宇連山・鳳来寺山・岩古谷山(愛知)
2026年9月22日 (火)日帰り
ガチ勢の山おじさんたちにブチ切れられそうなタイトルにはなりますが、結論から言うとプチ滑落したヒヤリハット事例になります。距離は2m程度と推定されますが、ザックが擦れた程度でほぼ無傷だったのはただ運が良かっただけで、一歩間違えると遭難まっしぐらだった、という反省記事になります。
今年の6月から始めた登山もそこそこ調子よく進み、つい二週間前には穂高経由にて槍ヶ岳登頂を達成した私は、ぶっちゃけ言うと調子に乗っていたわけです。
(この記事はサボってアップロードしていないため、別途更新予定)
「お?意外に行けちゃうぞ?三か月で槍に行けたんなら愛知の山程度なら余裕じゃないっすかねw」なんて調子こいたことを考えていた私は、連休中の鈍った身体を動かす目的で岩小谷山→平山明神山→大鈴山の縦走計画を立てていました。
ただ、山の経験が長い人にはご存じかと思いますが、低山だから安全というのは幻想であり、高山とは異なる危険性があることを改めてこの記事では主張したいと思います。
後者は「長距離移動・滑落したら100%即死」という恐怖感との戦いですが、前者は「道迷い・遭難・滑落したら95%即死」という場合によっては低山の方が恐ろしい事態になるわけです。
この平山明神山、登山者はそこまで多くない様子で、駐車場には一台だけ止まっている状態でした。そこから岩古谷山までのルートはそこまで険しい記憶はなく、わかりやすい道を淡々と進んでいくことになります。およそ一時間ちょっとで到着したため、この後も容易く行けるものだと油断していました。
ただ、問題となってくるのは堤石峠より先、物々しい注意書きの書かれた工事用のバリケードよりも先の箇所であり、ここから山々が本気を出してくるわけです。その注意書き通り、登山ルートは「崖じゃん」という箇所が連続し、堆積した泥が足を掬おうとするわけです。
ただ実は、問題なのはこうした険しい地形自体はそこまで問題ではありません。実際問題、御在所山を難なくクリアできる技術があれば、三点支持を用いてロープなしで突破できる程度の難度であり、繰り返される登り返しでうんざりする以外は特に難易度的には世間で言われる程のものではありません。
では何が問題なのか?それは余りにも登山者が少なすぎるせいか、登山道が非常に見失いやすい状況にあるためです。
テープは所々貼っているのですが、まず木々が生い茂りすぎて進む方向が正しいかもわからないまま突撃する羽目になったり、急にルートが左右に逸れたりする箇所が多いだけでなく、倒木も非常に多い状態でした。また、一部は谷に向かってテープが貼られている個所がありますが、地図上ではそんなルートは存在しないため、林業用の案内ルートも混じっているようでした。
さらに元々が険しいルートを突破する前提のため、めちゃくちゃなルートだなぁ……なんて呑気に突っ切っていくと、徐々にルートを逸れていくわけです。一部は行き止まり、と書いてくれているところもありましたが、「じゃあ正規ルートは?」ときょろきょろ見渡すも、元のルートのテープしか見えず、立ち往生する箇所も何度かありました。
そうしてどうにかして平山明神山への分岐に入りましたが、ここからさらに難度が上がり、枝を払いながら狭い尾根を突っ切ることになります。ここで勢い余って飛び出すと絶壁(最後の投稿写真を参照)から滑落して死ぬわけです。過去にもこのルートで単独登山者の死者も出ているそうで、その危険性はある意味では折り紙付きなわけです。ただし、これも三ツ瀬明神山・日本ヶ塚山と比べればまだマシなレベルで、とにかく登山者がいないが故にルート上に生えてくる草と枝が煩わしい状態でした。
