2024年春 - 奥多摩・山ノ神尾根
雲取山・鷹ノ巣山・七ツ石山
(東京, 埼玉, 山梨)
2024.03.03(日)
日帰り
参加者 中山(単独)
参考文献
YAMAP雲取山・鷹ノ巣山・七ツ石山
「山と高原地図23 奥多摩」昭文社,2006
守屋二郎作成、守屋益男監修「奥多摩登山詳細図(西編)」吉備人出版,2014
奥多摩山岳会編「奥多摩の尾根と沢」(東京新聞出版局,1997)
松浦隆康「静かなる尾根歩き」(新ハイキング社,2005)
はじめに
2月は毎週のように雪が降り、仕事で出勤することが多かった。山の積雪状況を逐一知ることができるのはよいが登山の計画も立てづらい。土日は遠出せずに空けておくことが多くなったがこの3月2日3日の土日とも晴れだったので、日曜日に山に登ることにした。
目星につけたのは奥多摩の石尾根狩倉山から北に伸びる山ノ神尾根である。狩倉山は標高1452mと低く、さほど雪も深くないと思われる。山ノ神尾根は途中989m標高点小菅山を起こし、末端は小菅集落につながっている。最寄りのバス停は日原行きのバスの大沢バス停である。
大沢バス停まで
朝起きて目覚ましのセットを誤ったことに気づく。当初は1番の6:31東日原行きに乗るつもりだったが間に合わない。諦めて青梅6:40発奥多摩行きに乗り、2番の7:31東日原行きに乗る。奥多摩駅の待合室でバスを待っていると釣り師らしき2人が解禁日のことを話していた。なんでも本日正午に解禁なのだとか。そうやってみると登山客に混じって釣り客も見受けられる。
東日原行きのバスに乗り、運転手のすぐ後ろの席に座る。さほど混んでいない。積雪を避ける人が多いのだろうか。大沢バス停で降りたのは私だけ。ICカードで258円。
大沢バス停から小菅集落伽藍神社まで
バスを降りて歩き始める。管理釣り場の上の道を歩き、やがて谷沿いを登っていく。谷には日原大沢治山工事と銘板が打ってあり、大沢と呼ぶようだ。「奥多摩登山詳細図(西編)」では狩鞍沢、「奥多摩の尾根と沢」では狩倉沢と書かれており、諸説あるらしい。
道は大沢を渡って北へ巻いて登り、三叉路に出る。直進する道は「小菅集落までこの先560m」と書いてある。折り返して登る道は特に何も書かれていない。「奥多摩登山詳細図(西編)」では折り返して登る道を案内しているが、25,000分の1地形図ではよくみると道がつながってない。民家の軒下を通っていくのは嫌なので、直進する車道を歩く。
犬の散歩をする人とすれ違いながら進むとコンクリート舗装が大きく曲がる。直進する方向にも日原方面へ向かう道があるがチェーンで閉じられていた。
小菅集落には数軒の家が立っていた。奥多摩の山を歩いていてもこの集落を訪れるのは初めてだ。神社への登り口が分からず通り過ぎると小菅集落を見下ろすように山が囲んでいる。高いところには白い雪が見える。
沢に出たところで行き過ぎたと判断し、戻ってみると車が何台か停められているところに山側にまっすぐな階段が伸びていた。その先に赤い鳥居も見える。これを登り切ると伽藍神社であった。
伽藍神社から廃寺まで
伽藍神社に登山の無事を祈り、社殿の左から登ると日原第三配水所があった。道は不詳になるが枝打ちの散らばる斜面を登ると左手から道が合わさった。
道を登っていくと25,000分の1地形図の神社マークの位置にお堂がある。「奥多摩登山詳細図(西編)」に示された廃寺のようだ。伽藍神社のように寺の名前は見当たらない。あとで調べると瑞雲寺というようだ。鍵が閉められているものの側面の窓が割れていて中をのぞくことができる。中はがらんとしていた。
廃寺の右手には石が3つあり、高さ1m弱の石板には真ん中に「妙法蓮華経全部一年一石」と書かれていた。「奥多摩登山詳細図(西編)」に書かれた「三界萬石碑」は気づかなかった。
廃寺から小菅山989m標高点まで
廃寺から右手へ道に従い登っていく。墓地の横を通っていくと道はだんだん尾根から左へそれていく。大丈夫かなと思いつつも概して道をたどった方が速いことが多いのでそのままたどる。途中石積みがあったりして往来があったことがわかる。
道は谷の上部らしきところで分岐する。そのままトラバースしていく道と折り返して山ノ神尾根に戻っていく道だ。後者をたどる。尾根に復帰してなだらかな道を行く。枝打ちで落とされたままの枝が散らばっていてやや道がわかりにくい。
標高850m付近は尾根が広く、環境局が植林したことを示す看板から道が分からなくなる。近くに見えた南側の尾根に乗っかるがその後北側の尾根にトラバースする。ここまでずっと植林帯だったが尾根の北側は自然林で明るい。
