沢に下ることができそうでした。おそらくここからなら、登山計画の登山ルートに合流できるだろうと考え、歩く支度をしました。
1) 歩きはじめは11:08でした。まずは、ピンクリボンの場所から沢に下り、対岸を上ると、はっきりとではないですが、林の中ではなんとか歩ける場所が続いていました。そこで、GPSの青丸印を見ながら、林の中を登山ルートに近づくように進んで行くと、登山ルートとなっていた林道崩れの登山道に漸く合流しました。
そこから山頂と伊井城跡との分岐までは、やはり林道崩れの登山道が続きました。その登山道の特徴は、一つには、つづら折れの多い急登続きだったこと、二つには、倒木が道を塞く箇所が少なくなかったこと、第三には、花を殆ど見かけず、その代わりにあれこれのキノコが見られたこと。イワカガミの群生が随所にあったので、春は花が咲き乱れる場所だろうとは推測されました。第四には、道の狭い箇所や雑木がせり出している場所には、たいてい蜘蛛の巣が張られていて、トレッキングポールでこれを払いながら進む必要があり、それでも払いきれずに顔で受け止めることがしばしばだったこと、です。
分岐から山頂までの道は、準急登や平坦路に代わり、歩きやすくなりました。道の途中はロープウエイの下を通っていました。山頂手前からはキャタピラーのブルドーザーで整備されたらしい林道が現れたのですが、その登りの途中から、左への藪漕ぎの山道に変わりました。ただ、藪漕ぎは、林道から山道への入り口付近と山頂付近だけでしたが。
山頂までは、順路があることにあとで気付いたのですが、その1~2m手前から山腹のトラバースをしてしまい、上に上がっても道らしい道がなく、藪漕ぎしてしまっています。いつもながらの、早とちりの己のミスの結果です。
ここで冒頭の短歌に関する、歩きの感想です。
登りはじめの気温は27.5度で、この日も期待に反して低山特有の蒸し暑さに悩まされるかと懸念したのですが、幸いこれはほぼ杞憂に終わりました。最初は予想通り蒸し暑さを感じましたが、いくらか登った時点から結構な風があって、しかもその風は明らかに涼しく、心地よいでした。涼しい風の吹く中での歩きは山頂まで続いています。だからこそ、行程中、しばしば「風の音にぞおどろかれぬる」の心境だったことは、冒頭で述べたとおりです。
2) 山頂は眺望なしで、座る場所もありませんでした。それゆえ、立ったまま塩ジェルとアミノバイタルを飲み、プロテインを食べただけで、下山しました。山道から林道に戻ると、そこから更にその林道を登れば、ゴンドラ山頂駅、すなわち標高680mのスキー場施設に到達するはずで、そこからは琵琶湖の眺望も得られるようでしたが、施設内には入れないことが予めわかっていましたので、敢えてそちらまで登ることはしませんでした。
林道からの下山の途中の、分岐の手前に、樹間から琵琶湖が少し見える場所がありました。
分岐からは、伊井城跡への道に進みました。途中に道を阻む倒木の塊があり、迂回を余儀なくされましたが、概ねは緩やかな登りについで、緩やかな下りの道でした。ただ、この道は、蜘蛛の巣の頻度が更に高く、払いのけるのに大忙しでした。
城跡には説明板がありました、これによると、5つの郭のほかいろいろ遺構があるようでしたが、それらの探索まではやりませんでした。
分岐に戻り、林道の中間付近が浸食で崩れた急坂の道を下る際は、足の親指爪が圧迫されぬよう、できる限り、左右どちらの足も斜め前に置いての下山を心がけました。その甲斐あって、親指爪への圧迫はほとんどありませんでした。
往路で沢を渡ったあと途中から登山ルートに合流していた、その合流点からは、当然、登山ルートをまっすぐ下りました。すると程なく登山口(出口)付近に到達しています。そこから、藪漕ぎして駐車場に進んだのですが、藪を出たそこは、予想していた通り、赤の注意書のある場所でした。
そこで、その注意書を再度注意して読み返してみると、注意書にあった山頂の「びわこ箱館山」との記述が誤解を招きやすい(irreführend)表現だったことがわかりました。このリゾートに詳しくない私は、最初に見た登山口で、山頂の「びわこ箱館山」とは箱館山山頂のことだと誤認してしまったのです。山頂の「びわこ箱館山」は箱館山山頂を意味したのではなく、その上のローウエイ山頂駅のスキー場を意味するものだったこと、それゆえ、注意書の看板付近こそがまさに箱館山山頂への登山口だったことを、登山道からそこに出た時、初めて知ることになりました。
ところで、舗装駐車場は来た時も帰りも、来客の車で7~8割方埋まっていて、「びわこ箱館山」は大賑わいだったようです。皆さん、「紅葉のコキア、ペチュニア、ダリア、サルビア、ススキ」などを楽しむのが目的だった様子です。
登山口(出口)から、非舗装駐車場の己の車の所に戻った時点で、幸い、足攣りはありませんでした。そこでは、上半身のみ着替えています。帰る途中でマキノのさらさ温泉に立ち寄る可能性を考えて、入浴の支度はしてきましたが、往復の行程中風が涼しかったことや、着替える際の風の効果で汗がすぐに引いたこともあって、温泉には立ち寄りませんでした。ただ、途中で、西浅井道の駅あぢかまの里に立ち寄り、そこのベンチで遅い昼食を摂り、ブルーベリーソフトクリームを食べています。ブルーベリーよりバニラの方がよかったかな、と思いながら、、、
その後は、まっすぐ帰途につきました。15:20頃に帰宅し、すぐにシャワーで汗を流しています。