頸城山塊縦断(杉ノ原スキー場-三田原山-黒沢岳-高谷池ヒュッテ-火打山-新潟焼山-笹倉温泉
妙高山・火打山
(新潟, 長野)
2024.02.17(土)
2 DAYS
素晴らしい天気の下、山スキーのメッカを全力で突き抜けた最高の週末でした。痺れました。
【頸城山塊縦断】
頸城山塊は最高峰火打山の他、主峰妙高さらには雨飾山と、日本百名山を三座抱える他、新潟焼山(三百名山)や鋸岳(新潟百名山)など、秀峰ひしめくエリアです。高谷池ヒュッテに黒沢池ヒュッテと個性的な2つの小屋もあり、天狗の庭や荒々しい妙高の火山地形など、魅力は尽きません。
そんな大人気の頸城山塊は、冬も賑わいます。豊富で良質な雪に加え、スキー場から手軽に行け、景色も良い。実際妙高外輪山まではかなりの人出でした。
が、景色の良さとか山スキーのメッカとか、そういうのも楽しみの一つなのですが、個人的には山塊の縦断が非常に魅力的でした。頸城山塊は長野と新潟の険しい県境を成し、北陸新幹線も大きく迂回して金沢へ向かいます。そんなスケールの山塊を、山スキーを楽しみつつ、縦断するなんて最高にワクワクするじゃないですか。今回の計画は、この冬でもとりわけ狙っていたルートでした。
尋常でなく少雪の今シーズン、恐らく山スキーができるのは3月中旬までとかでしょう(里起点の場合)。そんな折、快晴が約束された最高の土日が来ました。きっと、これを逃すと、今シーズンはこのルートを描けない。そんな思いで、やって来ました。痺れる山行でした。
【ルート概要】
◇アプローチ◇
公共交通機関シリーズということで、全区間電車やバスです。
東京駅6:16のかがやきで、8:30妙高高原→杉野原スキー場行き9:30発のバスに間に合います。ゆっくりスタートですが、この日はヒュッテ泊なのでそれでも十分間に合います。(ちなみに大宮から乗ると新幹線がかなり安くなります。また、JR東の週末パスを使えば乗車券も安くなります)
朝食を食いっぱぐれて(長野駅の乗り換えが地味にタイト)途方に暮れていたのですが、妙高高原駅目の前のお土産屋さんが神でした!8:30なのに営業していて、美味しく蒸されたちまきとおやきを頂いた上、降雪ありましたか〜なんて会話してたら飴までおまけして貰ってしまい…とても良いお店でした!
スキー場はゴンドラと高速リフトの一回券で2,900円。ちょい高ですが、登り始め1,800mの大サービスなので良しとしましょう。
◇スキー場〜三田原山◇
人気ルートなので降雪直後以外はトレースあると思います。歩き始め10分くらいの沢地形横断付近は、雪崩ポイント。過去事故もあったようですが、今年は少雪のせい?なのかデブリも特にありませんでした。
そこから外輪山までは辛抱の登り。ただ外輪山は素晴らしい眺めで、BCのパーティーが何隊も入っています。
三田原山まで歩く人は稀のようで、大抵手前の外輪山で引き返したり、カルデラにドロップしたり、思い思いのスキーを楽しんでいました。三田原山までも平らな道で歩きやすいですが、カルデラ側は雪庇注意です。
◇三田原山〜高谷池ヒュッテ◇
三田原山の北西の沢地形に沿うようにドロップ。短い区間でしたが、あまり人の入っていない斜面で楽しくシュプールを刻めました。黒沢池の雪原を目指す、とても気持ち良いラインでした。
黒沢池でまだ時間があったので、黒沢岳にトライ。すぐ登れましたが、山頂稜線の雪波が若干面倒でした。高谷池ヒュッテは、オーストラリア&ニュージーランドの数名スキーヤーグループとご一緒。まさかの日本人は私だけで、拙い英語でコミュニケーション取りつつの楽しい小屋時間でした。
なお、冬季小屋は使用料1000円、在庫のCCレモンとアクエリアスがなんと200円と破格。布団はありますが、かなり冷えるのでシュラフは欲しいかな…?トイレは50m程離れた木立にお願いします(公式案内)とのことでした。電波はdocomoがデッキのみ通じました。
◇高谷池ヒュッテ〜火打山◇
素晴らしい日の出が火打山を照らす素晴らしい朝。火打山だけでなく、後立山連峰にも朝日が差すので感動モノの景色です。天狗池は完全に雪原ですが、それもまた趣があるかな?