さて、ここまでの話で景色などの話が全然出ませんでしたね?その理由はこのルートの特性にあり、それはこの山々が山ヒルのパーティ会場であり、我々はドリンクバーであるわけです。今まで上った山では「ヒル」という概念を知らない程度に見たことが無かった私ですが、かゆみを感じた時には遅く、厚手の靴下越しに私のカロリー満載な血をゴクゴクされていたため、立ち止まる時間を最小限にして突破してきたわけです。そのため、心拍数は常に170を下回らない状態で動き続けていました。不思議なことに、身体は動き、特に苦しさもないため、そのまま折り返しで分岐まで戻ることになりました。
しかし問題だったのがここからで、「尾根を辿る」という意識が強く働いていたことで、ひたすら尾根を辿っていたところ、ルートから外れていることに気が付いていませんでした。また、この時は往路でグローブの片方を落としていたため、それを探しながら歩いていた為、地図を確認していなかったのも問題です。
結果、地図上の「休憩 4分」の箇所にて、プチ滑落が発生しています。
状況はどう考えても降りられない尾根にたどり着いてしまい、山側にて登山テープを探したところ、外れた位置で辛うじてテープが見えた為、(こんなとこ降りるん?そんな険しかったっけ)と思いつつも踏み出したところ、足元で堆積物で滑り、枝が脇に引っかかってブレーキがかかりながら斜面の平地に見事に着地した、という状態でした。この瞬間は頭の中は「???」であり、次はどう降りようか呑気に考えていましたが、この一歩先は間違いなく止まらない斜面であり、山側とはいえ数十メートルは滑り落ちるルートであったため、枝に引っかからなければ死がちらつく危険状態だったわけです。
その衝撃は意外にも大きかったらしく、充電器につないでいたスマホのケーブルが断線しており、その後、充電不可能になったことで縦走中断の判断に繋がりました。
さて、変な場所に降りてしまいましたが、幸いなことに、落としたグローブは途中で見つかったこと、滑った斜面に頑丈な枝があり、斜面側も踏みしめられる地面があったため、どうにか元の場所へと登り直すことができ、無事にルートに戻ることが出来ました。
結局、充電ケーブルが駄目になり、30%の充電で大鈴山を突破するのは途中の登山道の不明瞭さを考慮すると遭難まっしぐらであると判断、峠の麓の分岐点にてエスケープルートに入りました。ここは「←和市」とだけ書かれた看板だけが置かれた登山道として記載がなかったルートですが、退避ルートになっており峠を登らずに沢を通じて1.6kmで林道に抜けるルートになっていました。ここは特に道に迷うこともない明瞭なテープが見えるため、安心して抜けることが出来ましたが、ここはさらにヒルが多く、林道に抜ける頃には三匹のヒルが登山靴の上でダンスパーティをしていたため、こまめな付着確認が必要と考えます。
結論として、今回のミスの要因は非常に単純で、必要なタイミングでルートを再検討しなかったことです。どう考えても降りられない、という直感は大概正しいため、その瞬間に地図を確認すれば危険な目に遭わずに済むということです。あとは適度な休憩を挟まなかったことで判断力が鈍りまくっていたことも問題です。命を奪われるくらいならヒルにチューチューされる方がマシですし。
ただ、興味深い実体験として、遭難ドキュメントを読むたびに「体験者さんは他人事だなぁ、こんなミスして焦らないの?」と思っていましたが、当の自身がしでかした瞬間はそもそも滑落した認識もなく、「あ、ルート違うか」程度にしか思っておらず、登り返して充電ケーブルが壊れた事にため息をついている最中に(あ、これ遭難のヒヤリハットじゃん)と気が付いた、というわけです。もしもあの瞬間に死んでいたら、最後に頭に浮かぶのは"やり残したこと"や"苦痛に対する覚悟"ではなく(あっ)だけなのだと再確認しました。
そのため、今回は厳しいご意見が来ることを覚悟で記事を纏めさせていただきました。
本当に、山は舐めちゃいけないということを身に染みて感じた重要な経験だと考えます。
皆さん、お気をつけて登山を楽しんでくださいね……。