信州の遭難情報「島崎三歩の山岳通信第340号」を配信します ■春の大型連休中、過去10年間で最も多い山岳遭難が発生しました!  4月27日(土)から5月6日(月)までの大型連休中に長野県内で発生した山岳遭難件数は、26件(前年比+8)・30人(+9)でした。30人の内訳は死者3人(前年比-1)、負傷者15人(+6)、無事救出12人(+4)でした。過去10年間では最も多い発生となりました。 <山 域> ①北アルプス 17件  ②八ヶ岳連峰 4件   ③その他 4件 <態 様> ①転倒 9件      ②転落・滑落 7件   ③道迷い 3件 <年 齢> ①40代~50代 13人  ②60代以上 9人    ③0代~30代 8人 ■山岳遭難発生状況(週報): 4月25日、2人パーティで2月24日に戸隠連峰西岳P1尾根を下山中に滑落し、行方不明だった58歳の男性が4月25日に遺体で発見された。  4月30日、4人パーティで北穂高岳山頂から北穂高沢を下山中の54歳の女性が滑落し死亡  5月01日、空木岳の池山尾根を登山中の2人パーティ(66歳の男性、26歳の女性)が疲労で行動不能に  5月02日、2人パーティで蝶ヶ岳から横尾に向けて下山中の2人パーティ(55歳の男性、59歳の女性)が残雪で道に迷い、行動不能に  5月04日、白馬岳に単独で入山した47歳の男性が宿泊した山荘を出発した直後に転倒し、負傷  5月04日、奥穂高岳南稜を4人パーティで登山中の50歳の男性が足を滑らせて滑落、負傷  5月04日、前穂高岳北尾根を3人パーティで登山中の35歳の男性が足を滑らせ滑落、負傷  5月04日、3人パーティで八ヶ岳醤油樽の滝付近を登山中の59歳の女性が足を踏み外して滑落、負傷  5月04日、有明山に向けて2人パーティで登山中の25歳の男性が岩に足を挟み、負傷  5月04日、有明山に向けて2人パーティで登山中の25歳の男性が疲労により、行動不能に(上記遭難の同行者)    5月04日、7人パーティで五竜岳から遠見尾根を下山中の47歳の女性がアイゼンを岩に引っ掛けて転倒、負傷  5月04日、4人パーティで爺ヶ岳に向けて冷尾根を登山中の51歳の女性が滑落、負傷  5月05日、単独で爺ヶ岳に向けて縦走中の57歳の男性がスバリ岳付近で滑落、負傷  5月05日、2人パーティで蝶ヶ岳から下山中の64歳の男性が足を滑らせて滑落、技量不足のため、行動不能に  5月05日、単独で青木村の子檀嶺岳を下山中の68歳の男性が転倒、負傷  5月05日、3人パーティで軽井沢町の離山に向けて登山中の48歳の女性がバランスを崩して転倒、負傷  5月5日、2人パーティで蝶ヶ岳に登山中の24歳の男性と23歳の女性が装備不足により、行動不能に  5月5日、単独で奥穂高岳に向けて縦走中の33歳の男性が何らかの原因で滑落、死亡  5月6日、単独で槍ヶ岳から下山中の35歳の男性が足を滑らせて転倒、負傷 ■令和6年5月6日現在の遭難状況は  82件(死者14人、行方不明0人、負傷者33人、無事救出47人)です。  前年比は、発生件数が5件、遭難者が+2人です。  内)単独登山は、発生件数が-2件、遭難者が-2人です。 ■長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス   4月30日の週は、長野県内で18件の山岳遭難が発生しました。転倒や滑落による遭難が多く発生しています。また、春の大型連休中に発生した山岳遭難は26件で、昨年の18件から大幅に増加しています。  大型連休中に発生した山岳遭難の中には、「疲労で行動できない」、「装備が無いため行動できない」、「技術不足で行動できない」等の山岳遭難が複数ありました。   これらの山岳遭難を防ぐには、入山前の準備が非常に重要です。山域によって必要な装備は異なります。アルプス等の高山の登山はしばらくの間は、アイゼンやピッケルが必要です。  事前の情報収集をしっかりと行いましょう。また、「信州山のグレーディング」を参考に、自分自身の体力・技術で登山できる山なのか、よく確認しましょう。  そして、日頃のトレーニングや体調管理を万全にして、安全登山をお願いします。