ライチョウ平への登りはクトーを付けてはいたものの、早朝だと冷え固まっていてトラバースはやや怖かったです。火打山の登りはもっと怖いかなとシートラ&アイゼンの体勢で臨みましたが、アイゼンの沈み具合的にこちらは逆にスキーでも行けたかも…?
◇火打山〜焼山◇
核心部、かなりハードでした。
面倒くさいのでそのままシートラ。当初は影火打までのコルから、1815点へと延びる北斜面をトラバースして高度を落とし、1800m付近から再び焼山へ登り直すつもりでした。が、景色が良すぎて時間が押していた&シールを外す→シールを付ける→アイゼンを付けるの三段構えが億劫に感じてしまい、そのままシートラで稜線伝いにアタック。
ところがこの稜線、地形図でも懸念はしていましたが、やはり中々凶悪でした。シールの着脱+登り返しよりは楽かなーとみてましたが甘かったです。急斜面は正対のうえ、ピッケルも出してウィペットと一緒にダブルアックスのような形でかなり慎重に降りました。急な下りや、谷底に続くトラバース、何回正対したのやら…。しかも雪が腐ってアイゼンに雪団子だったので、かなり神経をすり減らしました。
胴抜切戸からも焼山の急登。特に最初150mは再び斜面にへばりつくような形で、💮度の直登ラインを膝丈ラッセルで進みます。蹴り込めば足場は作れるのですが、万一足を滑らせたら200m近くは止まりそうにない壁でしたし、とにかく四つん這いの蹴り込みで体力を削られたので、もう二度と行きたくありません…笑。
胴抜切戸までは、北面トラバース&緩やかな登り返しで代替できますが、焼山はどのみち正面攻撃しかありません。かなりプレッシャーがかかる登りですので、火打山や影火打からそのままドロップするのが無難なのでしょう。
山頂まで標高差200mを切ったあたりで傾斜が緩むので、そこからはスキー登行。快晴で気温も高かったですが、上部はウィンドクラストな感じでしたのでクトー使用。とはいえ、下部の超急斜面と比べたらなんてことはありません。
山頂の北東に、もくもくと煙を上げる噴火口があります。北風時は直撃しそうなので要注意です。ちょっと近付いて見学しましたがなかなかの迫力でした。
◇焼山〜笹倉温泉◇
山頂からは西側を回り込むような形でメインの火口へ降りていきます(こちらは今は活動していません)。ドロップポイントまでは雪が少なく小石が気になるので、スキーは履けません。若干傾斜が緩くなったところから、火口の中腹を横切るようにトラバース。ここから滑降開始です。
2260点の西側が正しいラインですが、シュプールに釣られちょっと迂回してます。雪質は先日の雨が凍結してガリガリ斜面、特に地形図上のガリー部が完全凍結しているので、日当たりが良く傾斜の緩い底部を進むのが吉です。
ガリーを抜けると眼下に広がる広大な焼岳北面台地へひたすら滑っていきます。果てしない開放感が最高に気持ち良いですが、14時からの滑走で雪は腐っており、重たいターンが非常に疲れました。
その後はショートカットしつつ林道ベースで笹倉温泉へ。途中平坦地などあり若干進みが遅くなることもありましたが、山頂から2時間とあっという間の下りでした。
◇デプローチ◇
笹倉温泉は日帰り650円。わりと遅くまで受付しているので助かります。バスは糸魚川駅までありますが、日曜日は終発2便が運行しないので要注意。最終は16:44になります。
糸魚川はブラック焼きそばを最近B級グルメで推していますが、日本海の幸も自慢なので完走を記念して寿司を決めました。
多くは振り返りません。めちゃくちゃ景色が良かったのと、無事縦断できて良かったのと。今回もありがとうございました。