「放月戦記 第一陣・松任城攻防」
金沢市
(石川)
2026年03月04日(水)
日帰り
時は令和八年三月。
加賀の地を震わせたのが、かの手取川の戦いである。
越後の龍、〝義〟に生きる上杉謙信公が、生涯最後に挑んだ大戦。
その前哨として火蓋が切られたのが、
〝松任城攻防戦〟
小雨混じりの風は、まるで矢の如く頬を打つ。
そして令和の世、金沢の平野を進む二輪駆動の小さき鉄騎🚲️
その名はまだ無きバギー。
同じく〝義〟の玉を持つお館様は、かつて越後の龍より一頭の名を賜った。
「これを汝が愛馬とせよ」
その名は。
放生月毛(ほうしょうつきげ)
川中島の戦い。
宿敵 武田信玄 と刃を交えた折、
謙信公が跨ったと伝わる月毛の名馬。
月毛…すなわち、淡きクリーム色。
雪原に溶け、月光に浮かぶ色。
そして令和の放生月毛は、二輪駆動。
金沢より西。
日本海に面した砂丘陵には〝あじち山、五軒丁山〟
春まだ浅い海鳴りは、まるで陣太鼓。
砂塵は風に舞い、二輪駆動の放生月毛の視界を奪う。
航路を睨むこの高みを押さえねば、
補給も退路も断たれよう。
前輪は砂に沈み、後輪は空転する。
体を前に伏せ、荷重をかける。
風速十二メートル、横殴り。
「これしきで退けば、龍の名が廃る」
月毛とは、淡き毛色。
だが今は砂塵に染まり、灰褐色。
されど進む。
頂に至れば、眼下に広がる日本海。
航路を制する者は、戦を制す。
未だ〝浜茄子〟咲かぬここに狼煙を上げる。