やがてピークに出た。銘板はなかったが木にテープが巻かれていて989m小菅山と書かれている。
登り調子で一休みしようかとも思ったが迷っている時間がもったいなので先を進むことにする。
小菅山989m標高点から1286m標高点まで
ここまで登りばかりだったが、小菅山からは少し下り、1010m等高線からも少し下る。尾根歩きといった感じだ。
標高1050m付近は等高線が詰まっているだけでなく日原側に岩のマークもある。南側の植林から登っていく。雪がザクザクしているので葉っぱで滑らなくていい。尾根が狭いところを通り過ぎるとしばらくで広くなる。
標高1200mで南側の植林帯が自然林に変わり明るくなる。尾根の形がS時になっているのがよく分かる。樽沢を挟んでタル沢尾根が見える。
標高1250m付近に岩マークがある。標高1050mに続いての難所である。岩場だが木が生えており、細かい根っこを掴めるので3点支持で登ることができる。下りだと怖いと思う。
1286m標高点は特徴がなく気がついたら過ぎていた。
1286m標高点から狩倉山まで
1286m標高点からはなだらかな尾根で難所はない。1340m付近でだいぶ積雪が増えてきて靴に雪が入ってきた。いまさらながらロングスパッツを装着する。木に黄色いペンキで文字らしきものが塗られているがなんと書いてあるか読めない。
その先は標高1360mの丘がある。登らなくても狩倉山には登れるのだが二度と来ないと思うので登っておく。しかし眺望があるわけでもなくなんでもないピークだった。
あとは狩倉山へ雪を踏みながらゆっくりジグザグに登った。積雪が層になっていて足が2段落ちることがある。狩倉山は丸いのっぺりしたピークだった。
狩倉山にて
狩倉山の山名標を見つけたが雪にトレースは見当たらなかった。2日前の積雪から狩倉山の東側は植林帯で暗い。休みをとっていなかったので大休止を取る。切り株に腰かけお茶を飲み、パンを食べた。パンだけでは足りずブラジル産のウエハースを食べたらかなり甘くて食べ物は足りた。
狩倉山から日陰指尾根道迷い
山頂でじっくり20分ほど休み、石尾根を下る。そう思って下っていたら登り坂があってそこで道間違いに気づく。YAMAPで現在地を確認すると狩倉山の北東尾根に迷い込んでいたようだ。後で調べると日陰指尾根というらしい。
おとなしく自分のトレースをたどって狩倉山に登り返す。山名標から南に進むと明るい防火帯に出た。
狩倉山から三ノ木戸山まで
南向きの道は雪が解けてドロドロになっているところもある。北側の雪の中を選んだりしながら下る。
テント泊らしい装備の単独行氏が登ってきた。石尾根を登るのは大変そうだ。
三ノ木戸集落への道を分け、三ノ木戸山直登と巻き道の分岐に出る。三ノ木戸山へ登る。少し登るとすぐ平たくなり歩きやすい。
三ノ木戸山には山名標と屋根がけがあった。屋根は東京農大のものらしく貼り紙があった。
三ノ木戸山から石尾根縦走路への下り道には看板があるので迷うことはない。
十二天山にて
石尾根縦走路に合流するところは十二天尾根の入り口でもあり、十字路になっている。予定では十二天尾根を下るつもりだが、車が通れそうな幅の道にはロープが張られていて東京農大の立入禁止看板が掲げられている。
石尾根は何度か下っているが前はこんなロープあっただろうかと考えるが思い出せない。
雪が積もっているし、十二天尾根下部は急らしいし、立入禁止らしいし、滑落でもしたらバカと言われそうだ。しばらく思案して十二天尾根をやめることにする。
十二天山から奥多摩駅まで
十二天尾根を下らないとなるとあとは石尾根を下るくらいしか選択肢がない。たまにはそれもいいかと思い石尾根を下る。
先週は樹雨がバシャバシャ降ってきて不快だったが、昨日の晴天で木の上の雪はすべて解けたようで快適だ。
絹笠山は気づかず通過。絹笠山からの複雑な道を歩き標高680m付近の神社で無事の下山に感謝する。氷川大橋からは日原川に釣り糸を垂らす人たちがたくさん見受けられた。奥多摩駅には12:20ごろに到着し、トイレを済ませたり靴を洗ったりしたあと12:40青梅行きに乗車して帰宅した。
おわりに
山ノ神尾根は植林帯から自然林へ移り変わり、岩場もあればたおやかなところもあり、変化に富んだいい尾根だった。
標高1050m付近と標高1250m付近の岩マークが核心部だろう。登りは木や根っこを掴めば登れるが、下りは高度感もあって怖そうだ。
積雪は深いところで20cmほどあり、スパッツが必要だった。チェーンスパイクは持っていったが使わなかった。