大雪山系・旭岳・トムラウシ(北海道)
2026年9月26日 (土)日帰り
前日の夜まで、どこへ行こうかと考えていた。
旭岳にしようか、黒岳にしようか。白雲岳もいいな……と、あれこれ考えているうちに、結局向かったのは旭岳だった。
仕事を終えてから東川町の道の駅まで移動し、車中泊。
ところが夜中、隣の車からハザードランプとともに突然大音量の音が鳴り出し、びっくりして目が覚める。なかなか刺激的な夜だった。
翌朝、旭岳の駐車場は5時30分から開いているので、時間に余裕を持って準備することができた。
ロープウェイからの景色は、あいにくあまり見えなかったが、山肌は黄色く色づき始めている。
姿見駅に降りると、気温は1.3℃。
靴の洗い場には薄氷が張っていて、夜中はかなり冷え込んだようだ。もうすっかり秋の山だった。
いざ登り始める。
……が、相変わらず直登には弱い。
すぐに息が上がってしまい、早々にスローダウン。それでも、初めて旭岳に登ったときと比べれば、以前よりはグイグイ登れている気がする。
山頂では、いろいろな人と話をしたり、写真を撮り合ったり。
その中で「プルーさん」の名前がどうしても出てこず、あとから思い出してちょっと恥ずかしくなった。
当初の計画では、裾合平を周回するつもりだった。
ところが、間宮岳を越えて中岳分岐まで来たところで、なぜか妙な既視感がある。
「ここ、来たことあるな……」
そう思って記憶をたどると、去年、黒岳からお鉢平を一周したときに通っていた場所だった。
時間を見ると、まだ余裕がある。
家族からも「日帰りじゃなくてもいいよ」と言われていたこともあり、せっかくなので北鎮岳まで足を伸ばすことにした。
北鎮岳の山頂に着くと、比布岳方面へ向かう人が見える。
「まだ時間は大丈夫だな」
そう思ったら、また行きたくなってしまった。
そのまま比布岳へ。
さらに安足間岳を経て、当麻乗越まで行き、そこから裾合平へ下るルートに計画を変更した。
ただし、ひとつだけ譲れないものがある。
中岳温泉の足湯だ。
「今日は絶対に足湯に浸かる!」
その思いだけを胸に、裾合平から中岳温泉へ向かう。
ようやく足湯に浸かると、疲れた足がじんわりと温まっていく。
気持ちいい。
ここまで歩いてきた疲れが、少しずつ抜けていくようだった。
足を癒したあとは裾合平へ戻り、ロープウェイを目指す。
今回も、すれ違う人とたくさん話をした。
ソロ登山は気楽で自由な反面、やっぱり少し孤独だ。
「きれいだね」と思っても、その場で誰かと共有することはできない。
「ここ怖いな」と思っても、「怖いよね」と共感してくれる人もいない。
だから、すれ違う人に「どこから来たんですか?」とか、「この先はどんな感じですか?」なんて、ついつい声をかけてしまう。
もしかすると、迷惑に思う人もいるのかもしれない。
それでも、山で出会った人と少し言葉を交わすだけで、不思議と心が軽くなる。
写真を撮り合ったり、山の話をしたり。
ほんの数分のやり取りでも、「今日は一人じゃなかったな」と思えるのだ。
そんなこんなで、気がつけば20kmも歩いていた。
さすがに足は疲れた。
特に比布岳から安足間岳へ向かう道は怖かった。
左側を見ると滑り落ちそうで、右側には吸い込まれてしまいそうなほど深くえぐれた崖。
怖さで体に力が入り、ガチガチになりながら進んだ。
その先に見えた愛別岳への道も、思わず「よくこんなところ行けるな……」と思ってしまうような急勾配だった。
いつかは行ってみたい。
でも、高度感のある場所はなかなか慣れない。
怖いものは怖い。
それでも、少しずつ経験を重ねていけば、いつか今よりは平気になれるのだろうか。
そんなことを考えながら山を下りた。
下山後は実家に泊めてもらい、猫に癒されながら眠りについた。
思いつきから始まった今回の山行は、気がつけば20kmの長い一日になった。
怖かった場所もあった。
疲れもした。
でも、たくさんの人と話し、景色を見て、温泉にも浸かって、最後は猫に癒された。
振り返ってみれば、とても良い一日だった。