02:26
4.0 km
565 m
角ヶ仙
角ヶ仙 (岡山)
2025.11.24(月) 日帰り
この日、朝一番で泉山へ登った。 落ち葉で彩られた道は、朝日に輝いていた。 緩やかな傾斜をひたすら登って行った。 丁度、読んでいた小説の主人公はイズミ、お山の名前と同じだった。 お母さんと一緒に行ったお祭りで金魚掬いをした。 頭の上が脱色したのか、そこだけ白色になっているリュウキンだけを狙って何回も掬ったが取れなかった。 店のおじさんへ「6回もやったのだから」とせがみ、袋に入れてもらった。 頭の上に雪の結晶が落ちているような模様、ユキと名付けた。 この小説は、章によって、金魚の思惑、イズミの思惑が交互に描かれている。 リュウキンのユキは、人間の言葉が理解できる設定になっている。 窓際に置かれた水槽からは、外の景色も、部屋の中の様子も見える。 外を眺めると、塀の上を優雅に歩き、好きな場所で寝転ぶ黒猫が羨ましかった。 黒猫の前に現れた大きなドラ猫、睨み合いになり、噛みつかれた黒猫は、傷を負った。 向かいのコーヒーショップで働く頼りなさそうな青年が尻餅をつくのが見えた。 イズミは、その店のコーヒーが好きで、時々買って帰るのでした。 お勤め先の会社の先輩から好意を寄せられた。 二人っきりのお誘いを断りつづけ、ついに愛想をつかされてしまった。 誰も話し相手がいなくなり、落ち込むイズミ 水槽のガラス越しにイズミの独り言を聞いていたユキは、頭を上下に動かし頷いて見せた。 憔悴しきったイズミは意気消沈し会社を休んだ。 その夜、同僚の女性が、心配して訪ねてきた。 イズミは幼い頃、皮膚に火傷を負い、黒くただれた皮膚が胸を横切っていた。 それを人に見られまいと、肌をさらす行事を嫌い、男性との付き合いも避けていたのであった。 同僚女性から「火傷の跡を見せて」と促され、しぶしぶ下着を取った。 「綺麗な胸じゃない。火傷の跡を見て避けるような男なら、付き合わない方がいいよ」 続けて、同僚からも、幼い頃にいじめを受けてた経緯を話してくれた。 生まれてすぐ、父親は出て行き、母親に育てられた。 普通の仕事では生活して行けず、風俗店で働くようになった母親。 SMクラブの女王様となり、それを知った小学校の親の間で噂が広まり、口々に嫌みを言われた。 水槽の中で話を聞いていたユキは頷く 同僚女性「あれっ、この金魚、こっちを見て頷いたんじゃない。そんなわけないよね」 ユキは、更に頷いて見せたが、その視線は隣にあるパンジーに行ってしまった。 私に気付いてくれたと思ったのに・・・ こんな話だっけ。 水槽に入れられたリュウキンさん、そう言えば、人間や猫のように外に出たいと言ってたな。 泉山を降りると、続けて、角ヶ仙へ登った。 この日記です。