高ドッキョウ🏔️か、由比の桜えび🦐か? 貫ヶ岳・平治ノ段
貫ヶ岳・高ドッキョウ
(山梨, 静岡)
2026年03月07日(土)
日帰り
最近、山で妙にバテる。
歳か。
体重か。
それとも──別の何かか。
原因を探るため、今日は実験だ。
間食をやめ、体重を1.5kg落とした。
誤差みたいな数字だが、やらないよりはマシだろう。
そして今日はソロ。
登山口へ向かう車内でも、無駄なエネルギーは使わない。
音楽は流す。
だがシャウトは禁止。
口は呼吸専用だ。
中沢公民館のヘリポートに車を止める。
人の気配は、ここで途切れる。
歩き始めると、すぐにガスに包まれた。
視界は白い。
しかも急登だ。
だが──体が軽い。
息も乱れない。
足も止まらない。
……なるほど。
どうやら俺は、
静かな環境の方が燃費がいいらしい。
尾根直下の登りはさすがにきつかった。
だが、なんとか稜線へ出る。
ガスが流れている。
景色は見えたり、消えたりだ。
貫ヶ岳、897メートル。
木に囲まれた山頂。
三角点がひとつ。
展望は、ほぼない。
だが山梨百名山。
いつかは集めたかった山のひとつだ。
……まあいい。
分岐まで戻り、平治ノ段へ向かう。
木々の奥で気配がした。
カモシカだ。
目が合った。
……と思った瞬間、逃げた。
白い尻尾だけが、
ガスの中に消えていった。
途中にあるのが、晴海展望台。
ここは違う。
目の前に富士山。
その右に愛鷹山塊。
さらに右には駿河湾。
伊豆半島の先端まで見える。
標高は900メートルほど。
だが妙に高く感じる。
周りに高い山がないからだろう。
しばらく立っていたが、先へ進むことにした。
帰りにも寄れる。
平治ノ段に着く。
ここからも景色はいい。
そこで、ふと思う。
──高ドッキョウ、行けるか?
スマホで時間を見る。
行き……約2時間。
帰り……約2時間。
合計……4時間。
……
やめておこう。
桜えびの店が混む。
俺は静かに撤退を決めた。
晴海展望台へ戻る。
さっきの景色を、もう一度──
……
真っ白だった。
見事なガスだ。
富士山も、海も、全部消えている。
こうなると、やることはひとつ。
桜えびだ。
急坂を下り、登山口へ戻る。
タイムを確認する。
……速い。
思った以上だ。
最近バテていた理由。
なんとなく分かった気がする。
まあいい。
次の任務へ向かう。
車を走らせ、由比の「ごはん屋さくら」へ。
店の前には、すでに順番待ち。
だが俺は一人だ。
しばらくして、カウンターへ案内された。
席につく。
注文はタブレットらしい。
ランキング1位の定食を見つけた。
これにしよう。
値段を見る。
2,420円。
……
昼飯だぞ?
少し考えたが、ここまで来て逃げるわけにはいかない。
覚悟を決めて注文する。
操作に少し手間取った。
まあいい。
料理が運ばれてくる。
……あれ?
青さのお吸い物がない。
代わりに、「そば(冷)」が置かれていた。
どうやら俺が注文したらしい。
まったく覚えていない。
だが、そばには桜えびの天かすが付いていた。
なら問題ない。
生桜えび。
釜揚げ桜えび。
そして、かき揚げ。
どれも美味い。
特にかき揚げ。
これは危険だ。
そばに天かすを入れる。
これも悪くない。
青さのお吸い物は消えたが、
まあいいだろう。
会計。
2,640円。
今日、俺は二つの真実を知った。
ひとつ。
沈黙は、山を速くする。
そしてもうひとつ。
桜えびは、美味いが庶民には危険。
店を出て、車に乗り込む。
エンジンをかける。
帰路につく。
不思議なことに、
ナビは高速ではなく一般道を選び続ける。
……車の意思か。
それとも、俺か。
まあいい。
今日は、そんな日だ。
帰りの車内でも、俺は静かだった。