知床連山の奥・・
ルシャ山
(北海道)
2022.04.03(日)
3 DAYS
大雪山や知床連山はそこだけのために本州からわざわざ飛んでくる登山者も多いですが、
知床連山からぽつんと離れた冬にBCに人気のある知床岳、、、
ここって市町村境界線沿いに山並みで繫がっている?と地図を見ていると
途中にルシャ山という文字が目に飛び込んできて
ふと以前、知床巡りの観光船に乗った時のことを思い出しました。
船内のコース略図に「親子熊が見られるかも」とメモされた浜が「ルシャ」と記載されていたのです。
アイヌ由来の地名や川はカタカナだったり漢字の当て字だったりで覚えにくい音の名前が多く
北海道に住むようになってから、それにもようやく慣れましたが
当時はカタカナ表記の地名が珍しく、アイーシャとかトリーシャとか
すぐ横がロシア領土なので、ルシャってそういう異国音?と懐かしく浜・ルシャを思い出し、、、
ルシャ山からルサ川とかルシャ川とか両海に流れ落ちている、、
私にとっては知床連山の奥にある興味深い山となっていたのです。
知床岳に出掛ける前に、ここには寄っておきたい。。
しかし昨秋に登山口や駐車スペースの下見などで羅臼町に出掛ける機会がなく
この冬は無理かなあ、、と思っていたら、2月に知西別の虹鱒さんの活動日記を発見。
私が入ろうとしていた尾根は取り付きが急なので北浜からの尾根を勧められ
今週の好天続きを利用して2泊3日の予定で出掛けました。
ルシャ山周辺でテントを張り2日目は丸一日、
東岳から知床連山方面へ散策、贅沢なゆとり山行です。
日当たり良いところはきっと植物が顔を出していて
南岳辺りでもしかしたらシレトコスミレの残骸が見つかるかも。
知円別岳から硫黄山までの夏・稜線は
足元が痩せた砂・ガレ場・・・一日の最後にフル装備を背負っては歩きたくない、
直線距離だと近いのにアップダウンの多い登山道、
どこか安足間や愛別岳を思い出させる稜線です。
あそこは冬はキツネだって無駄に歩かんだろう。。
その冬姿を東岳と南岳両方から眺められるチャンスです。
先日の斜里岳の「謎のピーク」のようにどちらかの谷へ雪庇が育つのではなく
上へ上へと雪斧刃のように天を割って雪庇が直立していたら、そりゃ見モノです。
斜里岳ではやり損ないましたが、今度こそ雪斧刃に馬乗りになって
恐る恐るずりずりとお尻を引きずって前へ進んでみたい。。
ゆるゆる散歩ならお茶道具は必要、
でももしがっちり冬山として歩くシーンを迎えたら、、、と手足道具も全部持って出掛けました。
そう、そして様々なルート代案を用意した挙句、
予想し得なかった季節の風景を目にすることとなり
良くも悪くも成り行きで進む3日間となったのですー
一つ・・ハイマツ
昨秋に羅臼町ルートで羅臼岳に登った際に標高400ⅿちょっとの地点、
ハイマツ原という名前の林がありました。
ハイマツ、笹、広葉樹に針葉樹が仲良く生息している不思議な森です。
先週、斜里岳に出掛けた際、ハイマツはまだ雪下ガチガチだったので
今回もハイマツが障害物になろうとは露ほども思わず。。
しかし先週からの雨や暖気で標高低い生息域では融雪も進み、
尾根の小ピークを登り切ってほっとしようとした広々台地が
緑黒いハイマツの絨毯でびっしり。。
そっかー、そうなんだー
知床ハイマツは登山口から一時間くらいの標高から生息している恐ろしい植物。
東岳方面を仰ぐと、どうやら標高1000ⅿくらいまでは
ハイマツの黒、雪の白、広葉樹疎林のベージュ斜線色の3色が
帯状だったりパッチワークみたいな模様で斜面をうめています。
4月の知床はミスチョイスだったかー大雪山の何処かにしたらよかったのかー
昼前に頭の中は真っ白になりましたが、とにかく雪と疎林を繋げて先を進む他ありません。
結果、山頂が既にハイマツで黒くなっていたルシャ山を知らぬ間に通過しており
ハイマツ帯を越えてほっとした時にはガチガチに凍った白い斜面上、
テント設営場所を平に作ることもできず、緩斜面を行ったり来たり、、
なんとかそのまま寝床にできそうなところを探し回りました。
寝ている間に少しずつ体が下へ下がり、
夜中に何度か芋虫のように上は這い上がらなければならない少々不愉快なテントの夜です。
そしてもう一つ・・険しい稜線を覆い隠してくれる雪
東岳の稜線に出た時に見えた知円別岳から硫黄山への稜線は
思っていた通りずどんと絶壁になっており、、、
しかし知円別岳に到着してその稜線を縦方向に見ると、
砂ガレの痩せ尾根はがっちり雪でコーティングされて
この冬の大雪のせいなのか道幅がやたら広くなっている・・?
そもそも足元が悪いだけで斜度はあまりない地形だったのか??
目の錯覚なのか?うちの裏の土手のように見えるのです。。
(羅臼岳側だけです、、知床岳側は変らず崖っぷち。
でも危険な雪庇って見なかったかも。。。?注意力散漫なだけだったかな)
男性2名が少し前に追い越してくれて先を進まれていたこともあり、
私はカメラを片手に気になる個所の記録写真を撮りながら、、。
ハイマツや岩場ザレ場を覆い隠している雪は午前中まだぐずり始めておらず
こけし岩の回廊や第一・第二前衛峰の急斜面を通過する必要も無く、
最低限のアップダウンの直線で硫黄山へ。。
そして硫黄山は先行のお二人が
夏道でなく裏側のハイマツ緩斜面に道をつけてくれていたおかげ様々で
非常に安全に、、そして多分夏道より短時間で往復することができたのです。
ハイマツ障害と思わぬ稜線の雪道で差し引きトントンの3日間。
しかし暑かったぞ、快晴に文句は言いませんが。
5月なら下山したら桜咲いてたー、という暖気です。
今回は4月なので、、、下山したら今年初物のフキノトウ見つけたーでした。