01:59
2.0 km
330 m
【虚空蔵山】ロープと鎖が誘う「虚空蔵菩薩」の道。薄曇りの先に見た絶景
虚空蔵山 (長崎)
2025.12.07(日) 日帰り
2025年12月07日(日) 曇り時々薄日 虚空蔵菩薩に導かれし、師走の古道へ 師走に入り、どことなく焦燥感に駆られがちな毎日。そんな時こそ、心を静める場所が必要です。目指すは佐賀県の霊峰、虚空蔵山(こくぞうざん)。その名が示す通り、知恵と記憶の仏様である「虚空蔵菩薩」を祀る山です。かつては修験者が多く登ったという、歴史と信仰の道が今日の舞台です。山名の響きとは裏腹に、予報は生憎の曇り空。ただ、逆に言えば派手な景色は期待できない分、静かに自分自身と向き合えるのかもしれません。 ゴロタ場の試練と、一度きりのご褒美 👺木場登山口から古道へ、足元に集中する時間 午前中、木場登山口駐車場よりスタート。山頂までの標識には**「900m」**とあります。たった900m。そう思って歩き出しましたが、すぐにその油断を戒められました。 登り始めは、大きな石がゴロゴロ転がるゴロタ場。不安定な足場に、早くも太ももがズッシリと重さを訴えかけます。 「虚空蔵山からの『試練』は、登山口からすぐに始まった。修行僧なら軽々と越える石の段差も、運動不足の私には一歩一歩が腹筋運動。」 🌳旧道で垣間見た「仏の光」やがて道は分岐点へ。私は敢えて左手の**「旧道」**を選びました。 (※旧道は比較的傾斜が緩やかで歩きやすいルートが多いですが、荒れている箇所もあります) 森の中を穏やかに登り続けることしばし。鬱蒼とした森林の隙間から、突然、一条の光が差し込みました。 それは、今日この登山で、これ一度きりしか拝めなかった日の光。あたり一面、木立の緑が黄金色に輝き、その美しさに思わず立ち止まります。まるで虚空蔵菩薩様が、「そのまま進め」と導いてくれたかのような、神々しい瞬間でした。 森は深く、湿った土と腐葉土の匂いが立ち込める。冷たい風が、額の汗をすぐに乾かしていくのが分かります。 🧗ロープと鎖に心臓が躍る 旧道と新道が再び合流し、いよいよ核心部へと入ります。 道の傾斜がグッと増し、今度はロープ場が現れました。「登山の醍醐味!」と心の中で叫び、ロープをしっかりと握って身体を引き上げます。腕力よりも、足の置き場をしっかり探すのがコツ。一気に高度を稼ぐ爽快感は、苦しいけれどたまらないものです。 山頂への最後の分岐点を過ぎると、道はさらに険しくなり、ゴツゴツとした石の階段に変貌。そして、いよいよ鎖が設置された岩場へと突入です。 (心の声):「この石、濡れてたら絶対に滑るやつだ…。一歩ずつ、鎖に全てを預けて登る。まるで、人生の迷いを一つずつ乗り越えていくようだ。」 9℃の山頂、薄曇りの中に「遠く」を見た 息を切らせて山頂への最後の階段を登りきると、ついに山頂に到着! 気温は 9℃。薄着になった身体に、冷たい空気が心地よく突き刺さります。 山頂からの景色は、残念ながら厚い雲に覆われていましたが、不思議と空気が澄んでいるせいか、眼下の平野や、遠くの山並みまで、驚くほどクリアに見渡せました。 雲は低く垂れ込めていますが、そのおかげで遠くの景色が強調され、水墨画のような幻想的な世界が広がっていました。 「雲が厚いからこそ、空気が澄む。遥か彼方まで見通せるこの感覚。まるで、心の中のモヤモヤが晴れて、大切なものだけが浮き彫りになったようだ。」 師走の「気付き」と、次なる目標 下山は、登りとは違う道を通り、無事に登山口へ。 今回の虚空蔵山、派手な快晴の絶景こそありませんでしたが、歴史ある静かな道、そしてロープや鎖を使い、自分の力で登り切るという**「試練」**が心に残りました。 登りで感じた心臓の鼓動、森の匂い、そして山頂で見た、薄曇りだからこそ澄み渡っていた遠景。 師走の忙しさの中で、自分が本当に見つめるべきものは何か、**「虚空蔵菩薩様」**にそっと教えられたような気がします。明日の筋肉痛は確定ですが、心は軽く、次なる挑戦への野望が芽生えています。 次は、佐賀の別の霊峰にも挑戦してみたいですね!