02:03
2.9 km
413 m
炎王の帰還
三峰山 (栃木)
2026年04月05日(日) 日帰り
4月最初の週末。 花散らしの嵐が過ぎた為、当然ながらどこもかしこもあっという間に葉桜に変わってしまった。 このころころ変わる天気が落ち着いた頃、いよいよ今年も暑苦しい夏が襲い掛かってくると考えるとなかなかに憂鬱である。 そろそろ課題としているお山に、いろいろ手をつけていきたいと思うこの頃……。 そんな中、テオ・テスカトルより少し遊びにいきたいと強請ってきた。 前日は雨だったこともあり、高いお山では間違いなく雲海などを望むには丁度いい天気である。 しかし金曜日に青竜3000をやった都合上、膝の調子がいいとは言えない。 ましてや来週末に春の重要課題としているお山への攻略が控えている為、あまり余計な体力を使いたく無いところ。 そこで今回は、とあるお山へ行ってる事にした。 その名は、「鹿沼三峰山」。 三峰山と言う名前のお山は関東なら何処にでもあるが、栃木県南には少なくとも2つ確認できる。 1つ目は石灰岩の大地で砕石場を近くに持つ三峰山で、正式には“北辰ヶ岳”と呼ばれている。 これについては去年攻略している。 そして2つ目こそ本日攻略する“鹿沼三峰山”であり、北辰ヶ岳からかなり北側に位置する。 今回そんな鹿沼三峰山へ、テオ・テスカトル、オオナズチ、クシャルダオラと共に挑むこととなった。 降り着いたのは、三峰山中粟野登山口。 早速登り始める……。 民家の間を通り抜けるようにして歩いていき、たくさんの壊れた車を横目に細い畦道を登っていく。 畦道の先には小さな沢があり、その脇には猪避けの柵があった。 柵を越えてまもなく、いよいよ鹿沼三峰山へ続く道が出てくる……。 しかし樹林帯に突入して間もなく、突如として道が消えた。 藪漕ぎでは無いものの、複雑に折り重なった倒木や泥まみれの岩屑を強引に登らなければならない。 一応鹿沼三峰山の登山道は尾根伝いに続いている事になっていて、取り敢えず尾根を外れないように登るしかなかった。 とはいえ登山道があると思われる尾根上はまるで崖のような急登になっていて、前日の雨でしっかり濡れた木の根や脆い石ころは非常に滑りやすく、適当に脚を置くとずり落ちる仕様だった。 ざれた崖のような急登を登っていくと、少しだけ緩やかになった。 木々の合間からは鹿沼市街地が少しだけ見えるが、春とはいえこの日は夏日の予報。 じりじり照り付ける日差しが暑く、あっという間に汗が吹き出して来た。 束の間の緩やかな坂を少しだけ歩くと、再び長い急登が出て来た。 今度は岩が混ざった急登が出て来た……。 脆い石ころのせいでまともに踏ん張りが効かず、たまに両手を使わないと登れない。 きつくざれた急登を登っていき、登山口を発ってから40分ほど経った頃、三峰山頂上稜線へ出た。 これより改めて三峰山の山頂を目指す。 三峰山は主に南峰、中央峰、西峰からなる岩峰群の総称で、最高地点は西峰で三角点は中央峰にある。 まず行くのは南峰。 ざれた坂を少しだけ下りて、痩せた尾根道を登り返す。 脆い石ころで脚をとられるが、すぐ真横は断崖絶壁になっていてやったか油断ができない。 倒木を跨ぎながら登っていくと、程なくして南峰に着いた。 境界線のような棒切れが突っ立っているが、それ以外には何もなかった。 南峰を後にして、今度は中央峰へ挑む。 一旦脆い岩屑の坂を登っていき、さっきの分岐点まで戻る。 分岐点から更に西側へ進むと、再びざれた崖のような急登が出てきた。 更に落ち葉も加わり、思うように登れない。 稜線もやや細く、北側は鋭く切れ落ちていて非常に危険。 ざれた急登を越えると、少しだけ樹林帯の中を登っていく。 そこから程なくして、三峰山の中央峰に着いた。 三角点が埋まっていて、鹿沼市街地を望む東側が僅かに開けていた。 中央峰を後にして、いよいよ三峰山の最高地点たる西峰へ臨む。 西峰との鞍部へ続く道もやはり急な激下りになっていて、両側が崖ということもありいちいち神経がすり減らされる。 ぬるぬるの木の根はもちろんのこと、ジュラ期付加体による泥岩とチャートの混ざった脆い岩稜帯は容赦無く足場を奪ってくる。 一歩登る事に崩れ、全て落石として谷底に吸い込まれていく。 鞍部には南西稜より西側の登山道へ続いているが、取り敢えず西峰を攻略しないと終わらない為登り返す。 掴めそうな岩も力を入れるとすぐ剥がれ、まるで北穂高岳から大切戸へ下りるあの脆い激下りを思い出す。 岩屑の急登をなんとか登り切ると、アカヤシオに彩られた極細の稜線上に出た。 そこから程なくして、ついに三峰山の山頂にたどり着いた。 山頂には祠が置いてあり、アカヤシオの群生地越しに古賀志山、宇都宮市街地、そして日光連山などを臨むことができた。 少しだけ休んだのち、三峰山中粟野登山口へ向けて下りる事にした。 鞍部への下りだけでもかなり厳しく、ざれた岩屑に足を置くだけで音を立てて崩壊する。 腰を低くしながら慎重に下りていき、なんとか鞍部に下りてきた。 鞍部から南西稜を辿って下りていくが、またこれも凄まじい激下りだった。 脆い岩屑だらけで、木にしがみ付きながらずり落ちるようにして下りる。 小さな祠が置いてある南西稜の頭へ続く鞍部に下りる頃には、全身小汚い泥岩で真っ茶色になっていた……。 鞍部から少しだけ樹林帯を登り返すと、南西稜の頭についた。 祠の脇より、暗ったるい樹林帯へ向けて土の崖を一気に下りる。 一歩下りると土と共に3歩分ずり落ちる為、靴の中に悉く腐葉土がたまる。 腐葉土の坂をなんとか越えても、今度はざれた坂の激下りとなり、此処でもやはり滑る。 木にしがみ付きながらゆっくり下りていくと、緩やかな稜線に出た。 眼下に鹿沼市街地が見えているが、全く下りている感じがしない。 もっとも…自分は登りより下りが苦手である。 このお山はまさしく、自分の不得意な要素だけを抜き出したような道ばかりである。 笊ヶ岳をそっくりそのまま小さくしたような、劣悪な登山道に他ならない。 ざれた坂をなんとかやり過ごすと、いよいよ沢へ向かう最後の激下りとなる。 これこそこの鹿沼三峰山に於ける一番厄介な場所であり、消滅した登山道を一気に下りる。 ピンクテープすらない崖のような斜面で、木の根に足を置いたらそのまま谷底まで真っ逆さまな勢いである。 取り敢えず尾根筋を頼りにひたすら下りていくと、最初に登り始めた例の沢が見えて来た。 木を掴んだりしながら地道に下りていくと、祠がある場所に出た。 沢を適当に渡渉して、対岸より樹林帯を脱出する。 猪避けの柵を越えると、漸く見覚えのある住宅街の法面に出た。 そこからたくさんの壊れた車を横目に細い畦道を歩くと、ようやく鹿沼三峰山登山口まで下りてくることができた。 お食事を済ませ足早に帰宅の路へつく……。 晩春の鹿沼三峰山にて、アカヤシオと栃木県内の絶景を楽しんだテオ・テスカトルであった。
